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うたかた日和

劇団生粋『夏の夜の夢』観劇

2020.04.14 06:14

劇団 生粋-NAMAIKI-旗揚げ公演

舞台 シェイクスピア

『夏の夜の夢』


観劇しました。




久々のキンケロシアター。

たしか前回は2年半前か。

山本屋さんの「おしゃぶり」を観た。

南出さんを観るのもこれぶりだったな。



とても良い劇場。






過去に観たシェイクスピアを扱った作品でいうと柿食う客さんの『完熟リチャード三世』。

たぶんだけどきっとかなり王道ではない。



でも今回の『夏の夜の夢』と全く別かというとそうでもない部分もあった気がする。





シェイクスピアと関係ないけど、ABC-Zがやったファウストも観ましたが、あれもわりと俺にはわけがわかりませんでした。シェイクスピアやゲーテなどその辺のカテゴリの作品は観る層がまた違いますよねきっと。(ファウストは別問題も多分にあったけど)




で、きっとコレ喜劇と言えど最後の劇中劇が物語とリンクしてたりでいろいろ深い要素があるんだろなぁと思いつつ、たぶん全然受け取れてないんだろうと思いつつです。





さてネタバレします。
















終わってから原作のあらすじを調べると、

かなり原作に忠実だったのではないかと。

(全然知りませんが)





元々何時間もある作品を1時間45分に収めた中で、

しっかりと「夏の夜の夢」を伝えることが出来ていたと思います。

(↑原作知ってるやつの言うこと)











冷静に振り返っての感想としては、





この話に果たして村人たちが必要?

妖精とロバのシーン含めて無駄じゃない?




など、要らないシーン多すぎね?

と、観てて途中ふと思ったんですけど





観終わった後のニコニコするやさしいこの気持ちが個人的には「彼らこそ必要だったなぁ」と言えますね。






この舞台のラストシーンの長い劇中劇のシーンを、

王族たち6名と一緒に微笑ましく観ることができたかどうか。










自分はあの



【スプラッシュマウンテンで落ちた後みたいな空気感】



がとても好きでした。




言いたいことはほぼコレです。






『Zip-A-Dee-Doo-Dah Zip-A-Dee-Ay ♪』





と、そんな気持ちで帰りました。









細かいことを言えば、



いや結局ディミトリアスとヘレナは魔法で好きになったままじゃん。

とか、他にも言いたいことはたくさんあると思うけど。





けど





「まぁその辺はええやないですか」




と。



個人的に。






話の大筋はとても絵本チックで、

以下に示す恋愛事情の



ライサンダー

①↓↑②

ハーミア

③↑

ディミトリアス

④↑

ヘレナ



③をヘレナ方向に向けたらめでたしめでたしやん言うて。



妖精パックがディミトリアスに魔法かけようとしたんやけど、

間違うてしもうてライサンダーにかけてしもうたさかいに、ヘレナ好きになってしもたからさぁ大変。




で、なんだかんだ丸く収まるというとてもわかりやすいお話。





ライサンダーがヘレナを好きになってからドタバタ劇が始まるものの





「まぁパックがもっかい魔法かけたらええんやけどな」





という思想は、ライサンダーが魔法にかかるときから、

パック含めてお客さん全員も感じており、





もっと言うと、全然別軸の話としてあった

「ティターニアに魔法をかける」というシーンの時点で

その後のほとんどを悟った感覚はあったわけだけど。






冷静に振り返るとマジであのティターニアとロバの時間なんなんっていう。




その「なんなん」を、ちゃんとラストシーンの俺の笑顔につなげたのは、結局、俺が抱いたボトムへの好意であり、彼を愛せたからその後のすべてのアレコレに対して笑えたし好意的にとらえられている。







今回の個人的MVPはボトムと鶴田さん、というかヘレナが好きだったかなぁ。



鶴田さんは去年だと作品も含めてイリクラは特に好きでしたが、

今回のヘレナは登場人物の中で一番好きだった。






自分が滑舌が絶望的に悪い上に小声なんで思うんですけど、


失礼ながら客観的に観て、鶴田さんもあきらかに滑舌はストロングポイントではないだろうに、

まずあのセリフの早さと量を知った時とか自分だったら絶望的な気持ちになって


「これオレには出来んやろ、キャスティングミスってないですか」と思ってしまうところ




鶴田さんは膨大な量の早セリフを、むしろ誰よりも聞き取りやすいくらいにほぼ完ぺきに演じていて、

伝える気持ちあれば滑舌悪いとか関係ないんだなって思わされたのもあるし、

あそこまで伝えられるってすごい努力。




とまぁそんな対鶴田さんとしての観方はどうでもよくて。



そんなどうでもいいことは関係なく、

シンプルにヘレナとてもよかった。





背の高い綺麗なビジュアルもだし、

報われない感じも、

突然みんなに好意を持たれて

それをちゃんと悪く捉えられるところも。


鶴田さんはとてもピッタリだったし、

ヘレナは一番「わかる」存在だった。





でもどうしてもシンプルに"あの鶴田さんがあんなに汚い言葉を発し続けてる"こと自体もやはりそれはそれで楽しくて




ヘレナとしても、鶴田さんとしても、

両側で見てしまったのは

良いか失礼かわからないけど、とても楽しかった。





全然、歌唱シーンの少ない歌劇だったとはいえ、

あの終盤のゴチャゴチャの展開をすんなり自分の中に消化できたのは、

歌劇だったからこその部分はやはり大きい。







で、


個人的には、

(個人のブログだからいい加減全部そう)



