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松浦信孝の読書帳

このご時世に本を読むということの意味

2020.04.15 15:05

外出自粛をしていると、余計なことを考えるには十分過ぎる時間がある

東京の感染者数が伸びない。今週中に一日数百人〜千人単位になるかと思っていた。いや、増えないに越したことは無いのだけど。




だんだん落ち着いてきたのだろうか、と錯覚してしまう。依然として油断して良い状況では無いけれど。


自分は幸いにも職場閉鎖→自宅待機となったので、外出の頻度も大幅に抑えられ、安全圏でのうのうと本を読む日々を送れているが、そうではない人が大部分だと思うのでそこは非常に申し訳なく思う。


ただ、時間がたっぷりある人間はある人間なりに何かを提供しなくては、という思いもある。


国や政府の悪口を今更言っていても生産性が無いので、コロナと、収束した後のポストコロナ世界の方向性を哲学する、などどうだろう。


関係ないけどこのコロナ騒ぎに乗じて種苗法改正案、検察官の人事に内閣が介入できるようにする検察庁法改定、総理大臣に権限を集中左折緊急事態条項をめぐる改憲論議、などが人が減った国会で議論されているようだ。


民主主義って国民が為政者の行動を監視してなきゃならんのに、いざとなると国会でどんな話してるか議事録の所在すらよく分からない。審議中の内容を知るには冗長が過ぎる国会中継を見るしか無いのか?どこがわかりやすいのか教えを乞いたいものだ。ニュース以外のソース見当たらないってどういうことだよ、そりゃマスコミに扇動されるわ。

参考資料


愚痴が多くなった。


新型コロナに関して適切な情報は他の人たちが沢山挙げてくれているので、違う側面から話をする。


一応医療者ではあるが、専門外なのでその辺は信頼できる情報を参考にされたい。


未知の感染症、ということで個人的に疑問に抱いた点をいくつか挙げていく。


まず、今回の新型コロナ感染症:COVID-19はウイルス感染によって発症する。


潜伏期間は1〜14日(平均5日)程度とされている。発症すると重症例は肺炎、最悪の場合急速に容態が悪化し、呼吸困難を生じ、死に至る。らしい。


潜伏期間の長さが、誰がウイルスを保有しているか分からず、動き回ることで感染が拡大していくのだという。無症状例も多い。


ここから首都圏の話になるが、時差出勤しているとはいえ、まあまあ密な公共交通機関で毎日通勤していたら、ほぼ全員ウイルスを保有していてもおかしくない。だから、自分は感染しているものと思って行動するように、と国から要請される。まあ、わかる。


そしてウイルスが身体に侵入し、生体内で増殖、定着すると感染の状態となる。発症はもっと先になる。ほとんどの人が通りすがり的にウイルスが一度は身体に入っているかと思われる。


感染しないのはなぜか。平時も身体の防御反応である免疫が機能するからである。濃厚接触者が全員発症するわけでも無いのは、免疫力>ウイルス数で、体内に侵入したウイルスの数が制御可能だったからということになる。もしくは偶然にもウイルスが侵入しなかったか。


毎日新規感染者何人!というのは分かりやすくて報道する側としては良いのだろうが、その反面で新規免疫獲得者も着々と増えているのではないか?時限爆弾的に14日経過したら全員発症する病気なら、そんなに呑気なことは言っていられないが、どうもそうではなさそうであるから、勝ち目はありそうだ。


しかし、発症したら「同調圧力の国、日本」であるからここぞとばかりに叩かれる。顔も知らない奴からあーだこーだ言われる。生活不安、生命不安、フラストレーション、色んなものが怒りに転化して渾然一体となって感染者に降り注ぐ。住居は共用スペース諸共消毒される。ばい菌扱いである。

これほど民族の浅ましさが露呈することになるとは。


生活のために外出をやめるわけにはいかない人が一定数いる。国のフォローは期待できない。自分の身は自分で守るしか無い。


だからもはや、新型コロナ騒動は必要最低限に行動しつつ、免疫を落とさないように発症を抑えるチキンレースと化している。


免疫を下げない。適切な食事も重要である。睡眠時間もしっかり摂った方が良い。


意外と指摘されないのは、ストレスである。過剰なストレスを感じると、コルチゾールが分泌される。皮膚科でよく処方されるステロイドと同じもので、免疫抑制作用がある。


自粛以前の世界であれば、ストレスを解消するために居酒屋に行ったり、カラオケに行ったり、映画を見たり出来たかも知れない。しかし今、我々を最もストレスから解き放ってくれるはずの場所は感染リスクが高いとされ、自粛要請の名の下にシャットアウトされてしまっている。


だから今、読書しかない。


家でAmazonPrimeやNetflix、Youtubeを観たりでもいい。楽しく、暇もつぶせる。


ただ、個々人のストレスの根源になっているものが既存の価値観から来るなら、その価値観をひっくり返せるのは良質な本を読書することでしか得られない。


ストレスに負ける自分、を根底から組み替えるためには、本を読み、自ら思考するしか無いのだ。


生命からストレスは切り離せない。それは生きる糧でもあるから。ただ、過剰になってしまうのはそれを捉える自分の思考、行動パターンが既存の枠組みの範疇にしか無いからである。


何でこのご時世に本なのか。本の中にしか救いは無いからである。


ただ、一般的な書店で平積みされているようなビジネス本とか、華々しい帯のベストセラーだと、心深くまで刺さる本はほぼ、無い。


センジュ出版や明徳出版社のように、良質な本を生み出している出版社の本で無くてはいけない。


読書のすすめのように、一冊一冊書店員が読んだ本だけを紹介する書店でなければ、そうした本には出会えない。

4/20に3度目の増刷を迎える『生きた佛教』という本がある。

とても優れた本だ。仏教の根源を易しく解説してくれる。アメリカで説法を行っていた人の本だ。アメリカ人でも理解できる仏教が、日本人にわかりにくいはずが無い。

この本は、読書のすすめでしか手に入らない。


なぜこの書店を推すか。それは、ポストコロナ世界をどう生きていくかということにも繋がる。

新型コロナは、見事に資本主義構造の欠点を指摘し、破壊した。


元々伸びしろを使い切ったはずの先進国が、あの手この手で無限の経済成長を求める構造にはだいぶ無理があったが、そのことを改めて指摘してくれた。


有事の前に、民主主義が吹き飛ぶ姿というのも、戦争に突入せず体験することが出来た。


恐怖で煽動しまくった結果、民衆はコントロールを失うというのも、見慣れた。


ポストコロナの世界が、どう転ぶかは分からない。ただ、今までの歴史の中にヒントはあると思っている。そしてそれは、各国の鎖国体制のようなエゴイスティックなものではなく、調和と循環を重んじた、東洋思想的世界になる様な気がしている。


過剰な物は不要。過剰な金も不要。人間として食べて生きつつ、精神を磨いて、より高次の存在へ向かっていく、そうした時代に向かっていくのではないか。


今回の新型コロナ騒動で、人は身近な場を守ることを覚えた。飲食店、芸術分野、遊興施設。


お金は投票なんだって事も、改めて認識した。


この趨勢がどうなっていくのか、勉強しながら見守っていきたい。