もう誰ひとりの命も失わないために
経済危機で暗いニュースの続くアルゼンチンですが、今日は嬉しいニュース!!!
以前こちらの記事にも書いた、長い間議論が続けられていた”人工妊娠中絶手術の合法化”。アルゼンチンはカトリックが強く、中絶手術は法で認められていません。様々な意見がありますが、貧困層を中心に危険な闇手術で命を落とす女性が絶えないことなどが大きな問題。女性たちは日頃から合法化運動のシンボルカラーの緑を身につけ、デモを行い、はたらきかけていました。
それがついに今日、国会下院での投票が行われ、賛否 129-125のほぼ半々ですが、合法化賛成が可決されました!!
この法は、望まない妊娠を増やす為ではなく、非合法の中絶手術で命を落とす女性を減らす為の法。私の周りでは老若男女問わず圧倒的に賛成派が多い状況です。またこの投票にこぎつけたのも、議員に女性が増え、その女性たちの言動が認められてきたからとも言えるのではないでしょうか。
これから上院での投票があり、そこでもし可決されれば中絶手術が合法化となります。なので道半ばではありますが、とりあえずこの今日の結果は感動でした。
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2015年から始まったni una menos(もう誰一人の女性も失わない)など、アルゼンチンでは女性の人権や、男女平等を訴えるフェミニスタのデモが盛んです。この3年の中で人々の意識は顕著に変わっているという事を感じます。
身近なところでは、タンゴ・バンドネオンを演奏する女性も稀な存在ではなくなってきています。タンゲリア(観光客向けのショーを行うタンゴハウス)もタンゴというとマッチョなイメージが強く(特にバンドネオン)女性ミュージシャンは働けないところもありますが、そういうイメージも少しずつながら薄まっていっているように感じます。
実際、いくつかのタンゲリアで働かせてもらう中で、先日久々に仕事に行った先で、去年は女性の衣装が男装だったのに、ドレスになっている!ということもありました。
また最近では賛否両論ありますが、スペイン語の男性名詞・女性名詞への問題提起。
例えば「こんにちはみなさん!」と男女両方いる複数人に向けてする挨拶は、教科書通りに正しいのは、「Hola a todos!」となります。todos(みなさん)は男性名詞で、声を掛ける複数人全員が女性だった場合todasになるのですが、男女混合グループに向けてtodosと言ってしまうと、男性優位だ!ということで、この挨拶もHola a todos y todas!、todxs、tod@s、todes...などなどと使う人がとても多く、かなり浸透しています。
※そもそも始まりは女性初であった前大統領であるクリスティーナが”presidente(大統領)”は男性名詞であるから、わたしのことは”presidenta”と表示してくださいとメディアに主張していたのがきっかけなのだそうで。
異国でその地のことについて自分の意見を持って主張することは簡単ではないですが、理解を深めて自分の考えをはっきりと作っていきたいなと思います。それは、いち個人が動くことで世論が変わり、法が動く、ということをここで体感したから。日本のことも、アルゼンチンのことも。ひとつずつでも良くなっていくように。