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彩ふ文芸部

心の支え 執筆者:けんとん

2020.04.05 10:01

皆様こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

新型コロナウイルスの影響で混乱されている方も多いかと思います。

今は実際に触れたり、訪れたり、そして話たりということが難しい時期です。

僕たちができることは限られてきています。

しかし裏を返せば選択肢が減り、行動しやすくなったとも言えるのではないでしょうか?

人間は多くの選択肢に囲まれていると決断できなくなるという研究データもあります。

僕は今大切な事はインプットだと思っています

人と会うことに使っていた時間を自分の知識や教養や興味を増やす時間に変えてみてはどうでしょうか。

幸い今はインターネットが発達しています。

本は電子書籍で読めます。

映画も配信サービスが充実しています。

そうすることでネット社会の良いとこ取りをしてもっと明るく過ごせるかと思います。


とわいえ読書好きな皆さんはいつも以上に本を読む時間が増えていると思いますが笑

これを機に本に触れたり映画に触れたりする方が沢山増えていくと良いなと思っています。


そんなわけで今回紹介する本は、村田沙耶香著「マウス」です。

あらすじ

大人しい内気な少女を演じることで自分の居場所を守ってきた主人公の律。そんな律はクラス替えで新しいクラスメイトと出会う。友達も協調性もない浮いた存在の瀬里奈。彼女は臆病な律を変えていく。律と瀬里奈の小学生時代と大学生時代を描いた青春小説。


3年ほど前に読んだ本ですが、あるニュースを見てこの本について書きたくなりました。

青少年読書感想文全国コンクールのニュースだったのですが、低学年の部で最優秀作品を取った女の子の文章が紹介されていて非常に心に響きました。

草野あきこさんが書かれた「魔女ののろいあめ」という絵本の感想文でしたが、この文章は僕がマウスを読んで感じた事と似たことが書かれていたのです。


以下はご本人の文章です。


こののろいは「呪い」と書き、「呪い」は「まじない」とも読むとじ書でしった。「おまじない」は悪いことがなくなるよういのることという、「のろい」とははんたいのいみになるともしり、とてもおもしろいと思った。・・・「呪い」も読み方によって、よいいみにも、悪いいみにもなる。このま女のアメも同じなのだと思う。わたしやみんながたくさん人のよいところを見て、よいいみの言ばを多くつかうようになったらいいな。(https://dokusyokansoubun.jp/text65rd/stei.htmlから引用)


マウスの主人公、律はとても臆病でおどおどしています。

とあるきっかけでマウスという言葉を辞書で調べると臆病でおどおどしている姿という部分を見つけ、自分はマウスだと思うようになってしまう。

大学生時代までそれは続きますが物語の終盤にあるきっかけで彼女はマウスの別の意味を知ります。

その時に彼女は実は一番憧れていた部分は自分の中にあったということを知るのです。

言葉の意味の一つでこれほど傷ついてしまった律が理想の自分に出会えた時のひっくり返る瞬間はとても心が暖かくなりました。

電車で読んでいたのですが号泣してしまったのを覚えています。

優秀賞を取った女の子は同じ言葉でも読み方が違うと真逆の意味になること知り、いい意味の言葉を使いたいと感じました。

僕は一つの言葉の中には沢山の意味があり悪い部分も良い部分もあることを知り、その言葉の良い部分を見ていきたい感じました。

彼女と僕とでは二回り近く年が離れています。

僕の精神年齢が低いとか、彼女が大人びているという話をしたいわけではありません。

作品は違えど、同じような感想を持ったいうこと人間がいたことが非常に嬉しかった。

大人になって気づいた僕とは違って彼女は子供の時にこのことに気づいた。

辛いことがあってもこの作品を読んで思った感想を忘れずに強く生きていってほしいと思います。

人間というものは悪い言葉を言われた時、良い部分を見つけるのがどうも苦手なようです。

僕自身たくさん悪い意味だけをとらえて落ち込んでしまうことが沢山あります。

先日もネガティブになってしまうことが起きました。

会話が続かないので引き出しがないよな、と言われてしまったのです。

自分は会話が苦手ですし、正直文章を書くことも得意ではありません。

それでも人と話したりこうやって文章を書いているということは、心のどこかで話したい書きたいと願っているからだと思います。

その気持ちにまず気づくことが大切なのだと思います。

しかしその気持ちには気づいていても、諦めて同じことの繰り返しになってしまうことだけは避けなければならない。

そうならないためにも彼女の言葉を胸に生きようと思う。

「よいいみの言ばを多くつかうようになったらいいな」

小さな彼女からの大きな言葉は、色々なところに生きてくる。

この言葉を思い出すたび、僕は上を向いて歩いてしまうだろう。

涙がこぼれないように。