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ZIPANG-4 TOKIO 2020 空海に学ぶ 蘇える自然体の心  ダイバーシティー 「日本の未来都市デザイン−3」・・・【寄稿文】林 英光

2020.04.12 16:00

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ー新型コロナ菌肺炎のパンデミックに寄せてー

令和元年は平成時代からの皇室御代替りで国民の関心事は新しい光を求めるが如く、皇室の話題に明け暮れた一年間でした。そのハイライトは昨秋の古式床しき雅びた即位式。さながら平安絵巻物の再現で世界的な称賛を集め、国民にとってもその高揚感は冷めやらぬまま令和2年を迎えたばかりでした。

そこへ、降って湧いたような世界的な規模での新型コロナ肺炎のパンデミックです。これで久しく待ったオリンピックどころではなくなりました。加えて、その新型コロナ菌の正体分からず特効薬も、終息期の予想も付かない状況だとされています。厄介なのは感染当初、自覚症状がない為、ある日突然、自分が加害者或いは、被害者となるかも知れないのです。

私達に出来ることはただ一つ。密集、密閉、密接 の "三密 " と、自己勝手な行動がコロナ菌の喜ぶ条件と申します。ならば 今、それとは反対行動をとれば良いだけの話ですね。

当面は一人一人がその "三密 " を守り、皆が心を合わせればコロナ菌は行き場を見失うのです。どうか、世界各国が足並みを揃え、協力しあって一日も早く平和な日々が訪れますように。

編集局より

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虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、我が願いも尽きなん 弘法大師空海

     ー生きとし生けるものが分け隔てなく、祈りにおいて全て一つになるー

幸せとは 皆が等しく暮らす 何気ない 日常にある!

春「養花天」今年は温暖化の下、桜花早咲きの春は、希望の初めとする、西行の「願わくは 花のもとに 春死なん・・・」と詠んだ終活の願いの季節でもあった。この提案を描いている間に「清明」そして「穀雨」次は「立夏」となる。

日本人はこのような美しい言葉を古代より中国から学び、漢字とその簡潔で優雅な意味を、すべて自国の文化全体に反映させてきた。

凡て生成の原点宇宙の円運動
この数億個の光の粒が太陽と同じ恒星の集まりが銀河宇宙
これが空海の広めた宇宙、即ち曼荼羅である

2019年10月、世界の宗教家が弘法大師の開かれた高野山に集結…
高野山から世界の平和、そして一人ひとりにとっての平和を考え、祈る。

女人道から見た八葉の峰と金剛峯寺 根本大道
高野山への参道としては俗に「高野七口」と呼ばれる街道が通じていた。


自然と共に生きる!

実は我々はデザインするにあたり、空を仰ぎ発想の発端を頂く。

沖縄の伝統的な家屋を見ることが出来る「竹富島」から星空を眺める・・・


日本人とは、よく言われるような無宗教ではなく、世界中のどんな宗教でも、あるいは教訓や伝説をも屈託無く受け入れる大らかな心がある。豊かな自然と共に生きてきた縄文人の特性なのかもしれない。

函館旧相馬邸 神棚と差鴨居(1階居間)国指定重要文化財。


それぞれの家や地域に、宗派や習俗の良い習わしがあり、日頃のくらしの中で、神棚・仏壇に、自然界の天空大地の森羅万象にふとした機会に思わず手を合わせることがある。この無作為の行為の後、何故かすっきりとした気分になり現実世界において意識変革が生じるのか?次の行動に移ることが出来るのは不思議である。

WORLD DESIGN EXPO 景観演出計画  無意識のうちに宇宙の曼荼羅原理を都市のイメージに盛り込んでいた。H/H

気候変動対応エコキャピタルの骨格

久澄橋の宇宙との景観位置づけH/H

日輪を潜って遊ぶ子供たち 富木島公園H/H

惑星の広場 太陽のモニュメント
愛知県東海市は製鉄の街であり、富木島公園の三箇所の◯△ ⬜︎テーマの公園のひとつで、円で構成した太陽系マンダラ惑星広場の中心にある太陽のモニュメント 。子供達の自由な感性で 関わり遊べる円運動空間を制作した H/H

「幸せは 皆が等しく暮らす 何気ない 日常にある」。人ばかりでなく、生きとし生けるもの凡てに対してこのような気づきに出会うことがある。生き物ばかりではなく、植物が日の光とそよ風に揺れる情景の幸せ感についても同じくである。それは何と形容し、位置づける必要もない。それは自然が当り前に共生する姿だからである。

