「KING KRAKUS AND THE DRAGON」Janina Domanska

もう桜が満開です。
そんな事を言うこともどこか憚られるような、寂しい空気。
先日は桜の花に雪で、何だか言葉の組み合わせとしてはキレイなようですけれど、自分はただ普通に、青空を向こうにした桜のほうが好きです。
人間は古来より、多くの教訓を物語の中にしまい込んで、後世へと伝えてきました。
それがどんな意味であったか、直接的には忘れられてしまっても、物語は生き延びる。生き延びた物語から謎を解くようにして、本来の意味を探るのは、まるで考古学者の仕事ですね。
「KING KRAKUS AND THE DRAGON」Janina Domanska
ジャニナ・ドマンスカの絵本は今までも幾つか紹介してきましたが、今回はお話の方にちょっと注目を。ポーランド出身のドマンスカが故郷の伝説を絵本にした本です。
このお話「クラクス王と竜」(ヴァヴェルの竜)はもしかしたら知っている人も居るかも知れませんが、ポーランドに伝わる有名な昔話なんです。
ポーランドの古都クラクフの成り立ちについての伝説です。
昔々のポーランド。すぐそばにヴィスワ川が流れる小さな町のお話。穏やかに人々は暮らしていたのですが、ある頃から悪い竜がやってきて、町の農作物を食い荒らし、若い女性も犠牲になっていってしまいます。
困った王さまは何とか知恵を出して、様々やってみるのですが上手く行かず….。そうしたところに一人の靴屋がやってきて…。
と言うお話ですね。
ヴィスワ川の麓の町クラクフ、そこに居る竜を退治して、街が繁栄した伝説。
よく言われるように、竜は川の神様で、その討伐は川の氾濫の制圧/抑制、その結果としての繁栄を伝えているのでしょう。
昨年ポーランドに買い付けに行った際には、このクラクフにも足を伸ばしました。
ヴィスワ川が大きく曲がる場所、その丘の上に建ったヴァヴェル城。多くの観光客がいた、美しい場所です。
河岸には竜の象もあって、火を吹いていました。
いつか、今の、このようなあれこれも、時の中で忘れ去られて、物語だけが残る日が来るのでしょうか。
またポーランド行きたいなあ、いつになるだろう、そんな事を考えながら、本のページを捲っていました。
ジャニナ・ドマンスカの絵のお話は全然全然出来ませんでしたが、個性的で、とても面白い作家です。
是非オンラインストアのほうでも御覧ください。
当店のジャニナ・ドマンスカの絵本はこちらです。

