心理
人間の心理ってホントに不思議だな~と思います。
例えば軽うつ症の人と話をすると、とてもよくわかることがあります。
寝られないから睡眠導入剤を飲んでいると言います。うつ症状があると、殆ど寝られないという症状がありますからね。
でも本人はやめたいと思っていると言います。
そういう人に、薬害のことを理路整然と説いても受け入れてはもらえません。やめても死ぬ訳じゃないし、数日寝られなくても死ぬ事はありません。
それは正論だと思います。
眠くなるまで待つというのは一つの手だと思うのですが、それは絶対に聞き入れてもらえません。
本人は、心の底では、やめたくないと思っているからだと思えます。
そう思っている人に話しをしていると面白い現象が起こります。こちらから筋道をたてて話しをしていると、途中で話しの本題をすり替えられてしまいます。全く違う話にもっていかれます。
そんな正論なんてどうでもいい!!
って思っているんだなと思います。だから何を言っても無駄だなぁ~って思うので、そういう話しをしなくなりました。
まぁやめたきゃやめたら?
ぐらいに言います。その方が、こちらも余計な時間を割かれなくてすみます。
私も、できるだけ薬についての説明をしていた時は、自分は正論を言っているのに、なぜわかってくれないの?
という気持ちが心の奥にあったと思います。それは完璧に術者のおごりです。きっと自分が得た知識をひけらかしたいだけだったんだろうと思います。
これは大きな反省点でした。
時々来られる方の例ですが、色々と複数症状があります。当然寝られません。その人に、ただただ、身体の調整だけを行い、何も余計なことを言わずにいました。
やがて自分で寝やすい方法を考えてきて、睡眠はしっかりとれるようになったと言ってきました。その時に思いました。やめられる時にはやめるんだということです。無理にやめようとさせなくても良いんだと気づかされました。
当然ですが、他の様々な症状も落ちついてきていました。
本人は、まだ苦しいと言いますが、あきらかに症状が減っています。きっとあまりにも長い時間、症状があったので、良くなっていることにも気づかないのだろうと思います。
溺れそうになっている人には、道理は通じません。
溺れている人は、ワラでも掴もうとしてしまいます。そういう時に無理に助けようと手助けすると自分までもが引きずられて同時に溺れてしまいます。正義を振りかざすのは、まさにそういう状態であり、これは治療家病です。また、自分自身がとても感情的になっているのに気づきます。これも睡眠導入剤をやめられないと言っている人と同じ穴の狢です。つまり一緒に溺れているのだと思います。
だからそういう時はもの凄く疲れます。
相手はワラでも良いから掴もうとしているので、こちらが強く手をさしのべればさしのべる程、引きずられます。弱くても、ちょっとだけ、ワラよりは、しっかりしたものを最初に差し出して、少しだけ落ちつかせないと、何をやっても無駄になります。落ちついたところで手をさしのべれば一緒に溺れることはありません。
正論が悪い訳ではありません。しかし、正論を押しつけるのは、溺れている人にとって効果的な方法ではないということです。事実は伝えても良いですが、そのタイミングがあるということでしょうね。
人間の心理には二面性があるのです。
同じことを言っても同じではないし、タイミングがあるということです。
ミイラ取りがミイラにならないように!!
と思っています。