それらの生き様の最も根源にあるのは、何億年もの進化の過程で身につけた宇宙の摂理なのだ。


 今何故 空海に目を向けるのか ー「ダイバーシティーを目指して」ー

ダイバーシティーとはビジネス界で「多様な人材の活用」などとマネージメントの上で使われているが、筆者の解釈は広くその専門性のみならず、その人間性に及ぶことにこそ興味が有る。

具体的には社会での差別など、無理解・偏見から脱し、性別・年齢・国籍・人種・宗教・性的指向・障害の有無など夫々に細かく配慮し、さらに固有の風土と伝統と文化と高度な美意識が、未来都市づくりの社会構造にとって、もっとも大切な基本であるべきだと考える。これは空海や仏の教えの基本にあると思う。

空海の師に相応しい恵果像 心身とも豊かさが伝わる空海像拓本

私たちがとり組む人のくらしの器である都市環境の未来とは、空海が示したその世界観にある。

今、悲しむべきは日本人が世界から取り残されていることを自覚していないことである。 日本は様々な分野、例えば法律や汎ゆる領域の管理体制のルールにみる、その美的感性の低さであろう。それが意識改革の妨げとなり、世界的なパラダイムシフトに大きく遅れを取っていることに気づいていない。
 
明治のお雇い外国人から見ると日本人はもっと未来を先取り出来る人々ではなかったのか。それが日本人の役割でもある筈だ。物的未来技術はともかく、精神的な心の世界である文化芸術において、数百年も進化していた筈だと世界本物のレジェンド※に言わしめた実績が物語る。


※本物のレジェンド例えば

・「経済学の巨人」日本の中世美術の膨大な収集家・脱物質主義者ジョン. K. ガルブレイス(1908~2006)

・米国動物学者、お雇い外国人東大教授エドワード. S.モース(1838~1925)「日本の住まいー内と外」で世界でも類を見ない日本人の高い美意識、道徳性にふれる。等々。 


世界の喫緊の課題である気候変動に関わる化石燃料から再生エネルギーへの対策も、西欧では100%、米国でも30%から100%を目指しているが、日本は1%であるという。

この実態は他の様々な分野でも同様で全体的な調和の視野が圧倒的に欠如する。

筆者は特に環境デザイン計画、設計が専門分野であるからではないが、我が国固有の風土美における、無秩序な崩壊に気が気ではない。幸せな未来を夢見て、我々を取り巻く景観への意識も混乱した風景を改善するどころか、毎年7万数千本の巨大で醜い電柱を建て続けているこの無神経さ。


今、日本は有史以来もっとも美意識と感性の鈍い時代にあると言っていいのではないか。

それは太平洋戦争敗戦の無条件降伏と、表向き形式的独立国ではあるが、実質は戦勝国に日本の未来のあらゆる根元をしっかりと握られている無力感の成せるわざであろうか。

日本は古代弥生以来、海外での侵略戦争でいずれも最後には敗北し、多大な悲しみと犠牲とを払い追い返されて来た。それは次世代のために戦争への道に近づいてはならない大きな理由と共に貴重な教訓である。


戦争の爪跡としての景観破壊の卑近な1例として挙げれば、ここ蒲郡も戦後米軍の接収で上級将校の住む場所になり、今の丘の上のホテルも海も日本人は立ち入り禁止であった。そしてこの提案の駅前の埠頭は最も大切な景観拠点の筈だが、県と市の半々で立ち入り出来ないように未だ錆び付いたフェンスがある。あれから既に70年間も放置されたままなのである。

愛知県の海岸整備の遅れがここにもあり、景観全体に対する意識改革が待たれる。

市の最も大切なメインストリートを県と共に取り組みを  H/H


今 日本が待ち望むリーダー像「空海」

混沌の昭和・平成から、この令和の目指す形とは何かを考える時、現実的で「スピリチャルアル」な原点を探れば、何故か自然に庶民の心に残り寄り添う、泰然とした「空海」の存在に行き着く。

