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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

黒王妃の戦争12-欧州をかき回すアンジュー公

2020.04.16 11:25

カトリーヌの息子のうちに一人だけ、王になれない子がいる、アンジュー公フランソワである。欲求不満か改革派ポリティークの頭領となり、新教派と組んで暴れまわる。しかし移り気というか、王母に懐柔されると今度は旧教派にまわって南仏を攻略、これにより講和となり1577年第6次ユグノー戦争が終わる。

カトリーヌはここぞとばかり南仏に乗り込んで恒久平和を結ぼうとした。ところがその後ろでまたもや王になれないアンジュー公、英雄ドン・ファン公の後がまを狙ってネーデルランドと交渉していたのだ。そこでネーデルランド国境が騒がしくなり、アンジュー公はまた新教と連合し第7次戦争へ。

ネーデルランドのオランイェ公は、81年全国議会で、フェリペ2世の廃位を宣言し、アンジュー公を呼びフランスと結ぼうとする。そこでアンジュー公はまた、自分のためにフランスの平和を呼び掛け、戦争が終わる。

アンジュー公は、イングランドとも結ぶべく、女王に求婚、エリザベスもまんざらではなかったようだ。ところがネーデルランドのパルマ公率いるスペイン軍が黙っているわけがなく、戦闘に敗れ、議会とも仲違いし、84年6月、結核をこじらせ、29歳の若さで亡くなったのである。

下は映画「エリザベス」よりエリザベスに求婚したアンジュー公の顛末