「ガンとミトコンドリア」(掲載時期:2016年11月)
以前、図書館で借りて読んだ本の中で、ガンとミトコンドリアの関係を述べていて興味深かった内容を紹介します。
①地球の歴史における単細胞生物とミトコンドリアの関係(⇒長い年月をかけた進化)
地球に酸素のなかった時代には、海中の栄養を直接エネルギーに変えて、ひたすら分裂する嫌気性の単細胞生物が誕生していた。地球の大気中に酸素が増えてきてから、単細胞生物は、自ら生き延びるために酸素を使いエネルギーを作る好気性のミトコンドリアを内部に寄生させ、共生する関係を作り上げてきた。そして、さらなる高等生物へと進化を続けてきた。
②人間とミトコンドリアの共存関係(⇒現在の常態)
人間が呼吸により大気中の酸素を取り込み、血流によって酸素を細胞内のミトコンドリアに供給して、その副産物である物質を細胞がエネルギーとして利用するという両者の共存関係が成り立っている。また、共生するにあたり、必要なとき以外は分裂を抑えることで、ミトコンドリアに住みやすい環境を整えている。さらに、自律神経の働きにより体内温度をミトコンドリアが活動しやすい36~37度に保っている。
③発ガンのしくみ(⇒細胞が生き抜くための先祖がえり)
自律神経のバランスが乱れ、血流が停滞して体温も低下すると、細胞に十分な酸素を供給できず、ミトコンドリアにとって非常に過酷な環境となる。ミトコンドリアからエネルギーをもらえない細胞もまた苦境に陥ることになる。エネルギー不足となった細胞が我が身を守るために、ミトコンドリアとの共生に必要な分裂抑制遺伝子の機能を停止し、猛烈に分裂し始めることになる。これが、発ガンのしくみである。
結論として、ガンを防ぐ、治すには、低体温、低酸素状態の体内環境を改善して、ミトコンドリアの機能を活性化させること、そして、免疫力を高めることが極めて大切と説いています。