Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

【経営戦略3】企業戦略の重要ポイント(ドメイン設定、多角化戦略)とは?~M&A~

2020.04.03 02:22

 経営戦略を策定するうえで、ビジョンを決め、次に企業戦略を策定するのだが、この企業戦略の策定において重要なポイントをおさえる。


 そもそも企業戦略において重要なところは、「どこで」、「どのように」戦うのかが重要である。極端に言えば、企業自身の戦う領域がわからなければ、とにかく剣を振り回し続け、敵陣深く切り込んでしまい、その後に回りに囲まれてしまい、虐殺されてしまうようなものだ。そういった意味で「どこで」戦うかを定義することは非常に重要になる。


 またどのように戦うのかを定義することも重要となる。あくまで市場のなかで自社がどのポジションに位置しているのかを定義して戦わなければいけない。自分自身の立ち位置を勘違いしてしまい、ひとりよがりな横綱相撲をしてしまっても勝ち目はない。

 そういった意味で、企業が「どこで」、「どのように」戦うのかは重要な項目となる。


 ドメイン

1.事業領域の決定

 先に述べたように「誰に」、「何を」、「どのように」戦うのかを決めることをドメイン設定という。この事業領域を決定することで意思決定の焦点を絞ることができる。また必要な資源を集中させることができる。


 ここで注意しなければいけないのは、選択した事業領域が狭すぎても事業を伸ばすことができない。また広すぎると戦略が分散化されてしまい。各事業の力が落ちてしまう。組織に応じた最適な事業設定が非常に重要になるのだ。


 また事業領域には企業ドメインと事業ドメインが存在しており、企業ドメインを設定後に、事業ドメインを決定しなければいけない。大きな領域と、そのなかでの領域の決定を行う。


2.定義方法

 ドメインの定義方法は「モノ」軸で定義を行うのか、「コト」として定義するのかが重要になる。


 「モノ」はわかりやすく言えば、商品軸ということだ。たとえば「車」という定義を行い、「車」に対してドメイン設定を行う。しかし、一見これは良さげに見えるかもしれないが、実は大きな落とし穴に落ちてしまう。マーケティングマイオピア(近視眼)と言われ、モノという軸に拘りすぎてしまい、重要な事業チャンスを逃してしまうことが多い。


 そう考えると、たとえば、「車」ではなく、「移動手段」と定義すると、たとえば車に変わった移動手段の商材を開発するかもしれない。

 よく言われる例は、「鉄道」だ。「鉄道」というモノに定義せず、「路線に住んでいる住人の満足度」という「コト」に定義することで、一気に事業機会を見出すことができる。

 これが所謂、「コト」としての事業設定になる。しかしながらこの「コト」の事業設定は抽象的な要素が多く、きちんとした定義付けを行わないと、わかりにくくなってしまう。


 いずれにしてもこのような切り口は、「市場、顧客軸」、「機能軸」、「技術軸」を起点において考えなければいけない。

 ドメイン設定をする際に、市場の環境変化に応じての対応が必要になる。

 このあたりの柔軟性も重要だ。


 多角化戦略

    1.アンゾフの成長戦略

 企業戦略で重要な要素、そのなかのひとつに「多角化戦略」という戦略がある。成長するベクトルとして事業の方向性をカタチづけ、その方向性を示唆する。

 また多角化する理由として以下の理由が主にあげられる。

 ・新規事業分野の開拓

 ・リスク分散

 ・組織スラックの活用

 ・シナジーの追求

 ちなみに、この上記のなかのひとつである「組織スラック」とは、良い意味での組織の余剰人員だ。人余りというネガティヴな要素ではなく、人材の最適な活用方法として多角化戦略を選択肢のひとつに入れる。


 ちなみに下記が成長戦略をマトリクス化したアンゾフの戦略というフレームワークだ。

 

  このなかで「新規の市場」で「新規のサービス」が多角化戦略に位置づけられる。


 2.プロダクト・ポートフォリオ・マネージメント

  また複数事業の管理としてよく使用されるのがプロダクト・ポートフォリオ・マネージメント(PPM)だ。非常に有名なフレームワークになるが、これを用いて分析する際に以下の条件が必要になる。


 ・製品ライフサイクル

 1導入期…売上が低く、キャッシュフローもマイナス

 2.成長期…売上が増加傾向にあり、キャッシュフローもマイナスからプラスに転換

 3.成熟期...売上は安定傾向にあり、キャッシュフローもプラス

 4.衰退期…売上は下降。キャッシュはマイナス


 このライフサイクルを基に下記分析を参照すると、

 問題児が導入期の事業、花形が成長期の事業、金のなる木が安定期の事業、そして負け犬が衰退事業となる。

 とすると、事業のライフサイクルは「問題児」→「花形」→「金のなる木」→「負け犬」というステップを踏んでいく。

 つまり多事業を配置するバランスとしてこの4つの要素を最適に配置させることが重要になる。たとえば問題児ばかりの事業を配置すると、キャッシュアウトを起こすし、金のなる木の事業だけだとゆくゆくはその企業は斜陽傾向になる。

 つまり、事業の最適配分がいかに重要だということをこのフレームワークは提唱している。


 ただ、たしかに非常に有効なフレームワークだが、いくつかの問題点も発生している。


 ひとつは、財務的な視点のみで語られていること。また過去の分析が基本となっており、マーケティングの要素があまりないこと。そしてシナジー効果などは無視されていることだ。もっといえば、負け犬事業の従業員のモラル低下もリスクとして存在している。

 

 経営戦略を策定をするうえで、企業戦略は最重要項目だ。様々な分析手法を用いて最適な企業戦略を作ることで、事業の可能性を見出すことができる。

 ただし、分析麻痺症候群だけはならないようにしなければいけないことを忘れてはいけない。