「空海」の教理を宗教としてではなく、哲学として見るのだ。

空海の視野に立脚すると、次に控える未来都市構想への理念と教条が極めて判然としてくる。

すなわち、世界の混沌も、心の支えであった日本伝統のおおらかさの喪失も、もう一つ、現代日本の根無し草状態に起因する、様々な混濁した諸相も、正しくおおらかに対処できる地平線がみえてくるのである。


「胎蔵界と金剛界」の「両界」を
空海は「曼荼羅」という宇宙觀へ統合した

空海が庶民向けに分かり易く示した曼荼羅の表現は、ビジュアルコミュニケーションデザインである。

空海の師「恵果」が空海に授けたこの世の略図「胎蔵界」「金剛界」二種の曼荼羅を元に、空海が更に統合展開した「両界曼荼羅」の絵図から、真に日常から宇宙までの「この世のトータルデザイン」の根源をみるのである。


 「胎蔵界」とは「愛」の世界:現実・実践世界、地球、大地、月、母性、情愛、温もり、調和、肉体、有機質、感性、円環など。  

三重県いなべ市役所は地域の食材の賑わいの森と一体となった優しい胎蔵界である H/H


「金剛界」とは「理」の世界: 精神世界、宇宙、天、父性、品格、クールさ、秩序、システム、精神、金属、無機質、物質、階層、正方形 など。

マンダラは人、夫々の「真理を得る」ことであるならば、教えを説く導師による様々な立場で、また子弟それぞれの解釈表現も自由である。またそれを観る人によって感じ方や解釈もそれぞれの想いで、感情移入する手立てで良いのだと思う。絶えず移り行く自然界のように、永遠に渦巻き回転する宇宙のようにである。


空海のもたらした曼荼羅

「胎蔵界と金剛界」、それを空海は一体化し、真理の表裏一体の相関関係を表す「両界曼荼羅」を描いた。排他的でなく共に受け入れる縄文の思想が繋がったように、日本固有の神道 + 仏教が融合した神仏習合の哲学に繋がったのではなかろうか。

曼荼羅とはサンスクリット語「真実を得る」ことだという。宇宙の真理、円、輪といえば銀河も太陽系も全てが宇宙の永遠の円運動であり、自然界の生命や地球の自転も公転も誕生も死も空間と時間も円運動が支配している。筆者らの環境デザインもその中にある。


空海のもたらした曼荼羅図は円・輪の秩序を四角く表してはいるが同じことである。曼荼羅とは中心にある太陽・大日如来を取り巻く世界、或いは宇宙の渦巻く表現、ざわめく都市の環境、波乱に富んだ人の一生でもある。曼荼羅図に固定観念は不要である。人の心に響く幸せ感や調和を感じとるものである。

禅の思想も物理的ではなく、瞑想修行で自身の身体で呼吸し悟ることが座禅の目指す所と言われる。デザインも、プロジェクトも大きく見るとそのとおりである。

「曼荼羅図」は 便宜的に平面の画像で表現されてはいるが、実態は有機的にも物理的にもあらゆる条件の円運動の秩序である。直線的に表現しても自分の立っている地球は自転しながら毎秒30キロで太陽を回っている球体だという。

中心となるものとそれを廻るもの、分子も地球と月も太陽も宇宙もそれぞれの中心を回っているのだから、分子の集まりである人の見る美や調和もその摂理の中にある。

都市は両部界曼荼羅そのものだ。
絶えず理想に近づく為にスパイラル的循環で進化し続ける世界。
JR岐阜駅前再開発 H/H

光 色彩 視覚はこの世の全体を現(うつ)す

太陽の光による外界認識の視覚・色彩も、国土計画、未来都市デザインも、その中にある諸々の調和を図るデザインも、筆者の言う「風土と伝統を活かして未来を創る」も、現実のしがらみを越えて自然界の法に従うと正しい物事のあり方が見えて来る。

伝統を活かして名古屋の未来を進めるための四神相応マンダラ図 H/H & TAKAHAMA 


伝統文化とは、
これ以上変えることが出来ない究極の心を伝える「原型」である

伝統文化はその時代の全てであり、後世にも超えることの出来ない神聖で完璧なオーラを持っている。

その期待されるわが国の文化の「型」は.穏やかで大らかな2万年の縄文文化と、簡素な侘び寂びに辿り着いた東山文化と、それを引き継いだ250年間平和に徹した江戸期にある。

