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高橋キノエネのーと

20200405所感

2020.04.05 10:10

ここ数週間はまるで梶井基次郎の「檸檬」の冒頭の一文がしっくりとくる世界に生きている気分である。

自粛という言葉が行動規範とか心理表明といったものを超越し、今や概念として人々の生活の根底に存在している、というのは言い過ぎかもしれないけど、判然とせず得体の知れないモノを前にして、自画自賛したくなるぐらい進んだ文明をもってしても、人類はこの危機に対し、なぜだかどうして、一致結束して行動できない姿を見ていると、新世紀エヴァンゲリオンで描かれた「人類補完計画」の目的をふと思い出されてしまい、これだからオタクは困るなぁと我ながら思う訳である。


さて、てんで経済分野に関しては素人であると前置きした上で。日本政府がこの危機に対し、具体的な経済財政政策をいろいろと打ち出しているけれど、それが正しいのか否か、様々な意見があって、それを読み解いて理解しようとするものの、さっぱりわからない。けれども素人なりに違和感を覚える点は多々ある。

全国民に現金給付すべし!とマスコミを始めコメンテーターの方が諸外国の現金給付額を列び挙げて要求しているけど、海外と我が国の事情はそれぞれ異なるし、諸外国の対策をよく観察してみれば、やはりマスコミは金額を強調しすぎていて、給付方法や対象など実情は決して単純なものではないことが分かる。また省庁間の争いなどと煽るような発言もチラッと伺うが、これは予てから述べてきた持論だが、「一度目の首相の座をポンポンペインで投げ出したと揶揄され、所属政党も選挙で下野して、散々叩かれまくって、それでも再び政権に就き、二度目の首相になった男」が霞が関の官僚を政治的に統制できていない、などとは考え難く、短期間とはいえ熟考を重ねた末の判断だと思っている。

1世帯にマスク2枚を配ることに対しても、SNS上を見渡せば散々な叩かれようであるし、だからといって一方的なものの捉え方をすべきではないし、霞が関の省庁で働く人々は知識も知恵も国内トップクラスの優秀な人達だから、考えに考えた結果が「マスク配布」なのだと思っている。マスクはどこに行っても品切れで売ってないので本当に有り難いし、飛沫による感染拡大を防止できるので、ガーゼマスクでも嬉しい。使い捨てのサージカルマスクは是非とも医療機関を優先にして行き届いてほしい。

ただ、この際に問題なのが、その決定に至ったプロセスを我が国は堂々と発表しない事だと思う。何故そういう結論に至ったのか、簡潔に説明してくれれば、こっちだって「あぁそういうことか」と見向きもしなかった視点に至るきっかけとなる訳だし、日本独特の「感じてね、察してね」文化は滅亡しなければならない。もっともっとオープンになってほしいし、そうしなければ日本人の大好きな「安心安全」が担保できない。改善すべき点はたくさんある。

ところで、都市封鎖という言葉が何やら独り歩きしているように見えるのだが、これに対し何故誰もはっきり言わないのか不思議に思っている。

「憲法違反になるからそんなこと出来るわけがない」

現行憲法が施行されて以来、我が国は襲来するであろう国家的な緊急事態に対し、何ら抜本的な対策を講じてこなかったし、憲法の制約を超える範囲に対しては内閣法制局の「解釈」という言い訳で事流れ主義を貫いてきた。都市封鎖は現実的ではないし、実際、改正された新型インフルエンザ等対策特別措置法では緊急事態宣言が出されても各都道府県知事は国民の財物等を制限できるが、国民の生活行動に対しては直接の制限を設けることはできない。だって憲法違反になるんだもん。

付け加えれば、「3密を避け、外出を自粛要請しつつ、経済を完全に止めない」という方策はやはりこれも憲法違反をすり抜けるギリギリの方策なのかもしれない。命令ではなく自粛だから行政は責任取らなくてもいいし、自粛による経済活動の減退だから行政が補償する理由がない。本当に明日の生活もままならない人に対する補償制度は既にあるし、いざとなったら大胆に政策を打ち出す。きっとこんなふうに考えているんじゃないかな。ひと事みたいな言い方するみたいだけど、客観的に見て行政ってのはそういうイメージだし、日本はどこまでいっても自助を尊ばれるので、なんだか変な国だよねって思うしか無い。


はぁ。結局きょうは家から一歩も出ずに日が暮れてしまった。風が強かったおかげで窓全開にして部屋に積もったホコリをブロアで吹きまくって、ただでさえナニ臭い部屋が清々しい環境となったことは喜ばしい限り。

ホントいつまで続くのか、ただただ不安が募るばかりだけど、みんなで頑張ろ。

なんとしてでも医療崩壊だけはさせてはいけない。

今この瞬間も戦っているすべての医療関係者に感謝と激励を。


医療の分野について、映画「AI崩壊」を観て以来思うことがあるし、猪瀬直樹先生の医療・介護をテーマにした単行本にも興味があるので、本を読んでからじっくり考えたい。