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ハートアート工房神田

最後の夜

2020.03.29 03:19

2019年1月5日の早朝、元太を最後までお世話になった先生の所へ連れて行くと、先生を初めスタッフの方みんなで元太の身体を綺麗にしてくださいました。


処置が終わり綺麗になった元太を先生から手渡された時、先生が「もし自分が犬だったら神田さんの所へ来たかったです。それぐらい元太君は幸せだったと思います。」と声をかけてくださいました。

その言葉を聞いた途端、ワタシは泣き崩れました。

本当に元太がそう思ってくれていたのならこんなに嬉しく幸せなことはありません。


家に戻り、元太がいつも自分の場所として過ごしていた和室にそっと寝かせました。

顔を見ると今にも起きてきそうなほどいつもの寝顔と変わらない元太。

しばらく元太を見つめていたワタシでしたが、ふと「そうだ・・・葬儀社へ連絡しないと・・・。」と、ワタシは頭の回らないままとりあえず葬儀社へ連絡しました。

電話の向こうから聞こえてくるのは事務的な淡々とした言葉でした。

名前、犬種、葬儀内容、葬儀の値段等一通り決まると翌日の午後2時からなら葬儀を執り行えるとのこと。

なんとも慌ただしい気もしたけれど、その時間でお願いしました。


夕方近くになると、元太の訃報を知ったお友達が次々と元太に会いに来てくれました。

そしてSNSのお陰でたくさんのお友達ができた元太。

翌日の朝から初七日まで途切れることなく、全国のお友達から沢山のお花が届きました。

元太がこんなにも愛されていたなんて・・・本当に大した子だなと改めて思ったものでした。


そして夜、ワタシは和室のおこたに潜り込み、元太を引き寄せ一緒に寝ました。

静かに眠る元太に触れるとゾクッとするぐらい冷たく硬くなっていました。

それからワタシは元太の顔、前足、お腹、後ろ足と順番に撫でました。


元太、なんでこんなに冷たいの?

なんで返事してくれないの?

なんで起きてくれないの?


ワタシは泣きながらいつの間にか眠っていました。

形のある元太と過ごした最後の夜のことでした。