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空間における連続性の唯一の形態

2020.04.16 22:59

2/18に行われた東京オペラシティ文化財団主催B→C「バッハからコンテンポラリーへ」では6人の作曲家に無伴奏チェロ作品を委嘱しました。


B→Cの出演は、まずオペラシティからノミネートされた段階で音源とプログラム案を送り、最終的に年間10名程度が出演します。

プログラム案ですが、僕はバッハと委嘱新作に絞ることを決めました。


・同年代で

・ノミネート時点から一年以内に新作を弾いた

という条件で頑張って6人に絞りました。


新作のテーマは、「バッハのプレリュードに繋がる5分ぐらいの小品」です。

ちなみに6曲あるプレリュードの前に誰を置くか、、というのはほぼ直感で決めました。


第一番の前は、久保哲朗君にお願いしました。


彼と初めて話したのは2015年の秋吉台の夏現代音楽セミナーだったかな?なんだか思い悩んでるような感じでした 笑


その後も何度か演奏する機会があったのですが、2017年6月、彼が書いたオーケストラ曲"Pipo-t-Chu"を藝大フィルで弾いたとき、何か吹っ切れた?ような爽やかな?印象を受けました。

この演奏会が彼に委嘱しよう、と決めたきっかけです。(ちなみにこの作品は芥川作曲賞にノミネートされました)

彼はすごく真面目で、それは今回もすごく感じました。


完成した楽譜をpdfで送ってもらい、それを演奏したものを聴いてもらい、また修正版の楽譜が彼から送られてくる、、という作業を何回も繰り返しました。

空間における連続性の唯一の形態

Forme uniche nella continuità dello spazio


『網膜上でイメージが持続することで、動く物体は絶えず増殖し、物体を急速に振動させた時のようにその形状は変化していく。

つまり疾走する馬の足は4本ではなく20本であり、その動きは三角形を形成するのだ。』(ミラノ、1910年4月11日「未来派絵画技術宣言」より引用)

20世紀初頭にイタリアを中心として起こった前衛芸術運動、未来派の中心的画家であるウンベルト・ボッチョーニは1913年に代表作である彫刻『空間における連続性の唯一の形態』を製作する。未来派の特徴の1つである「疾走感」=「合成した連続性」が表現されており、統一的な構造を持ちながらも作品からは、多様なフィギュアが常に動き、変容し続けるかのようなダイナミズムを見ることができる。

本楽曲では「合成した連続性」をどのように単一の時間内で描くかをテーマとして作曲を行った。(作曲者プログラムノート)

彼と数回のリハーサルを行い、「スピード感」と「フレーズ感」の2つが重要だと分かりました。

この曲は通常の楽音があまり使われていない(胴体を擦る、指で叩く、コマの上を擦る、息音など)ため、音の方向性を表現するのが難しかったです。

最後の方にバッハ1番プレリュードの引用(?)が。もうこのへんは体力的に厳しくこの後のバッハ1番プレリュードが右手のコントロール不能になってたのは内緒。

この作品の放送は4/19(日)8:10〜NHK FM「現代の音楽」にて