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’らしさ’のあるまちづくり

2017.11.10 15:15

有限会社 A.Aプランニング

青木 恵美子


早いもので今年もいよいよ年末になりました。

年をとると加速度的に早くなりますね。少しだけ今年を振り返ってみようと思いましたが、政治的なこと、社会情勢的なこと、経済的なことを私が書いてもロクなことが書けませんので、長年私が考えていることを書きます。

建築団体は幾つかありますが(公社)日本建築家協会(以下JIA)という由緒ある会があります。JIAが他の建築団体と違うのは、全国の単一会であり専業の一級建築士の団体であることです。そして世界建築家協会と繋がっていることです。全国ですので、北海道から沖縄まで10支部、さらに支部の中に県単位(東京は別)の地域会で構成されています。私がJIA神奈川代表を拝命されたのが7年前の2011年で3.11の直後の就任でした。その7年前の就任時に掲げたテーマが『Think Globally Act Locally』。地域で活動してグローバルに考えよう! 日本語の標語的には「地に足つけて空高く」でしょうか。

さらに以下の3つの方針を掲げました。

  1. ‘らしさ’のあるまちづくり地域に根ざすコミュニティーアーキテクトとして神奈川の資産であるまちの‘らしさ’を大切にしよう!
  2. ストック型社会構築へ向けて新しい建築価値を考えよう!
  3. 住育活動を通して建築文化を推進しよう!

どの方針もずーっとテーマとして今も私の活動の中心になっていますが、‘らしさ’のあるまちづくりは、実はさらに遡ること約30年前にあります。

30年弱前取手の都市計画提案の仕事に関わった時、調査に訪れた駅に降りた途端、広がる空の大きさに感動して「ここで夕陽を見たら素敵だろうな」と思い、それを取手のまちづくりの中心に据え提案しました。

それを機にまちづくりに興味が湧き、横浜市立大学が公募した市民研究員に応募して採用され「国際交流都市みなとみらいを考える」論文にしました。みなとみらいがだんだん出来始めた頃の話です。その時には‘らしさ’のあるまちを論文にする事を教授に相談しましたら‘らしさ’などと感覚的なものを論文にするのは如何なものか。。。と批難されたのですが、‘らしさ’こそ大切! と思いました。

風土にあったまちづくり、建築の有り様はあるはず。それでこそそのまち‘らしさ’を作るのではないか。東京なのか? 横浜なのか? はたまたマンハッタンなのか? 同じような都市や建物ばかりではまちづくりとしていかがなものなのか?

その後長女の長年の留学でイギリスと行き来するうちに、イギリスの街並みの素晴らしさ、形成成り立ち、保護保全方法などを通して‘らしさ’のあるまちづくりの大切さを学び、JIA神奈川の代表として一番の方針に掲げました。

そして最近「建築基本法」制定に向けて勉強会に参加させていただき、今まで30年弱活動してきたことがさらに推進されたようで嬉しい限りです。

日本の建築基準法、景観法はとかく定量的な判断(高さや色の数値など)によるところが多いのですが、「建築基本法」は定性的な判断(美しさや地域の‘らしさ’など)と取り入れた豊かな社会の構築と建築資産の継承を促すものです。

地域のまちとして、その‘まちらしさ’を大切にしてこそ人々はそのまちに帰ってこよう!このまちに住みたい! と思うのではないでしょうか?

今年もいろいろとお世話になりました。

2018年もよろしくお願い申し上げます!

みなとみらい夜景
元町山手の洋館えのきてい
元町商店街のベンチ