小針の町家
竣工:2020年3月
以前からある住宅街の一角の、小さな造成地での計画
間口8.1m×奥行17.6m、西向き長方形の整形地
敷地面積42坪、延床面積31.5坪
クライアントの、「町家っぽく」という希望
単に造形だけのことではないだろうと思う。
雰囲気、時間の流れ、光や影、音、におい・・・・。
いつも考えていることですが、「形」ではなく、
「空気」をつくることに地道をあげたい。
どこでもまんべんなく明るい、というのではなく、
窓辺が明るくて奥に行くにしたがって暗くなる
窓からの光が強調され、奥に続いていくという期待感を。
この家は、6帖の居間、3帖の小間(和室)、4.5帖の食事室、4.5帖の台所という小さな空間が連続的につながる構成になっています。
「人と人との距離感」、「人とモノとの距離感」を慎重に考え、
クランクを用いたり段差や壁を設けて、親密でありながらも
感覚的な距離が生まれることを意図した結果です。
部屋の「カタチ」を考えることも大切ですが、
コミュニケーションの取り方、距離感を考えることも大事だと思います。
階段の踊り場は、小さな読書スペース
2階寝室とそこに隣接する縁側
機能的には物干しとして、書斎として使うのですが
狙いとしては、寝室の空間に「奥行き」を与えるためと、
外界と寝室の感覚的な「距離」を取るため、という思いがありました。
無駄と思えるようなスペースが、豊かさにつながることが多々あります。
縁側の物干し脇に4帖のWIC
可動棚は小物用
平角材の柱を利用したニッチ風の本棚を廊下に
玄関と脇の納戸
趣味のアウトドアギアや食品庫、家族の勝手口として
これを確保するために、この家はユニットバスを2Fに上げている
設計:jinroku
施工:cobo
敷地面積:142.68㎡(43.16坪)
延床面積:104.34㎡(31.50坪)
構造規模:木造2階建
用途地域:第一種低層住居専用地域
設計期間:2019年6月~2019年11月
工事期間:2019年11月~2020年3月
2020年7月:お引渡しから3か月後に訪問
庭には小さな草花や家庭菜園などが足され、今後の成長がたのしみです