【後編】日本が世界に誇る“お香”文化を京都・長岡京から発信!~お香の基礎知識・小さな香りのミュージアム薫習館~
SENSENAGAOKAKYO大人の社会科見学シリーズ、前編では「長岡京工場」の見どころを、中編では「調合師」のお仕事に密着。最終回の後編では調合師がお香の基礎知識を解説します。
さらに話題のスポット!小さな香りのミュージアム「薫習館」(松栄堂本店隣)のライターレポもお届け♪(取材日3月2日)
※新型コロナウイルスの感染拡大の状況を鑑み、薫習館1F Koh-labo「香りのさんぽ」コーナーを当面の間、体験中止となります
松栄堂のお香は長岡京市の「ふるさと納税」返礼品としても大人気!もちろん、ウェブショップからも購入もできますよ~!!
香りのエキスパート「調合師」がレクチャーする【お香の基礎知識】
京都ツウ、お香ツウになるための第一歩、初心者が知っておきたいお香のあれこれを、松栄堂の調合師、藤本さんに教えてもらいました。
お香は約1500年前に仏教と一緒に日本へやってきた
お香文化は飛鳥時代に仏教伝来とともに日本へやってきたんですよ。はじめは仏教儀式で使われていたので、香りを楽しむものではありませんでした。
衣服の香り付けを始めたのは平安貴族だった!?
平安時代になると貴族たちが生活にお香を取り入れ、香りを楽しむ文化が誕生。政治や文化の中心地だった京都で、お香の文化も発展していきます。
最近、洗濯時に衣類に香りを付けるのが流行っていますが、実は平安貴族たちも衣服に香りを移す「移し香」で安らぎを得ていました。
「香道」は、茶道、華道と並ぶ「日本3大文化」のひとつ
香りは「嗅ぐ」ではなく「聞く」と表現するんです。
鎌倉・室町時代には香木の香りを鑑賞する「聞香(もんこう)」、江戸時代には庶民にも広がり「香道(こうどう)」が確立。日本人は香りの世界を芸術まで発展させたんです。
現代では海外でもルームフレグランスとして注目され、アメリカにも松栄堂があります。
▶松栄堂の体験教室
日本ならではの癒しの香りは、海外の原材料に支えられていた!?
香木BIG3は「沈香」「伽羅」「白檀」
香木は香りのする天然の木。特にメジャーな3種類は「沈香(じんこう)」「伽羅(きゃら)」「白檀(びゃくだん)」。
その奥深い香りはいにしえの時代より人々を魅了してきました。有名な香木は奈良・東大寺の正倉院御物として伝えられているんですよ。さまざま形状に加工され、用途に応じて使い分けられています。
メインは数十種の天然香料、スパイスや漢方薬もあり
お香の原料として使われる天然香料の中には、スパイスや漢方薬として親しまれている「桂皮(けいひ)」=シナモンや「丁子(ちょうじ)」=グローブなども。
日本では採れないので、中国や東南アジアなどの産地からすべて輸入しているんですよ。主な原料は調合師が直接買い付けに出向いています。
初心者でもかしこく使い分け!お香の種類や用途を知っておこう
一口にお香といっても、種類はさまざま。寺院用のお線香や、ルームフレグランスとしてのお香、茶の湯で使われる練香(ねりこう)、「聞香(もんこう)」スタイルで香りを鑑賞する香木などがあります。
キャプション)銘香 芳輪シリーズ。白檀をベースにした伝統的な香り
手軽に楽しみたい・時間がない、というときには一番ポピュラーなスティック状のお香に直接火をつけるタイプがおすすめ。
燃焼時間はお香の長さと比例します。お香の中でも渦巻型は特に燃焼時間が長いので、広いお部屋で使うといいですね。
お香の燃える面積が広いほど香りが強くなります。円錐(えんすい)型は徐々に香りが強くなるので、短時間でお部屋に香りが広がります。また、灰はそのままの形状で残るのでお掃除がラクですよ。
キャプション)京都本店で販売中。横浜店OPEN記念商品。横浜の老舗レースメーカーとコラボした匂い袋。全6種類。各2420円
もっとも初心者におすすめが、常温タイプのお香。こちらは火を使わなくても、常温で芳香するように調合しています。
キャプション)香りと巾着袋を選べる匂い袋は京都本店・大阪本店のみで販売。香りは3種類から、巾着は定番の伝統的な柄からポップな柄まで揃う
小さな巾着や、しおり型、ストラップなど種類はさまざま。名刺入れやタンス入れに忍ばせておくと、やさしく奥ゆかしい香りが移ります。
松栄堂では2020.4/18~5/25(※途中展示替えあり)の期間、「お香の日特別展 はじめてお香を使うなら」を開催中。(入場無料)
新スポット誕生!京都の香り発信拠点「薫習館」(くんじゅうかん)
※新型コロナウイルスの感染拡大の状況を鑑み、薫習館1F Koh-labo「香りのさんぽ」コーナーを当面の間、体験中止となります
キャプション)入口すぐ、お香をモチーフにした和のシャンデリアがお出迎え。京和傘の老舗・日吉屋が手がけた。煙の香りのゆらぎを現した漆喰の壁も素敵
若い世代にも話題!お香のミュージアム
香りの発信拠点として、京都本店隣に2018年オープン。全国的にも珍しい香りのミュージアムは、今までお香に関わりのなかった20~30代からも人気を集めています。なんと入館料は無料。デートスポットとしても話題♡
同館のメインとなるKoh-labo「香りのさんぽ」のスペースは、一見すると不思議な空間ですが、香りとの出会いをお手伝いしてくれるユニークな仕掛けがいっぱい♡見どころをピックアップしました!
