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国試塾ネクストステージ

午前第17問

2020.04.01 15:06

 55歳の女性。8年前に多発性硬化症と診断され、再発や寛解を繰り返し、2回の入院歴がある。現在は症状が落ち着いており、訪問理学療法で屋外歩行練習が実施されている。その際、理学療法士は運動強度を軽度から中等度とし、かつ、外気温の高い時間帯を避けて実施するなどに留意している。

 この理由として関係するのはどれか。

1. Barré徴候

2. Horner徴候

3. Lhermitte徴候

4. Tinel徴候

5. Uhthoff徴候

解答: 5




解説

多発性硬化症

• 中枢神経系の脱髄疾患。脱髄巣が多発(空間的多発)し、症状の寛解と再発を繰り返す(時間的多発)。

• 若年成人に発症することが多く、平均発病年齢は30歳前後。男女比は1:2~3で女性に多い。

• 視力障害、構音障害、嚥下障害、運動麻痺、感覚障害、小脳性運動失調、膀胱直腸障害などの症状がある。

【特異的な症状】

① 視神経炎、球後視神経炎

② 外眼筋麻痺

③ Lhermitte徴候:頭部の前屈で電撃痛

④ 有痛性強直性痙攣:激痛を伴う強直性痙攣

⑤ 発作性かゆみ:感覚刺激で強い掻痒感

⑥ 帯状絞扼感:体幹の帯状の異常感覚

⑦ 急性横断性脊髄炎:急性発症の四肢麻痺や対麻痺

⑧ Useless hand syndrome:感覚障害で手が不器用

Uhthoff現象:体温上昇による症状の一過性悪化




Barré徴候:

 上肢や下肢に軽度の運動麻痺がある場合に現れる徴候。両上肢を手掌を上にして前方に挙上し閉眼させると、麻痺側上肢は回内し、次第に下りてくる。

Horner徴候:

 交感神経路の傷害により生じる。病側の縮瞳と眼瞼下垂、眼球陥凹、病側顔面の発汗減少と皮膚温上昇を伴う。

Tinel徴候:

 末梢神経の損傷部位を軽く叩くと、痛みがその神経の支配領域に放散する現象である。