Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

近世の混乱4-娼婦ヴェロニカとマグダレナ

2020.04.04 11:28

1575年一冊の詩集が発行された。書いたのはヴェロニカ・フランコ高級娼婦(コルティジャーナ)である。彼女は離婚されて、娼婦として生きることを選んだ。イタリアでは当時高級娼婦は上流階級の間で普通の存在だった。大司教になったピッコロミーニは自由恋愛のすすめを書いている。

そして彼女達は自分の礼拝堂さえ持つようになった。その守護がマグダラのマリアである。マグダレーナは、聖書ではイエスに7つの悪霊を追い出してもらった女として、復活の証人となる。ところがグレゴリウス1世は、福音書に出て来る印象深いマリアという名の罪の女を皆マグダレーナにしてしまった。

結婚していない女性が生きるのは困難で、娼婦か修道女しかなかった。マグダレナはイエス昇天後、南仏に行きサント・ボームの洞窟で悔悛の日々を送り、ついには昇天したという伝説がある。彼女は悔悛のモデルとなり、娼婦のみならず大聖女達も崇敬の対象にしている。

画家達はマグダレナだけはヌードを描くことが許された。聖母に収まらない女性達をすべて面倒みたのがマグダレナである。詩人ヴェロニカは、仏王アンリ3世とも交際し、詩集の収入は、娼婦やその子供達のために使った。宗教裁判も退け、貧しいままで亡くなったが、マグダレナは救ってくれただろう。

下は邦名「娼婦ヴェロニカ」