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発達臨床心理学 ~学校におけるマイノリティと教育相談~

2016.07.29 22:49

7月も終わりに近づき,前期の講義も最終回を迎えました。
発達臨床心理学の授業の一部で学校におけるマイノリティについて取り上げ,”当事者”と呼ばれる子どもたちがどのような困難に直面し,それに対して私たちはどのようなことができるかについて学生たちに考えてもらい,グループ発表を行ってもらいました。

学生たちにはそもそも学校にはどのようなマイノリティの問題があるかについて話し合ってもらい,グループごとにその問題の現状やどのような対策ができるかということを調べてもらいました。学生たちが取り上げたマイノリティの問題は「性的マイノリティ」「障がい児」「外国籍」「食物アレルギー」「社会的養護」でした。もちろん,この他にもまだありますが,それぞれのテーマについて深め,発表をしてくれました。


常々,国立大学の教育学部に入学してくる学生たちは小学校から高校まである程度かそれ以上にお勉強もできて,学校適応も良く,社会や学校に対して良いイメージを持っていることが多いのではないか?(もちろん、そうでないこともありますが…)ということを学生と話してきました。マジョリティである学生たちが学校の教員になったときに,自分の身近にあるマイノリティの問題に気づき,目を向けることができるのか。また,そうした状況にある子どもたちのことを理解しようとすることができるのか,ということを学生たちと話してきました。授業を終えて,学生たちの感想を読ませてもらうと,まずは教員養成課程の中でこうしたマイノリティの子どもたちに目を向ける機会が少なかったので,考えるきっかけになったということが書かれていました。
私からはそもそも”マイノリティ”,”当事者”とは何なのか?”マイノリティ”を作っているのは何なんだろう?という問題提起をしました。

学生たちの発表はどれも面白く,質疑応答の時間には学生同士がいろいろなディスカッションをしてくれました。私は黙っておこうと思っていましたが,ついつい突っ込んだ質問(特に当事者への働きかけに焦点を当てたものが多かったので、周囲の理解や私たちの感覚を広げていくにはどうしたらいい?ということ)をしてしまい,学生を困らせてしまう場面もありました(反省)。


そんな中で学生が出してくれた1つの取り組みはいろんな価値観を持った人と出会い,話を聴く機会を学校教育の中で作っていくことが必要だよね,ということでした。あるグループはその時間を「MTMタイム」と名付け,授業の中に組み込むことを提案してくれました。

MTMタイムとは「みんな ちがって みんないい」の頭文字をとったもので,いろんな職業の人,立場の人,いわゆる”当事者”に授業に参加してもらうという提案です。
マスコットキャラクターまで作ってくれました。なかなかよくできています。






こういった形で授業の中で学生たちにマイノリティについて調べ,発表してもらうのは今年初めて取り組んでみたことでした。
私自身もまだまだマイノリティの臨床心理学,カウンセリングについてはよく理解できていないところがあります。そもそも,日本ではマイノリティの心理学という領域は実践や研究が少ない領域です。海外では人種や民族の問題をはじめとしてマイノリティのカウンセリングについての文献もたくさん見られます。来年度はそうしたものも学生たちと読んでみながら授業づくりをやってみたいなと思いました。