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お仕事フェスタ@しずおか(ちょっと堅い話篇)

2018.02.21 04:16

先週末,静岡で「お仕事フェスタ」という企画を開催しました。



「お仕事フェスタ」は,児童養護施設でやってきたキャリアカウンセリングからつながる取り組みで,いろんな仕事をしている方たちに来てもらい,いろんなお仕事の魅力を聞いてみようという企画です。北九州キャリア教育研究会の『夢授業』(https://www.facebook.com/kitacareer/)という実践からいろいろなことを学ばせてもらい,開催にこぎつけました。

「お仕事フェスタ」の背景にあるのは,施設や里親家庭の子どもたちは,肯定的な将来展望を持ちにくいという指摘(Kools,1999・井出他2014)や,職業選択を行う際に,職業選択の幅が狭く,収入や社会的地位の低い職業を選択する傾向にあるという指摘(Creed et al.,2011)にあるように,おとなになることに困難さを抱える子どもたちにいろんなおとなに触れてもらおうという考えです。

「お仕事フェスタ」は就職説明会ではありません。なので,ご自身の会社の説明をしてもらうのではなく,「あなたはなぜ,その仕事をしているのか?」「その仕事の魅力,やりがいは何?」というようなことについて,子どもたちにわかりやすくお話してもらうというような感じです。「お仕事フェスタ」ではこうしたお話をしてくれる方を「ライフワーカー」と呼ぶことにしました。仕事やおとなとしての生活を楽しんでいる人に,おとなの生活の楽しさや仕事の魅力などを話してもらおうというねらいです。
こうしたお話をするって,実はライフワーカーにとってはなかなか大変なことだと思います。

皆さんは,自分がなぜその仕事しているのか,その仕事やおとなとしての生活の魅力って何かを子どもたちに生き生きと伝えられますか?

印象的だったのは,「お仕事フェスタ」が終わって振り返りを兼ねて昼食会をしていた時に,ライフワーカーの方たちが「こんな機会を作ってくれてありがとう」と言ってくれたことでした。自分を語ることは難しかったし,反省もたくさんあるけれど,子どもたちに自分のことを語ることができて良かった,ありがたかった,という感想を持っていただいたことはとてもうれしいなと思いました。
表向きは「子どもたちのため」ですが,実は「自分のため」ということを感じて頂けてうれしかったなと思います。

あともう1つ,この企画にはねらいがありました。それは,こうして社会的養護の世界に触れて頂くことで,子どもたちが本当に必要としていることに気付いてもらい,社会貢献について考えて頂ければいいなということです。タイガーマスク運動のように,社会的養護の子どもたちにはたくさんの寄付や招待行事があります。それはそれでとてもありがたいのですが,本当に子どもたちに必要なのは物やお金ではなく,体験,それも子どもたちが自分の価値を感じられるような体験の機会だと思っています。ここからサービスラーニング的な,お仕事体験とかそういったものに繋がっていけばいいなと思っています。

あ,ねらいはもう1つありました。
今回は施設の子どもだけではなく,里親家庭の子どもたちも参加してくれました。
日本では里親家庭の活用が強く推進されています。その中で,これまで中心的な役割を担ってきた施設はその役割を徐々に変えていくことが求められています。里親家庭と施設がどう連携していくかは大きな課題です。そんな中,今回は施設(厳密には児童家庭支援センターですが…)が中心になって企画し,施設の子どもも,地域の里親家庭の子ども一緒になって参加してくれました。これは,里親家庭と施設の連携,協働を1つの形にすることができたのではないかなと思います。

いくつもの,複層的なねらいを持って進めてきた企画でしたが,実現するまでにはいろいろな難しさがあることにも気づかされました。
今回の反省点を踏まえて,また第2回が開催できればいいなと思います。


『お仕事フェスタ』の概要
主催:児童家庭支援センターはるかぜ
共催:静岡県中部地区里親会,静岡市里親会,静岡市里親家庭支援センター,児童養護施設春風寮,児童養護施設静岡ホーム,静岡大学井出研究室

参加してくれた子どもたちの人数:だいたい25名くらい(小学校3年生くらい~高校生)
ライフワーカーの人数と職種:13名(歌手,美容師,デザイナー,保険営業,住宅販売,アパレル販売,畳職人,消防士,社会人スポーツ選手,ラーメン店店主,警察官,介護士,パン職人)
今回はお話しする機会はなかったけれど,見学に来てくれたライフワーカーの人数:だいたい20名くらい?

10時半~12時まで。小さな体育館のような場所を会場にして,13のブースをセッティング。
子どもたちはあらかじめ決められたブースを20分ずつ,3つ回りました。

*子どもたちの姿をお見せできないので,写真はありません。想像力を働かせてください。