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美的なるものを求めて Pursuit For Eternal Beauty

白銀比(大和比)の建築美がそこに (「法隆寺」創建607年<推古15年>)

2020.04.17 11:57

「美的なるものを求めて」テレビ東京放映番組<2020.3.21>主な解説より引用

法隆寺(ほうりゅうじ)は、7世紀初め(607年 推古15年)飛鳥時代に創建された

奈良県斑鳩町にある仏教寺院である。聖徳宗の総本山であり、別名は斑鳩寺(いかるがでら)とも呼ばれ、 聖徳太子ゆかりの寺院でもある。

日本書記によれば670年に焼失。現存の建物は、7~8世紀にかけて再建されたもの。

 西院伽藍に構える「五重塔」、「金堂」(いずれも国宝)・大講堂などが、「白銀比」(その比率は、1:1.414....「大和比」とも呼ばれる)を活かし理路整然と配置されている。配置のみならず、五重塔の屋根の長短、金堂における横幅の比率なども「白銀比」の寸法が取り入れられており、いずれも世界最古の木造建築である。

 1993年には、「法隆寺地域の仏教建造物群」として、ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された。

 金堂の内部には、仏師・鞍作止利(くらつくりのとり)の作で、アルカイックスマイルの笑みを浮かべる「釈迦三尊像」(国宝)、「薬師如来」「阿弥陀如来」「四天王立像」などが所蔵されている。

 東京国立博物館・法隆寺宝物館の三田覚之研究員によれば、「これらは、堂内を飾る十二面金堂壁画とともに、世界の全てが詰まっている、時空を超えた壮大な仏教バーチャル空間を現出させていると言えます」と語った。

 構内の回廊空間にも、当時の大陸のデザインと、日本の意匠で生まれたデザインの融合とも思われる技法が取り入れられており、輸入した文化を日本独特の文化や意匠と融合させていくという、当時の日本人の先進的な気風さえうかがえる。

(番組を視聴しての私の主な感想コメント)

 古来、飛鳥時代の日本人が追求してきた「美の感覚や感性」というものを、再発見するとともに、それは単なる「感覚的なもの」では決してなく、「白銀比」という数理的な裏付けをもって、美へのアプローチに挑戦してきたのだなあと、新たな再発見に感動した。

 日本では自然の中に合理的な数として白銀比や正方形を見いだし、それを文化の中に取り入れてきた歩みを学んだ。京都の「三十三間堂」を本番組が作品としてとりあげた際にも、「白銀比」の採用が紹介され、語られていたことを思い出した。

 そもそも、その「白銀比」の比率であるが、1 : √2 = 1 : 1.414…で表される比率のことを指している。

 白銀比で構成された長方形は、長辺で2等分すると、元の白銀比の長方形と相似になる。法隆寺のほかに、菱川師宣の「見返り美人図」、生活の身近なところでは、

「A判」・「B判」と呼ばれる用紙サイズや風呂敷などにも見られる。

 一方、西洋の「黄金比」はというと、1:1.618≒5:8・・である。こちらが採用されている例としては、エジプトのピラミッド、ミロのヴィーナス、パルテノン神殿などにみられる。また、西欧においては自然が合理的に選択する黄金比、フィボナッチ数列、螺旋(らせん)などを、西欧文化の中に取り入れてきた経緯がある。

 ちなみに、かわいらしい人気キャラクター上位20位(ドラエモン・くまモンなど)のうち、その40%が「白銀比キャラ」であり、身近ではGoogleのロゴも「白銀比」で構成されている。

 さて、私が、法隆寺を初めて訪問したのは、奈良・京都方面を巡る中学の修学旅行であったのを、今でも鮮明に覚えている。皆さんの中にも、行かれた方は多いのでは。

 日本の国造りの原点ともいえる意義のある建立物の数々との「生まれて初めての遭遇」ではあった。しかしながら思い出されるのは、やはり思春期の友達との「修学旅行」での出来事の方が、より鮮明であるのはやむを得まいか.....

 紫式部の「源氏物語」着想の地といわれる石山寺、奈良の石舞台、法隆寺、東大寺、京都の金閣寺など、今でもメジャーなコースを、グループ行動で訪問→調査→帰校後の発表と、なかなかタイトであった。一方で、夜もみんなと一緒に寝るのが、とても楽しくてなかなか寝つけずに、枕投げで興じたこと。「早く寝るように」と担任の先生から、宿泊旅館の大部屋で怒られたことなど、今となっては懐かしい思い出の一コマである。

 都内の公立中学の修学旅行が、私服OKで参加したことも、奈良公園の鹿案内人の方から、「珍しいね」と言われたことを、なぜか今でも鮮明に覚えている・・・

写真: 「法隆寺」白銀比を体現した「金堂」<左>と「五重塔」<右>

「新・美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2020.3.21>より転載。同視聴者センターより許諾済。