ここ1、2年は山本真夢の出る舞台を一通り観てしまっている中で、

今回はその中で見た歴代好きだったキャスト全集みたいな感じでした。





でも、これは事前の印象ではなく、

舞台を観ている中で、「あー好きだなこの人」と思った人達が

振り返ってみると、アオシャシンの、雨忘、だった。




見る前は鶴田さん、ドリームJr.、まゆおが出るくらいしか認識しておらず。




こうきくんの存在に気付いたのはロバの顔が外れたあたりで、

「あれ、これこうきくんじゃね?」と超遅かったのだけど。



今回も雨忘と同じように舞台を観ていて「この人好きだなぁ」って思って。

(たしかにまゆおが「久々に共演する」とか言ってた気も)





谷沢さんは話し方で速攻わかった。

真田十勇伝でもいいなぁと思ったし、この人はもはや好きと言っても過言ではない。




終演後の帰り道で、谷沢さんとこうきくんのTwitterをようやくフォローした。








ただ。



最後のパックの「今回気に入らなかった人は」のセリフ回しや、ドリームJr.がインスタで言ってた「昼、調子悪かったけど夜は100点出た!」みたいなのは、本来言いたかったこととは別の印象を与えていて、こんなご時世に友人知人との関係悪くしてまで会場向かってる相手に対して純粋にお客さん目線で言うとちょっと何を言ってるかわからなかった部分は否めない。






この時期にこの公演を観にいっている事実は、

自分の人間としての価値を下げているし、

いろんな人の信用を失い、公に感想を言える状況にはないわけだし。




と、ここからは関係ない話をずらずら何日にもわたって書いてたけど、

まぁ一旦全部コロナのせいということで、消しましたけども。






話戻して、





まゆおは、パックのビジュアルぴったりだったし、

ヤンチャな妖精ハマってたなと思って。



で、間違いなくやれる人だから語り手としても間違ってないけど、



なんとなく、パックの自由なイメージとは裏腹に、

語り手になったときのいっぱいいっぱいな感じのギャップはあまりバッチリとは言えなくて。





難しいけどパックはパックでもっと自由にヤンチャに枠を飛び出しても良い気はしたし、


語り手としては誰よりも余裕を持って引っ張って欲しかったけど、観ている印象としては逆にすごい緊張感が伝わって。




俺のこの人への期待値が高すぎるのはあれど、

たぶんこの人はこういうスタイルの語り手とかじゃないんだろうなっていうのは思ったかな。



あの役割があることによるパックの自由さがどうしても若干キャパ的に削られてるし。



これはキャストではなくパックとしてだけど、

パックはもっと自分勝手でもいい気もして。

物語を振り回しているにしては良いやつ過ぎる感じも。




最近は蜂巣祭とかスリダブとかが続いたので、

個人的には久々にこういう姿を観れてよかったんですけどね。



蜂巣祭とかあれはあれなので好みじゃないとかいう話ではなくね。




うん



ま、パック良かったですよ。(雑)



間違いなくこの舞台を引っ張っていたしね。


まゆお歌も良かった。









そんでそろそろまとめで、




最後の劇中劇を見ながら、みんなであーだこーだ言ってるあの空間。


なぜかわからないけど幸せでしたね。

なんなんでしょうね。



全部終わった余裕というか、



「はははは」



という優しい気持ちが芽生えた。







お話が一番大事だとは思うけど、あのラストを飾るうえで、

キャストの誠実さみたいなものは大事な部分になっていてそのなかで



主宰の植木さん含めて、今回のキャスト陣は舞台に対する誠実さみたいなのは感じられて、

そこのファクター結構大きかった。

当たり前とは言え。



ライサンダーもディミトリアスも。

イージアスもシーシアスも。

みんな。








植木さんはたぶん初めて見たような気がするけど、

(チキパの元マネージャーに似てる)



劇団生粋が、一発目にこの作品を選んだことも、

このメンバーでやったことも、



最後のパックの挨拶の件にイチャモン付けたけど、

色々な振る舞いも見る限り、

こっち側の人間なんじゃないかなと感じるので、

これからも気にしていたいですね。







『舞台を観て「泣いた」とかくらいなら映画見てればいいんですよ。なにか人生を変えるような感情が芽生えてこそ舞台です。』


ってこの前言ってた役者の人がいたけど。

それもそうだねと思うなかで。




座組みみんなが真剣に舞台に込めた思いみたいなのがこちらまで伝わることで動く気持ちを抱くこともあって。



それはこれからの自分のパワーにもなって。




目の前のそこに人がいるから。

初めて見たものでもそういうのを感じられることもあって。



それに力をもらうっていうのも、舞台の見方として間違いではない気が今回はしましたね。






良いメンバーでこちらもご機嫌だった!

よかったよかった!







この座組と哲さんの人間性を見ても、

今後もまゆおはたぶん生粋に出そうな気配するし、次も期待ですねぇ。(勝手に)








こんな時期に公演をやるにあたっては、精神力ゼロになったと思いますけど、

俺も声を大にして観たと言えないし、難しいですけど。



まぁたぶん公演をやった側も、観に行った俺も、

間違いなんて言いたくはないけど、きっと間違ったんでしょう。



世間的にはダメなもの同士、これからも誠実に生きて長い目で信頼を勝ち取りましょ〜。


雪×桜、ほんとに綺麗でしたね。


ほんとに久々の舞台、せっかく観たあの景色忘れないように長い自粛生活たのしも。