真の脅威 #インフォデミック (下)ウイルスより人間が怖い2
まず僕の意見
僕自身は「新型コロナウィルス」が「生物兵器」なのか「否か」は「はっきりと断言することはできません」し「結論は出せません」が「一つの意見」として「一読に値する」と思うので「読者の方々一人一人」が、この記事を読んでみて「自分自身」で「冷静」に考えてください。終わり。
2020/4/1 真の脅威はインフォデミック(下) ウイルスより人間が怖い 2
「Japan In - depth 林信吾」様よりシェア、掲載。ありがとうございます。感謝です。
林信吾の「西方見聞録」
林信吾 作家・ジャーナリスト
1958年東京生まれ。神奈川大学中退。1983年より10年間、英国ロンドン在住。現地発行週刊日本語新聞の編集・発行に携わる。また『地球の歩き方・ロンドン編』の企画・執筆の中心となる。帰国後はフリーで活躍を続け、著書50冊以上。ヨーロッパ事情から政治・軍事・歴史・サッカーまで、引き出しの多さで知られる。少林寺拳法5段。
【まとめ】
・「皆がネットで書いている」と信じる人は「ビリギャル」笑えず。
・致死率低い「生物兵器」を作る暇人はいない。
・政府筋情報は鵜呑みせず。パンデミックとインフォデミックは人災。
先日たまたま『ビリギャル』という映画を観たのだが、実に面白かった。
原作がベストセラーになったので、ご存じの向きも少なくないと思うが、偏差値37だかの学年ビリの女子高生が、学校が見放したような生徒を見捨てない、というポリシーを掲げる塾の先生と二人三脚で勉強し、慶応義塾大学の入試を突破するまでの物語だ。
その、勉強を始めたばかりの時に、有村架純演じるヒロイン(役名・さやか)が、英文読解の問題で、まずもって質問の意味が分からない、と言い出す。
「サンタクロースは本当にいると思うのか、ってことでしょ?」
これを聞いた伊藤淳史演じる塾の先生が、怪訝そうに問い返す。
「君は、サンタクロースが本当にいると思ってるのか」
「だってTVに出てるじゃん」
これを聞いた先生、一瞬、毒気を抜かれた表情になるのだが、すぐに昭和世代には懐かしい<スペシウム光線>のポーズをとりつつ、こう切り返す。
「ウルトラマンも、TVに出てるよね」
次の瞬間、さやか嬢の嬌声が教室に響き渡る。
「え、うっそー、まさかのそっち系?!」
私も一瞬、状況を理解することができず、一呼吸おいてから爆笑した。
……唐突になにを言い出すのか、と思われたかも知れないが、実はこれ、林信吾流
「罪なき者、石もてこの女を打て」
という話なのである。
前回、インフォデミックについて紹介させていただいたが、
「みんながネットで書いてることだから、本当だ」
と簡単に信じ込んでしまう人たちには、この女の子を嘲笑する資格はない、と私は思う。
NHKの特集番組でも取り上げていたが、今年2月に
「新型コロナウイルスは生物兵器である」
という話が広まり、ネットがたちまち沸騰した。ここで「炎上」と書かないのは、そんなバカな、という批判的な声が存外少なく、結構みんな真に受けていたように思われるからである。
同じ頃、感染による死者数などのデータが公表されたが、武漢においては、
「65歳以上の人が感染した場合の致死率は70パーセント以上」
「心臓や呼吸器系に持病があった人が感染した場合、致死率は85パーセント」
であるものの、世界レベルでは致死率2パーセント台にとどまっている上に、若年層は感染率・致死率ともにかなり低いことが明らかとなった。
「若くて健康な人であれば、たとえ感染してもそう簡単には死なない」
のであって、どこの暇人がそんな「兵器」の開発に血道をあげるというのだろうか。
これはおそらく、デマではなく単に「ビリギャル的誤解」ではあるまいか。
本誌でも古森義久氏が紹介していたが、中国人民解放軍の関連施設であるウイルス研究機関があり、そこで、新型コロナウイルスに感染した実験動物が、誤って施設の外に出されてしまった可能性があると、中国人研究者が証言した。このような情報が誤解されたまま拡散したのかも知れないが、いずれにしても不確実で、あくまでも私見であると明記しておくが、
「中国の市場では、野生のコウモリや野ネズミが、そのまま食材として売られているので、それが感染源だ」
という説の方が説得力があるように思う。
かねて中国の食文化について、
「四本足で食べないものは机だけ。飛ぶもので食べないものは飛行機だけ」
などと言われてきたし、有名な『美味しんぼ』という漫画(雁屋哲・原作 花咲アキラ・画 小学館)でも、その「食に対する情熱」が幾度となく賞賛されていたが、世界中の観光地で中国人の姿を見かけないことはない、という昨今であれば猶更のこと、衛生管理にも少しは情熱を傾けてほしいものだ。
一方では、こんな問題もある。
新型コロナウイルスが、もっぱら中国人の観光客や移民労働者によってもたらされた、という話が広まったため、各地でアジア系住民に対する排斥の動きがあり、とりわけ歴史的にこの問題が深刻な米国西海岸では、当のアジア系住民を中心に銃の売り上げが伸びているという。彼らの心配が杞憂に終わることを願うしかない。
3月に入ってから、ヨーロッパでの感染拡大が相次いで伝えられ、特にイタリアの深刻さが報じられている。3月20日段階で、死者4000人を超えたとか。
これについても、中国人の移民労働者が多いからだ、という言説が拡散した。
米国西海岸やブラジルの方が、中国系移民の密度ははるかに高いのだが、どうしてイタリア以上に深刻な事態とならないのだろうか。
この理由は割合簡単で、イタリアは10年来の経済危機で医療機関の閉鎖が相次ぎ、残った病院でも人手不足が深刻で、つまりは医療崩壊の状態にあった。
最近ようやく回復の兆しが見えてきたと伝えられていたが、その出鼻をくじかれたというか、最悪のタイミングでパンデミックに巻き込まれてしまったのである。
この点わが国は、中韓からの渡航制限など、初動の対策では後れをとったものの、医療機関がまだまだ(少なくともイタリアやスペインとの比較で言えば)しっかりしていたため、感染率は世界17位にとどまった。しかしながら、致死率は世界5位で韓国より高い。
これはどういうことかと言うと、韓国では1月末に最初の感染者が確認されてから3月中旬までの時点で、22万人以上に検査を受けさせたが、日本では「医療崩壊」を心配するあまり、最新の検査キットの認可や軽症者の隔離治療施設の拡充で後れを取っているからだ。現状の検査では発見率が70パーセントにとどまると前回述べたが、検査率と検査能力の差が致死率の差に直結していることもまた事実なのだ。
総じて言えることは、
「日本政府の対応がきちんとしているから、未だ非常事態宣言にも至らないで済んでいる」
という政府筋からの情報は、鵜呑みにしないほうがよい。
すでに本誌でも清谷信一氏が、厚生労働省などの記者クラブは「報道機関ではなく広報機関」だとする記事を書いているが、確かにその通りで、マスコミが権力を監視する機能を自ら放棄したに等しい有様だから、新聞などよりネット情報の方が信用できる、と信じ込む人が増えたのである。自分で調べ考えたことを書かない彼らもまた「ビリギャル」のことを嗤う資格などない。
今次のパンデミック、そしてインフォデミックは明らかに人災だと私は考える。