名古屋八事の八勝館は魯山人※の器と伝統と四季の自然環境が調和する事例 H/H

このような環境は未来都市にも引き継がれなければ勿体ない、そうでなければ意味はない。美を造れる人材の保護育成も未来都市づくりほどその義務があると考える。伊勢神宮の遷宮はその手本である。

今、日本は江戸期の人口8000万人になると予測されるが、世界より400年早過ぎた中世美術や文化だが、今や都市文化も江戸期のような循環のエコが求められ「もったいない」とAIの共存する社会、ヒューマンスピードの都市文化に向かうべきである。

この度は何万というDNAで成り立つ人間が、たった400のDNAしかもたない最小の生物によって、傲慢な人間社会に再起動を促す自然の摂理が働き、わが国の遅れたパラダイムの転換期にとって不幸中の幸いと言っては不謹慎だが、真剣に受け止める機会である。

再度トヨタの未来都市構想に思う

この度始まったトヨタの進めるウーブンシティーも、ビジネス目的と同時に、弱者も富裕層も含め、人種、宗教、年齢、性別の区別なく、大らかなものごとの輪の中で、人それぞれの価値観が尊重され、地域の風土と伝統も十分に考慮し、本当の意味での多様性のダイバーシティーであって欲しいと願う。

アウトシュタッド※  H/H

三河湾は日本車とワーゲングループなどの輸出入の中心であり、このわが国最大の自動車産業基地の対岸にある総合海洋リゾート ラグーナ・テンボスに、ビジネスと観光とリゾートの、陸と海の立地を活かす未来的なモビリティーパビリオンをつくることは、次世代の東三河地域を「東三河マンダラ王国」と呼ぶ、胎蔵界と金剛界が合わさる両部界マンダラとして表現してみた。

「美しくなければ車ではない」というフレーズが昔トヨタにあ った。都市環境も ふるさとの未来も是非そうでありたい。 


※アウトシュタッドはドイツにある自動車ブランドの歴史とデザインに特化した人気の高いワーゲンのパビリオンである。

何れにしてもこの大きな流れに立ち向かう時、未来ビジョンの拠って立つ大きな何かを再構築するチャンスであるが、その手本となる人物こそ「弘法大師空海」だと思う。

短時日で当時の世界最大国家、唐の皇帝の側近となり、帰国を惜しまれた大いなる人物、心とくらしのインフラの実践におよぶ偉大な足跡と範を示し、今も国中から慕われる空海である。


「富麻寺 大和中之坊曼荼羅堂」

地上最小の生物と地球環境の変動この二つは、世界が一つになる自然界からの贈り物であり、その間には空海の知恵と実行力のある自然体が必要である。

混沌の整理は心にあると思う。それは世界のレジェンド新渡戸稲造の哲学は合理性と美意識が一体になる生活美学、即ち「改善とは機能的で優美である」の言葉に尽きる。

実際の環境で学ぶこと、そして未来都市環境も、自然の摂理と創る者のメンタルにある。

伝統の型は乗り越えられない。確かにその通りではあるが、友人の彫塑作家内海清美氏の、海外でも知られる壮大な源氏物語シリーズは、それを超えた稀有な作品であると思う。伝統の素材を四国に求め、熱意と情感で成し遂げたのである。

内海清美「源氏物語りより 源氏と葵の上 新枕

都大路車争い 源氏物語は今も昔も人間模様の曼荼羅である。

以前に内海清美氏の源氏物語美術館で氏の知人の四国の行者との食事の折「あなたはものをつくる方ですか、良い心のつくるものには良いパワーがあり、そうでない人のつくるものは負のパワーになります」と。

これも四国の空海の縁であると思い、何事においても始めも終わりにも、メンタルの重要性を改めて共有出来た時であった。 デザインは深い洞察とAI技術が、胎蔵界と金剛界の智と理の世界観が一体となつて、はじめてデザインになる。それこそ久しく現代社会が忘れていたことであった。


【寄稿文】 林 英光
環境ディレクター
愛知県立芸術大学名誉教授


このシリーズは、温暖化による気候変動と人口減少等により、わが国が2050年には世界で最も悲惨な国になるとの予測に対し、環境デザインの視点で暮しの原点を考える提案である。


ZIPANG-4 TOKIO 2020 トヨタ コネクティッド・シティ プロジェクト構想と「日本の未来都市デザイン−1」…【寄稿文】林 英光

https://tokyo2020-4.themedia.jp/posts/7628870


ZIPANG-4 TOKIO 2020 山川草木天空海大地にも “痛み” を与えない「日本の未来都市デザイン−2」…【寄稿文】林 英光

https://tokyo2020-4.themedia.jp/posts/7796608



協力(順不同・敬称略)

