今理系として必要な能力を考える
こんばんは。Excelsiorです。
昨今の新型コロナウイルスの影響は想定以上のもので、皆様におかれましても少なからず影響を受けていることでしょう。
コロナウイルスに伴い、学校等の教育機関は休校処置をとり急激にe-work/e-learningの需要が増えております。
我々、Excelsiorにおいても授業依頼の急増に伴い講師陣がブログを書く暇さえないように思われます。ただその中で我々Excelsiorはより良い"online 教育"を提供できるよう様々な取り組みを行っていく予定です。その件につきましてはまた近いうちに話させていただきます。
さて今回は少し難しいお話かもしれませんが、私の考える理系として今後求められる資質についてお話しさせていただきます。以前他の理系講師の方も書かれていましたね。今回はより深めた観点から見ていきましょう。
皆様も
"基本が重要、難しい問題を行うのではなく基礎を積み重ねることが大切"
と言われたことがあるのではないでしょうか。
その意図は様々であると思われますが、一つは今までの理系科目として出題される問題は還元主義的思想が根底にあるからだと考えられます。
そもそも科学(理系の科目)には、たとえどれほど複雑な対象であったとしても個別の要素に分解すれば、それぞれの要素については理解できるはずだ、という、デカルト「方法序説」流の還元主義があります。
複雑さをいかにして処理していくか、という問いに対する、私達人類が導き出した叡智の1つといえますね。
この還元主義が意味することは上記にもありますように
複雑な問題も、一つ一つの簡単な構成に分解しミクロな単位で理解したのち構造化すると理解できる
と言うものです。英語の構文解析に非常によく似ています。
まさに"基本が大切"と言う言葉が体現してくれていますね。
ですが、昨今の難易度の高い入試問題、及び社会の問題は還元主義で解決できるようなレベルではなくなってきています。
では還元主義から脱却した脱還元主義とはどういったものなのでしょうか。
例えば簡単な例を見てみましょう。
京都の有名なお寺の"枯山水"がなぜ人々の心を癒やすことができるのでしょうか。
波模様に敷かれた砂利があり、中央に石があり、松があり、という要素に分解したところで枯山水の美しさを説明することは不可能です。
まさに"全体として捉える"必要性があるのです。
また建築を例にとってみましょう。
古代建築などでは
建築要素として、基礎、柱、梁、屋根、壁といった基本要素の組み合わせでなっています。
まさに還元主義的な思想の反映です。
しかし脱構造主義を掲げたフランクゲーリーや東京オリンピック国立競技場のデザインでも賑わせた故ザハ・ハディッド氏の建築は還元主義と真逆でまさに"全体"として設計されたものになります。
さて話を戻しましょう。
還元主義で解決できる問題は問題レベルとしてそこまで難しいものではありません。
なぜなら還元主義はミクロに分解し、マクロに展開する上で依存関係にあるパラメータ(指標)が多くないことが前提になっているからです。言うなれば関数のような関係で表せるものです。
ですが、複雑系/高次元の問題では非常に多くのパラメータが存在し、それぞれがお互いを束縛しながら作用することで非線形の形式をとるのです。
このような考え方が
化学(科学)や物理学、生物学における"面白い問題"のモデルとして入試で出題されていると考えます。
つまり今後の理系の資質として
還元主義的でなく"全体を同時にみる"ことでブレイクスルーする力になると私は考えるのです。
ではどうすれば脱還元主義の資質を育てることができるのか。
それはまた別の機会にお話しさせていただきます。