スチールドラゴン2000(ナガシマスパーランド)
長さ2479m、高さ97m、最高速度153km/h/最大傾斜68°
Layout:Morgan/Trains:Bolliger&Mabillard
開業当初、高度、落差、速度、全長の4つで世界一となったモーガン社製のハイパーコースター。オープンから20年経った現在でも、長さ2479mという世界最長記録は保持し続けている超巨大コースターだ。2013年3月には、バスタブとさえ言われていたモーガン社製の大きな箱型の車両を、B&M社製の囲いがない開放的な車両にリニューアルしている。この車両はUSJのハリウッド・ドリーム・ザ・ライド(以下、ハリドリ)に代表されるB&M製ハイパーコースターをカスタマイズしたオリジナル車両になっている。ハリドリであれば、1両横4席で4人乗りのところを、横2×縦2の4人乗りになっており、また前列より後列の方が少し座席が高めになっている。腰の安全バーの形状は似ているが、追加で座席のサイドにシートベルトが付けられている。また、ハリドリにはない、すね当てが付けられていて、過度に足を上げたりすることができなくなっている。全体的により日本的な安全基準の元、カスタマイズされているという印象だ。「むき出し、むき出し、シートがむき出し〜♫」という謎のテーマソングがリニューアル以降、待ち列でウザいぐらいにずっと流れていて、ドドンパを上回る洗脳ぶりだった。最近、流されなくなったようで、それはそれで寂しい。
コースターの規模の割には小さめなエントランス
ロゴがカッコ良い
エントランスに設置されたテストシート
長すぎる待ち列
一番奥まで埋まったことがあるのだろうか
駅舎の様子
階段下で注意事項の書かれた小物入れが渡される
乗り場の様子
横2×縦2のB&M車両はおそらくここだけ
開放感のあるカッコいい車両
駅舎から出発し、少し下ると、なぜかいきなりブレーキ。これはかなり謎。そのまま右に折れて、巨大な巻き上げを上っていく。高さ97mは巻き上げ式としては世界2位の高さ。あまりにも巻き上げが長すぎて、チェーンが2つに分れている。右側にはキャットウォークがあるので少しだけ安心感があるが、左側だと何もなく、本当にむき出し。すぐ横に遊園地と海が広がっており、普段は見上げるだけのスペースショットやスターフライヤーが下に見えるのが新鮮だ。車両がリニューアルされてから、更にその高さは際立っている。僕は高所恐怖症の絶叫マシン好きなので、この巻き上げが一番スリルを感じる。あまりにも高くて、風の影響で運休しやすいので、朝一で動いているなら早めに乗っておくことをオススメしたい。
エントランス横に風速が掲示されている
おそらく巻き上げの長さは世界一
高すぎてチェーンが2つに分かれている
逆光で見にくくなってしまったが、観覧車から見た
スチールドラゴン2000の全体
また逆光で見にくいのだが、高速道路から見た
スチールドラゴン2000の全体(先ほどと逆から)
ファーストドロップは落差93.5m。これも巻き上げ式としては世界2位。このドロップは落下の怖さよりも、あまりのスピード感に驚く。前方車両では、最下部での振動がかなりのもので、少しキツイぐらいだ。全体的にも言えることだが、スチールドラゴンは圧倒的に後方車両がオススメ(席は選べないので、運次第だが)。ファーストドロップでも、白鯨のような激しさはないが、爽快感が強く、気持ちの良い浮きが楽しめる。
そのまま、すぐに巨大なキャメルバック。セカンドドロップでも、なんと驚異の高さ77m。スピードに乗ったまま、傾斜を上り、乗り越えるので、先ほどよりも強い浮きがある。高さ77mでの浮きは最高だ。間違いなく、スチールドラゴンのハイライトと言える瞬間だろう。
超巨大なファーストドロップ
ドロップだけで最高速度153km/hに達する
ナガシマのメインゲートへ向かう道から見た様子
入場前から圧倒的な存在感
高さ77mの巨大なキャメルバック
次の山もまだ高さが64mある。敷地の端っこに位置しているので、最上部に上ると、目前に海岸線の景色が広がって本当に美しい。ただ、この山は少し高すぎるのか、スピードが落ちてしまうので、浮きは先ほどに比べると弱め。その後の、サードドロップは右に旋回するように落下する。その流れで、巨大な8の字を描くように旋回。旋回するだけとは言え、普通のコースターでは考えられないぐらいの高低差を伴っているので、スピード感が凄い。途中、隣のモールの近くを走っているのだが、モール側から見た時に、こんな所走っていたっけ、と思ってしまうぐらいの速さだ。割と中だるみ扱いされるパートだが、あくまでも爽快感に狙いが変わっているだけという感じがする。8の字を抜けると、サードドロップの下に真っ直ぐ向かい、かなり長い中間ブレーキとなる。
ここから終盤戦。怒涛の6連キャメルバックが始まる。英語だとバニー・ホップと呼ばれる小さなキャメルバックの連続。また狙いが変わるのだ。振り回されるような浮きが連続し、途中2ヶ所トンネルもあって、かなり楽しい。巻き上げの最下部と並ぶ形で、またかなり長いブレーキ。ぐるっと大きく待ち列を囲むように、走行距離を稼いでから、駅舎に戻る。
高さ64mという、ここからでも大型コースターを
スタートできそうなキャメルバック
サードドロップは大きく旋回しながらの落下
8の字の1つ目の円
8の字の2つ目の円
逆から見た様子
最後に地面の近くを大きく旋回
8の字の間はモールにつながる通路になっている
横から見ると、高低差がある8の字
かなり長い中間ブレーキ
先ほどのコースの下を戻っていくように
6連のキャメルバック
途中でトンネルが2つあり楽しい
激しい浮きが連続する
おそらく世界一長いブレーキゾーン
待ち列を囲むように進みフィニッシュ
スチールドラゴン2000は間違いなく世界レベルのコースターだが、同時に過小評価もされているように感じる。日本のベストコースターを選ぶランキングなどでも低めに位置することが多いのが、個人的には納得できない。難点を挙げるなら、アクロバットと同じくオペレーションが酷いことぐらいだ。世界最長のコースを謳うのに、1編成で運転していることが多く、1回転5分以上かかるのが当たり前だったりするのは、さすがに辛い。スチールドラゴン2000は大きいばかりで、間延びしたコースターだと言われたりもするが、見事な三部構成になっていて、様々なスリルを味わうことができる素晴らしいコースターだと僕は思う。
A
オレンジに照らされた美しい夜のスチールドラゴン2000
この後、閉園と同時に消灯されたのは少し悲しかった
細かいことだけど、重要なことですよ、ナガシマさん!(笑)