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Take It Easy♪熟女妻の日々徒然

不思議な出来事【3】~連鎖~

2016.05.13 05:46



偶然が重なりわたしは若旦那君と対面した


頼まれて出勤したその後、本来のバイトの出勤日である週末に


いつも通り出勤するとその日の遅い時間に


彼はわたしに本指名を入れひとりで来店した


わたしは彼を確認すると席には座らずにこう言った


指名を間違えていませんか?わたしじゃないですよね?


でも彼はまっすぐにわたしを見て


『愛さん(わたしの源氏名)です。愛さんを指名しました』と言ったので


わたしは首をかしげながらも隣に座り来てくれた事にお礼を述べた


そして普通ならここで『また会えて嬉しいですぅ~』と


すかさず媚びていくのが夜の女の悲しいさだめなのだけれど


なぜか彼にはそうせずこんな質問をした


どうしてわたしだったんですか?他に若い女の子いっぱいいるのに・・・?


そのお店は18歳~25歳くらいまでの若い女性キャストが大半で


当時まだ19歳だった若旦那君がわたしを指名した事に困惑し


違和感もあったが彼はこう言った


『あの日愛さんに逢ってから忘れられなくて・・・


どうしてもまた逢いたくてお店に電話をし


愛さんの出勤日を聞いて今日来ました』と。



その日たいして話が弾んだわけでもないのに


彼はその後も指名を入れわたしに逢いに来た


彼はわたしにとって徐々に“太い客”になりつつあったが


わたしは彼にこんな店で散財させることが絶えがたく


『こんな時間まで大丈夫?ご両親が心配するからもう帰った方がいいよ』


とキャバ嬢にあるまじき言葉をかけ来店の度彼に早く帰るよううながした


彼には来店の度プライベートで逢って欲しいと言われていて


その事にも困り果てていたが不思議と嫌悪感は無かった


女性キャストの大半が若い事もあり客層は幅が広く


大学生が来る事も珍しくなかった


若旦那君と同世代の指名客は他にも居たのだけれど


軽いノリの彼らと若旦那君は全く異質だった


純粋無垢という言葉がぴたりと当てはまり


なぜか彼の言葉が胸に響いてしまう


これ以上この人をここに通わせてはいけないという罪悪感を抱いても


もう来ないでとハッキリ言えないわたしだった


そんなある日他のテーブルでかなりお酒を飲まされた時、若旦那君が店に来た


どういう成り行きか酔った勢いもあり


とうとうわたしはプライベートで食事の約束をしてしまった



そんな事があった中、わたしはその話を一番上の子のなおに相談していた


その後なおがわたしと前夫の間に入り揉める事も無く離婚が成立した


前夫は離婚を渋っていたが


『子供を置いて出て行くような女とはさっさと別れた方がいい』と


なおがうまく話をもっていき、渋々ながらもサインしたらしい


不思議なほどすんなり離婚出来た事で


わたしは拍子抜けした事を今でも覚えている


なおには置いてきた荷物のほとんどを処分してもらい


わたしは必要最小限の持ち物で生活していた


離婚後も相変わらず息をひそめ隠れるように生きていた


何もかも捨て、何もかも失い、ひとりぼっちだった


そんなわたしに将来など見えるはずも無く


あるのは孤独と絶望だけだった