キャプション)薫習館 アテンドスタッフの奥田さん。館内の案内をお願いすることもできるそう
頭からすっぽり!「かおりBOX」
キャプション)持ち手をひっぱると、下にグーンと箱が伸びるので、小さな子どもでも体験可
天井から3つの箱が吊るされていて、BOX内はそれぞれ違った香りで満ちています。あえて視界を遮って香りに集中できるように工夫がされています。
「練香」や「沈香」など普段触れる機会の少ない香りを通じて、香りの幅を体感できると同時に、おもしろ写真の撮れる人気のフォトスポットでもあります。
巨大!!香木「白檀」がお出迎え
地球の環境変化により、入手困難になりつつある香木。写真右側、高さ約1メートル、重さ約70キロの白檀が展示されています。大きな白檀の木の中心部分のみが、香料として使えるそう。実際に触ることができます。
ポンプでシュパシュパ「香りの柱」
それぞれの柱に原材料が1種類ずつ入っているので、原材料自体の香りを知ることができます。白いラッパに鼻を近づけてポンプを押してみて。
お庭を眺めながら「香りの休憩所」でいっぷく
エントランスの奥に位置する、松吟(しょうぎん)ロビーでは年間を通して企画展などのイベントを開催。イベントがお休みのときは、喫茶店スタイルでお香の無料体験ができます。かなり好評なんだとか。
受付カウンターで声をかけ、メニュー表から好みの香りをチョイス。セット一式受け取り、椅子に座ります。安らぎの香りに包まれ、贅沢なひと時を過ごすことができます。
以上、大人の社会科見学 松栄堂編、いかがでしたでしょうか。
未来へと日本の伝統をつなぐ松栄堂のみなさんの熱意や創意工夫が記事を通じて少しでも伝わればうれしいです。
松栄堂のお香はお取り寄せ(ウェブショッピング)で楽しむこともできます。お家で過ごすことの増えるこれからの時期、香りで癒されてみてはいかがでしょうか?
また、松栄堂のお香は「ふるさと納税」の返礼品としても大人気!お申し込みはコチラから!
SENSENAGAOKAKYOでは今後も長岡京自慢の企業をどんどんご紹介していきますので、お楽しみに!
■■INFORMATION■■
松栄堂公式HP www.shoyeido.co.jp
香老舗 松栄堂 薫習館
075-212-5590
京都市中京区烏丸通二条上ル東側
10時~17時
不定休
地下鉄烏丸線 丸太町駅 7番出口から徒歩3分
駐車場あり
※新型コロナウイルスの感染拡大の状況を鑑み、薫習館1F Koh-labo「香りのさんぽ」コーナーを当面の間、体験中止となります
香老舗 松栄堂 京都本店
075-212-5590
京都市中京区烏丸通二条上ル東側
9時~18時(※営業時間変更の可能性もあります。あらかじめ電話でお問合せください)
年中無休(年始を除く)
地下鉄烏丸線 丸太町駅 7番出口から徒歩3分
駐車場あり
・ウェブショッピング
・ふるさと納税
・松栄堂 京都本店 薫習館
撮影:菊地佳那