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【本の紹介】『感情や行動をコントロールできない子どもの理解と支援 -自立支援施設の実践モデル-』

2019.11.28 06:27

先日の学会の時,国立武蔵野学院の大原先生にご著書を頂戴しました。
感情や行動をコントロールできない子どもの理解と支援 -自立支援施設の実践モデル-』(金子書房)



大原先生は国立の自立支援施設である武蔵野学院の先生で,非行臨床や福祉心理学がご専門です。
特に生活場面面接についての造詣が深い印象があります。
先日の学会でも話題提供をしていただく場面がありましたが,いつもとても端的にわかりやすいお話をしてくださるなぁという印象です。

今回出版された著書では,児童自立支援施設での実践を基礎から示してくださっています。
特に,生活場面面接といわゆる個別面接の関係についてのべていらっしゃるところは勉強になるなと思いました。

生活場面面接を用いる理由はいろいろとあると思いますが,セラピーのような人と人との関係性に納まることが苦手な非行少年にとっては,まずは規則に守られた生活という枠組みの中で生活場面面接を重ねることが重要になると書かれています。こうした外的枠組みによる統制が機能するようになると徐々にその子どもの中に内的統制が育ってきて,その時にセラピーを実施することが可能になるし,セラピーが持つ意味が重要になるという事らしい。

「統制」という概念を中心に据えて,生活場面面接と個別面接(セラピー)の関係を整理されているところが,児童自立支援施設っぽいなと思いましたが,児童養護施設やじょうたん施設のようなところでも参考になる考え方だなと思いました。
児童養護施設やじょうたん施設での生活場面面接はどちらかというと,「統制」という概念よりも,子どもとセラピストの関係性を深めるという視点から語られることが多いかなぁという印象です。

ある程度,施設臨床,特に児童自立支援施設のことが理解できないと理解することが難しい本かもしれませんが,ちょっとでも経験がある方にはとても参考になる本だと思います。