[冊子デザイン・表紙絵]「FUEKI」vol.68
「FUEKI」vol.68 デザイン・表紙絵「南京ぜんざい」
機関紙「FUEKI 68号」(福武教育文化振興財団)の冊子のエディトリアルデザインとイラストを制作させて頂きました。
表紙デザイン
今回、表紙の取材に初めて同行させていただきました。穏やかな瀬戸の海と島々をバックに、「南京ぜんざい」の作り手の池田さんのお話をお聞きした時間は、とても豊かなものでした。「犬島が大好き!」と満面の笑みでおっしゃる池田さんのお話を少しご紹介します。
「船から降りると、車の音がせんのんよ。安心するんよ」。犬島が好きな理由のひとつに音をあげてくださった池田さん。子供の頃は、精錬所の跡地でかくれんぼしたり、疲れると煙突の中でのんびり休んだそうです。煙突の中は人が並んで寝転べるくらいの大空間で、「夏は涼しくて、冬は暖かいんよ」。そしてお父様のお話。今も1つだけ手元にあるというお土産のセルロイドの筆箱は、どんな姿をしているのでしょう…。どのお話も、当時の情景が目に浮かぶようで聞いているとワクワクし、心温まりました。
帰りの船を待つ間、海へゆっくりと静かに暮れていく夕日を眺めながら、池田さんの言う犬島の魅力を私もしっかりと感じていました。それは子どもの頃の遊びの記憶と近いものでした。
取材後、池田さんがバケツを持って海辺に降りていくと、その頭上にはトビが旋回していました。バケツの中身はカフェで残った食材で、撒くと程なくトビはそれを食べに。その様子は池田さんが犬島の風景の一部となって溶け込んでいて、本当に美しかった。
ただ犬島の住人の多くは高齢の方たち。島に住み続けたいと願っても、いつでもかかれる診療所や福祉施設がないので、住めない人が多くいるそうです。池田さんはそれを悲しんでおられました。
表紙と裏表紙
裏表紙には「南京ぜんざい」のエピソードを綴った池田さんの文章が掲載されています。お人柄そのままのエッセイもぜひお読みください。そして優しさのつまった「南京ぜんざい」を食べに犬島へも訪れてみてくださいね。精錬所跡の景観や現代アートも見応えがあります。
わたしはいつか、犬島の砂浜でお茶など飲みつつ寝転がって星空を眺めたいなーと思いました。植物園もサイコーでした。楽しい取材に同行させていただきWさんありがとうございました!
アナログで制作したイラストを、デジタル変換して背景にあしらっています。
福武コレクションものがたり エピソード3 直島と国吉康雄
福武教育文化振興財団の機関紙「FUEKI vol.68」
編集発行 : 公益財団法人福武教育文化振興財団
制作 : 株式会社吉備人
印刷 : 株式会社三門印刷
イラスト・デザイン:タケシマレイコ
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