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鮫島卓研究室 SAMETAKU-LAB

旅行業インターンシップ実習報告(HISにて)

2020.04.08 06:25

駒沢女子大大学の観光文化学類では、授業の一環で企業でのインターンシップ実習を行っています。今回は、2020年2月~3月にHISのエコツアー・スタディツアーの部署で実習を行った伊藤ひかるさんに実習を振り返ってのインタビューを行いました。

1. 実習で最も印象に残ったことは何ですか。嬉しかったことは何ですか。

スタディツアーデスクの、カンボジアボランティアツアーの中で行うワークショップという、こちら側からカンボジアの子供たちに何か日本に関連した学びをプレゼントしましょうというプロジェクトがあります。それは、夏祭りや運動会、判子作りや扇子作り、手作りお花見体験などの、日本文化を一緒に楽しむような取り組みです。私は次にやるその内容を考えてみようとのことで、先輩方から季節感や規模のアドバイスをいただいて、日本の入学式とすごろくを計画して提出しました。


調べるとカンボジアには日本でやるような規模の入学式がないそうで、学期が始まったらすぐに授業だそうです。せっかくめでたく入学したのだから、私がやってもらったようにカンボジアの子にも入学式をやってあげたくて、日本の一般的な入学式でやってるように偉い人からのお言葉をいただいたり、勉強頑張って!との思いで鉛筆と消しゴムをあげたりしようと計画をしました。それだけじゃこちらからモノをあげるだけの一方通行になってしまうので、その鉛筆(サイコロ代わり)と消しゴム(コマ代わり)で遊べるすごろくをやろう!と思っていたのですが、入学式の案は通らずすごろくだけが通りました。正直私の中では入学式をメインで考えていたので少し落ち込みました。入学式がなくなったから、サイコロとコマが鉛筆と消しゴムである必要もなくなり、ちょっとアクティビティの入ったすごろく作りになりました。でも、そんな入学式を拾ってくれる先輩がいたんです!


たまたまランチでそのワークショップの話をしてたら、そのかたが入学式の案を気に入ってくださって、次の次のツアーでやろうと言ってくださいました。私がカンボジアの子たちにやってあげたかった入学式の案が通ってとても嬉しかったです。



2. 苦労したことは何ですか。

質問するのを怖がらないことを続けることです。

実習が始まってすぐの頃は、理解を深めたりミスを防ぐためにわからないことはすぐに聞いていましたが、日にちが経つにつれて聞くのが怖くなってきてしまいました。今これを聞いていいのだろうか、面倒だと思われているのではないか、そんなこともわからないのかと呆れられるのではないかなど考えてしまって、聞きたいことはまとまっていてあとは聞くだけなのに、声にならなくてタイミングを逃して保留してしまうことが増えていきました。


でも、やっぱりそれは嫌で、なんて思われても、怒られてもいいから聞こうと決意しました。ただし、たくさん聞くことになるので聞き方も改めて考えました。例えば「次何すればいいですか?」ではなく「終わったので次これやろうかと思ってるんですけど他にありますか?」と、相手がまずは「はい」「いいえ」で答えられる限定質問ができているか再確認しました。次に何をすればいいか相手に無数の選択肢の中から考えさせてしまうより、自分で考えたことを良いか悪いか判断してもらうほうが、相手にも自分にもメリットがあるとアルバイト先で学んでいたからです。


もう一つは、聞くタイミングです。隣の人、目の前の人が今人に構える状況かを見て判断をすることです。右隣の人が2連休明けなら、共有事項を確認するなどほかの人より忙しいのでその人には極力声をかけないようにすること。また、聞く前に「○○さん、今聞いてもいいですか?」と一言断りを入れることを心がけてみました。これは実際に社員さんが言っているのを見て学んだことですが、この一言が有ると無いとではずいぶん違いました。聞き返されないし、相手を焦らせてしまうことがなくなりました。


ツアー作成やホームページ・ポスター作成など苦労したことは他にもありますが、色々考えてしまって聞けなかった自分を変えるのはこの実習中もっとも自分の中で意識したことでした。


HISの方々は多分聞かれて面倒だと思ってはいないと思うので、あくまでも私の不安な気持ちからの憶測です。



3. 実習前と実習後で旅行会社やHISに対しては印象はどのように変わりましたか。

実習をしてみて、旅行会社に対しては想像以上に事務作業が多い印象を持ちました。実習前はお客様対応や電話対応が5~6割で、パソコンに入力する作業などそんなにないと思っていましたが、実際はお客様対応・電話対応が1~2割で、入力・印刷・ミスがないかチェックなど事務作業が8~9割でした。時期が3月で新型ウイルスの影響もあったと思うので、通常はもっとお客様が来店してくださったり、電話かかってくると伺っていたのでこの比率はあくまでも私がこの時期に行って感じたことです。


事務作業というのも、実習前のイメージは、あらかじめ飛行機と宿はHISで確保してあって、そこにお客様が入ってくるようなイメージだったので、こちらの作業はお客様の個人情報・パスポート情報など入力するだけだと思っていました。しかし実際にやらせていただくと、飛行機と宿の空き確認の電話・予約できたらシートにフライト番号や時間の入力・宿にファックスするために情報入力・eチケット発行のために入力して印刷……など、まだまだありましたがこのように一つ一つ細かい作業がたくさんありました。


思えば、旅行会社は交通機関・宿とお客様の間に立つ会社だから確かに作業はたくさんあると納得できました。


また、HISに対しては、楽しいことや新しいことをするのが好きな会社だと実習前も今も思っています。しかし実習前と後とでは少しその中身が変わりました。実習前は、パンフレットのたくさんのカラーを使ったデザインやホームページや店舗ごとに内装を変えているのを見て楽しいことや新しいことをするのが好きな会社なんだなと感じましたが、実習をさせていただいた後は、朝礼で社員さんが自分たちにもメリットがありそうな企業の紹介をしていたり、みんなで相談してパンフレットの写真を選んだりしているのを見て、「みんなで同じ目標に向かって頑張るチーム」という意味で、楽しいことや新しいことをするのが好きな会社だと改めて思いました。



4. 最も学んだこと、今後に生かせることは何ですか。

私は、旅行会社ってどんなもんなんだろう?と、最初は会社の中をのぞきに行く感覚でした。しかしこの3週間のインターンでたくさんの人とお話したりランチに行ったりして拘っていくと、仕事内容にも意外な気付きはありましたが、最も強く印象に残ったのは、皆さんがそれぞれ強みを持っていたことです。知識量が図抜けた人、責任感に満ち溢れた人、準備の準備までする人、素敵な電話対応をする人、島が大好きな人、フレンドリーな人など、皆さんがそれぞれ違った色を持っていました。私はこれに気付いたことが、自分に強みがあるのかを考えるきっかけになりました。もし私がこの会社に入社したならば、どのように自分が機能して欠かせないチームの一員になれるのかを考えて、自分に足りないもの、これがあったらいいなと思うものをこれから身に着けようと思いました。


最初は業務内容やおおまかな一日の流れなどがわかるくらいなのかなと思って実習に臨みましたので、まさか自分がこんな思いもしなかった体験ができて大変嬉しく思います。


(取材:鮫島卓)