ド・ドドンパ(富士急ハイランド)
長さ1244m/高さ49m/最高速度180km/h
S&S Sansei Technologies/Thrust Air Coaster
「ド・ドドンパ」は、2001年12月から富士急ハイランドで営業していた世界最高加速度を誇るコースター「ドドンパ」を、さらにパワーアップさせてリニューアルしたコースターで、2017年7月に登場した。スタートからわずか1.8秒で時速172kmに達していた「ドドンパ」の最高速度を、「ド・ドドンパ」では時速180kmまで引き上げた。また、これに伴い、コース途中に設置されていた垂直タワーを撤去、巨大な垂直ループへと変更した。更に、乗り場と車両のリニューアルも、同時に行なわれている。
オリジナルの「ドドンパ」に1度だけ乗った時の恐怖を今でも覚えている。当時も、遊園地は大好きだったが、今のようにコースターに乗りまくっている人間ではなかった。その時も、富士急ハイランドの横にあるライブ会場に来たついでに「ドドンパ」に乗ったのだ。現在は駅舎の前側にある屋外のスロープが待ち列になっているが、当時は建物の奥側にあった屋内のスロープに並ぶ形になっていた。薄暗く空気が重い上に、延々に「ド、ドン、パッ!」と洗脳するような音楽が流れていた。評判が悪かったのは、後から知ったことだが、確かにあの待ち列はかなり辛かった。建物自体も、汚い倉庫という感じで印象は良くなかった。
だが、本編のコースターには良い意味で衝撃を受けた。あまりの急加速に、身体に対して心が置いてきぼりになってしまって、幽体離脱したような感覚になった。まさに今までいない体験。垂直タワーに関しては、乗る前は怖そうだと思っていたが、実際には印象が薄かった。そこまで高さを感じる間も無かった。ただ動きにかなり無理があって、体が痛かったことだけは覚えている。特に男性は当時、T字だった安全バーに股間を打ち付けないように注意が必要だった(つまり、僕は打ち付けた)。
「ド・ドドンパ」にリニューアルした際、T字のバーから、肩掛けのベストハーネスに変更された。開放感がなくなったという意見もある。だが、個人的には現状の形でも、急加速のは迫力に変わりはないと思う。最高速度は8km上がっているが、実際に乗ってみると、ほとんど違いはわからない。ただ、鉄砲の銃弾になったかのような加速の衝撃は今でも色褪せないし、何度乗っても、発車前の時間は心臓がドキドキしてしまう。トンネルの中で待機している時の緊張感は世界一だろうと思う。一旦停止した後に、カタパルトに乗せられるように少し後退するのも、また怖い。
急発車してコースをまっすぐ進むと、まずゼロGフォールと呼ばれる、トンネルを伴った小さな下り坂がある。その名の通り、しっかり浮くのは良い。だが、最下部で、プラスGが戻ってきた時に、その衝撃で、ハーネスが一段階キツく締まってしまうという弊害がある。毎回、同じミスをしてしまうのだが、ここで浮こうとすれば浮こうとするほど、余裕ができてハーネスが締まってくるので、気を付けて欲しい。
続いて、パーク内を駆け抜けるように、大きく右に旋回。気持ちの良いパートだし、十分に速度はあるのだけど、その前の加速があまりにも凄すぎて、ドンドン減速していってるように感じてしまう。ここで少し盛り下がるのは、贅沢な悩みだ。
そして、トンネルがあり、巨大な垂直ループに入る。あまりにも大きいので、最頂部ではもっと減速して、逆さまになっている時間(ハングタイム)が長いのかと思っていたが、意外とスピーディに突き抜ける。ループの下りに迫力があって楽しい。その後、またトンネルがあり、行きの走路と逆走するように駅舎に戻っていき、高飛車の待ち列のすぐ横でブレーキとなる(この音がかなりうるさくて、高飛車に並んでいると、かなり驚く)。
「ド・ドドンパ」にリニューアルして個人的に1番嬉しかったのは、加速度が上がったことでも、巨大な垂直ループが設置されたことでもなく、駅舎周りがリニューアルされたことだった。待ち列も乗り場も、「ドドンパ」ではどギツイ赤だったのが、青を基調としたカッコいい装飾に変更されていている。車両もスマートだ。リニューアル後、以前と比べて、体験価値は明らかに向上しているし、何度でもリピートしたくなるように改良されていると思う。1台に乗れるのはたった8人。その8人をとんでもない力を使って急加速させている。ただそれだけだが、かかるコストも尋常じゃないだろうし、「ドドンパ」から数えて20年近くも営業していることが奇跡のようだ。ある意味で、世界一贅沢なコースターといっても過言ではないだろうと思う。
A
リニューアルしてスマートな印象となった駅舎周り
待ち列が屋外のスロープに変更されている
液晶画面もあり、カッコよくなった乗り場
(写真を撮った時はアニメとのコラボ中だった)
大きなベストハーネスが付いた8人乗りの車両
赤、青、緑、紫の4種類がある模様
パーク中央を突き抜けるまっすぐなコース
ゼロGフォールと呼ばれる急な下り坂
トンネル内でLEDが光って迫力がある
高速道路のような規模のかなり大きな旋回
巨大な垂直ループ
ループの最頂部に促進用のタイヤが付いている
観覧車から撮ったループ中のド・ドドンパ
周りの景色から高さがよくわかる
トンネルを抜けると、行きと逆走する形で戻っていく
かなり音が大きいブレーキ
高飛車の待ち列から撮った様子
おまけ:待ち時間の看板の裏側