住まい手の想い
2019.09.09 15:15
佐賀高橋設計室
高橋 正彦
住宅を設計する場合まず最初に施主の要望がどのようなものかを知ることから始まります。
要望を知る方法は建築家によって様々ですが比較的多いのはアンケート形式のような気がします。質問事項を書き込んだ用紙を渡し施主に書き込んでもらう方法です。予算、家族構成、に始まり家族それぞれの生活パターンなどを書き込んでもらう。ただ、この方法で分かることは質問した内容に限られてしまいそれ以外のことが掴みにくくなってしまいます。
もう一つの方法は要望を思いつくまま自由に書いてもらうことです。この方法だと施主が望んでいることがより具体的に掴め優先順位も分かります。ただ、新しい家の具体的なイメージがある程度頭に描けている施主の場合はいいのですが、ぼんやりとしたイメージしか描けていない場合は何をどのように書いていいのか戸惑ってしまう場合があります。
このように要望を文字にして伝えてもらう方法では断片的な事柄しかわからず、文字や文章などで表すことが出来ない想いは伝わってきません。そして実はその文字などで表すことができないイメージのかけらや断片のようなものが僕たち建築家が家づくりをするにあたり重要な点で、それをどれだけ掴むかによってその家の質も変わってくるような気がします。
施主と建築家がきちんとコミュニケーションをとり、心が通った会話をする。家づくりの話から始まり、趣味の話やなにげない雑談の中には多くのヒントが隠れています。それらをすくい上げ、施主のひととなりを捉えこれからの暮らしがはじまる住まいに落とし込んでいく。その行為が心地よい暮らしを営むことができる家を作る上で重要だと思います。
住まい手の想いが詰まった家は豊かな暮らしが営めます