高野山真言宗 総本山金剛峯寺
〒648-0294 和歌山県伊都郡高野町高野山132 TEL  0736-56-2011(代)

高野山真言宗 當麻寺中之坊〒639-0276 奈良県葛城市當麻1263 中之坊 TEL 0745-48-2001

西高野山 大宝寺 〒853-0413 長崎県五島市玉之浦町大宝633番地 TEL 0959-87-2471

竹富町観光協会 〒907-0012 沖縄県石垣市美崎町1-5 2F TEL:0980-82-5445

旧相馬家住宅 〒040-0054 北海道函館市元町33-2 TEL 0138-26-1560

一般社団法人 加賀市観光交流機構
〒922-8622 石川県加賀市大聖寺南町二41 加賀市役所 別館4階 TEL 0761-72-0600

文化庁 〒100-8959 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号 電話番号(代表) 03(5253)4111

内海清春(うちうみきよはる)和紙彫塑家

鎹八咫烏(かすがい やたがらす) 



参考

善通寺「金堂」国指定重要文化財 

善通寺は、善通寺市街の西寄り、香色山の麓に位置する。
弘法大師空海の生誕の地と伝え、四国八十八ヶ所霊場の第七十五番札所である。

伽藍は戦国時代に焼失しており、金堂は元禄12年(1699)の再建、五重塔は4代目の塔として幕末に着工し、明治35年に完成した。

伽藍の中央に建つ金堂は、一重、もこし付で、本格的な禅宗様仏殿の形式をもつ。
五重塔は、高さ43メートル、和様を基調として、初重から伸びる心柱など古式を示す。

善通寺の金堂は、四国地方に稀な本格的な禅宗様仏殿の形式をもつ建物として貴重である。
また、五重塔は江戸時代の技法による塔婆建築の到達点を示したものである。


西の高野山 大宝寺(ダイホウジ)

「西の高野山」大宝寺 重厚な山門が出迎えてくれる。境内には弘法大師 空海の像が…

「西の高野山」 大宝寺御本堂

弘法大師・空海が帰朝の途、大宝の浜に上陸し暫くここに滞在したことから「西の高野山」と呼ばれている。

大宝元年(701年)震旦の国(現在の中国)より三論宗の祖師、道融和尚が来朝し弥勒山観音院大宝寺を開創する。また、第41代持統天皇の勅願寺でもある。

その後大同元年(806年)、空海が帰朝の途、この地に滞在し大宝寺において本邦初めての真言密教の講莚を行い、三論宗を真言宗に改宗する。

室町時代の涅槃図、我が国最古の大般若経、凡鐘(県文化財)、日本三大秘仏の聖観音像、左甚五郎作と伝えられる猿の彫刻がある。

〒853-0413 長崎県五島市玉之浦町大宝633番地


 ※魯山人

魯山人寓居跡 いろは草庵

若き魯山人の息づかいを感じる…魯山人寓居跡 いろは草庵


金沢の文人・細野燕台の食客となった魯山人は、大正4年秋から翌年春までの約半年間、山代温泉に滞在し、菁華窯などの刻字看板を彫っていました。


その寓居を当時そのままに公開しているのが、「いろは草庵」であります。
仕事場や書斎、囲炉裏の間が見学できるほか、土蔵を改装した展示室では作品も展示しています。

山代温泉の旦那衆は、当時まだ無名であった魯山人の才能を認め見出したのです。
この山代温泉で魯山人は燕台の煎茶仲間でもある初代・須田菁華から陶芸の手ほどきを受けて以来、刻字看板制作の傍ら菁華窯に通い作陶に力を注ぎました。

山代は、魯山人の才能を開花させた地ともいえるのです。

後年この別荘をたびたび訪れた魯山人は、旦那衆と書画、骨董について語り合い、旬の食材を用いた料理を味わい、美食談義に花を咲かせたという。

晩年には、「私ハ先代菁華に教へられた」(昭和30年・金澤美術倶楽部の講演の演題)と述べています。亡くなる4年前のことでした。

故郷をもたない魯山人にとって山代の地は、心許せる居心地のよい場所であったにちがいない。



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