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横審

2016.05.30 20:55

通称「よこしん」こと横綱審議委員会の元委員、内舘牧子氏の最新刊の表紙には花束を抱えた男性のイラストが描かれているもののどことなく哀愁が...。そのタイトルはズバリ「終わった人」。亭主元気で留守がいいとの川柳が如く家に居られては御荷物と妻の冷たい視線を浴びつつも近所には気脈通じた仲間は居らず...と退職組。

その模範となるか、仕事こそ命、炊事洗濯、掃除に子育てはオンナのつとめとの価値観が根付くわが家などではそのへん一式を妻に委ねている、というか単に携わらせてもらえないだけの話なんだけど、将来に不安がない訳でもなく。昨今は運動会の場所取りは父親の仕事とされているらしく早朝より話題の列に並ぶことになった。世のイクメンの動向を探るべく関係者に事情聴取を行えば朝5時半には十名、隣の小学校なんぞは朝4時に既に数十メートルの列だとか。

ということで早朝に玄関を出たものの、あくまでも「並んだ」という実績が大事とばかりに近所の事務所にて時間をつぶして適当につとめを果たした。さりとて、寝不足には変わりなく、開始後に大の字で寝ていれば過去にそんな写真を仲間に撮られて未だゆすられ続けているものの、未だ被害がないのは知名度の低さか。確かにほんと顔見知りが少なく、これじゃ次回の選挙もおぼつかないと募る危機感。ならばPTA会長にでも立候補して...そりゃさすがに節操がない、というかこんな偽善者には推薦してくれる人がいないんだナ。閑話休題。

歴史に一ページを刻む抱擁で幕を閉じた伊勢志摩サミット。そこで振る舞われた酒やワインに注文が殺到、特需が生まれるのは今回に限った話ではないんだけど、中でも首脳らの配偶者たちをもてなしたのは平成生まれのシェフ、それも現役の高校生であって、運動会の待ち時間を利用して「高校生レストラン、本日も満席。」(村林新吾著)を読んだ。ちなみに著者は当該校を一躍有名にした当事者の教諭本人。

何も詰め込みばかりが教育ではない、世の中の役に立つ立派な人物を育てることこそ教育の本分。調理技術のみならずおもてなしの心を養う為に高校生レストランいう企画に到るものの、そこに立ちはだかる高い壁。食中毒への懸念や万が一発生した際の責任の所在等々の苦情、が、何よりも「前例がない」との定番中の定番の口実に気が萎えるのはこちらに限った話ではなく。そのへん余計なことはやらぬに限るとの風潮が蔓延する昨今の現場にあって、批難を受けようともその困難を克服しようとする原動力は子供たちの将来を想う教師の親心以外の何物でもなく、そんな姿勢に教育の意義を考えさせられる一冊。