インタビュー2人目 海さん(前編)
自縛ポエトリー/ういの活動はポエトリーリーディングだけでなく、多岐に渡りました。
活動の幅が広すぎるあまり、当プロジェクトのメンバーだけでは到底、追いきれるものではありません。
そこでわたしたちは、詩集『縛られるモノ』の制作にあたり、彼女の人となりを伝えるために、これまで自縛ポエトリー/ういと触れあってきた方々にインタビューを行なうことにしました。
第2回は、自縛ポエトリー/ういとユニット「倍音ざんまい」を組んでいた、海(路地裏CatWalk)さんに話を伺うことに。
彼女の謎の一つである民族音楽について迫っていきます。
(インタビュアー:行方不レ知)
―海さんはどういう経緯でういさんと知り合いましたか?
路地裏CatWalkで(鈴木陽一)レモンさんの鑪ら場のイベントに出た時に詩を読んでいるういさんが居て、そこでポエトリー界隈として知り合って、ういさん本人と話していると民族音楽もやるという事で。新栄DAYTRIVE&TRIMの企画で『一番面白い事をやったら勝ち』みたいなものがあって、そこで「民族楽器バンドみたいなものをやったら楽しそうじゃね?」という話になって、Twitterでメンバー募集を掛けたら僕とういさんとシミズミミさんの三人で。そこで『倍音ざんまい』が出来て一緒に動くようになりました。
―ういさんと本格的に関わるようになったのは『倍音ざんまい』で集まってからですか?
割とそうかも知れない。鑪ら場ではよく会っていたんだけど、本格的に一緒に動くようになっていったというか、楽器の沼に落ちていったのは『倍音ざんまい』が出来てからかも知れないです。元々ういさんは沼の住人だったけど。
―『倍音ざんまい』が出来る前に一緒にセッションしたりとかは?
一度大曽根に集まって音合わせというかセッションをして「ああ、これは楽しい事が出来る!」という感じになって『倍音ざんまい』が始まったから、それが初めてのセッションだったと思います。
―ということは『倍音ざんまい』は結成当初はおもしろ企画のような感じだったという事ですか?
そうですね。(DAYTRIVE&TRIMの)企画では『一番面白い事をした人が優勝』みたいな感じだったから、色物目当てじゃないけど、民族音楽をメンバーみんな好きだったから作った感じです。そのイベントではたこ焼きとかお好み焼きとか作ってる人もいて。
―そのイベントでは優勝出来ました?
なんか勝負の点はうやむやになって、あとは皆で美味しくお好み焼きを食べて終わりました。
―ちなみに、初めて会った時はういさんと路地裏CatWalkが対バンだったという事ですか?
いや、多分オープンマイクだったと思う。レモンさんの企画だとオープンマイクが結構あって、そこでういさんが読んでて、他にも三原千尋さんとかも居て。そこまで激しい感じのを読んではいなかったし、自縛ポエトリーをやったわけではないし、なんか淡々と読んでいた感じでした。内容までは覚えていないけど。
■ ■ ■ ■
―海さんにとって、ういさんはどんなイメージの人ですか?
すごく頭のいい人。よく二人で話してて思ったのが「この人はすごく頭がいいけど、現代ではすごく生き辛い人だ」と。正直自分もそっちのタイプの人だと思うけど。きちんと色んな事を知ろうとするというか。恐らく現在の流行りみたいなものだけど、皆はコンテンツを無料で楽しみたいとか、娯楽に対してお金を出したがらない人が結構いると思うけど、ういさんや僕はコンテンツにたいしてお金を落としたい。楽器を買うのもそうだし、人と人との循環をきちんと知っていたような人だった。世間一般では一言で言って『変わった人』になっちゃうんだろうけど。ものすごく思慮を巡らせて色んな人の事を考えているし、さっき言ったように一言で言うと『すごく頭のいい人』。それと、『ちゃんと日本語を使う人』。詩の人だから僕が言うまでもないかも知れないけど。ういさんと喫茶店で話していた時に「わざと美しい日本語をレイプするような単語を使ったり、発言をしたりする事に快感を覚える」っていう話をしてて、僕その話かなり好きで。「それを娯楽として出来るんだ!すごいな!」って思って。持論と言うか私見だけど、美しい日本語を使う人がだんだん少なくなっていってて、そんな中でこの人はこういう事が出来るんだな、いいな、っていうのは感じました。
―だって、そもそも美しい言葉を使える人が居なくなっているから、美しい言葉を汚くする事も出来ないって事ですもんね。
そうですね。大体の言葉っていうのは流行りだから、四半世紀くらいの流行りで言葉は変わって行っちゃうし。僕やういさんが求める綺麗な日本語っていうのはだいぶ古い日本語だと思う。あくまで僕の意見だけど、ういさんは正しい日本語というか、矛盾のない日本語、聞いてて違和感のない日本語、飾ってない日本語、分かりやすく、悪い意味じゃなく耳障りのいい単語を選んで人に使うっていう感じはあった。あの人は詩人だからわざと飾ることは出来るんだろうけど。
―人に伝わりやすい言葉の使い方をする人でしたよね。
だから、そこが現代では生き辛い性格なのかな、と。それを「良いな」と思う僕も生き辛さを感じているわけだし。ういさんが人嫌いだったかどうかは分からないけど、気を使うほうだから、合わない人と話す時はすごい頑張ってるんだろうなと思うことは結構ありました。
海(路地裏CatWalk)
音楽家。僧侶。AcousticHip-Hopユニット「路地裏CatWalk」のギタリスト。倍音ユニット「倍音ざんまい」なんでも担当。
《注釈一覧》
倍音ざんまい
「ういし」という名義で自縛ポエトリー/ういが所属していた民族音楽ユニット。セッション形式の即興演奏を主軸にしたライブパフォーマンスが特徴的。
路地裏CatWalk
ラッパーの「AKILLY」とギタリストの「海」の二人によるアコースティックヒップホップユニット。
オープンマイク
誰でも参加可能なステージ開放イベント。弾き語りや詩の朗読など、自由に発表できる。
自縛ポエトリー
自縛ポエトリー/ういが時折行っていた、《詩の朗読をしながら緊縛縄で自分の身体を縛っていく》という独自のパフォーマンス。縄の管理や自身の身体への負担が大きいため、滅多に見られない貴重なものだった。
前編はここまでとなります。
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