イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
よく言われる「仕事の進め方」を、一面的ではあるが学べる
いっぱい残業しちゃう人にオススメ
以下、自分用の読書メモ
序章 この本の考え方 - 脱「犬の道」
第1章イシュードリブン - 「解く」前に「見極める」
第2章 仮説ドリブン① - イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
第3章 仮説ドリブン② - ストーリーを絵コンテにする
第4章 アウトプットドリブン - 実際の分析を進める
第5章 メッセージドリブン - 「伝えるもの」をまとめる
序章 この本の考え方 - 脱「犬の道」
「悩む」=「答えが出ない」という前提のもとに、「考えるフリ」をすること
「考える」=「答えが出る」という前提のもとに、建設的に考えを組み立てること
悩むのは時間のムダ、悩んでいる自分をすぐに察知できるように
「イシューからはじめる」という考え方
- 「問題を解く」より「問題を見極める」
- 「解の質を上げる」より「イシューの質を上げる」
- 「知れば知るほど知恵が湧く」より「知りすぎるとバカになる」
- 「ひとつひとつを早くやる」より「やることを削る」
- 「数字の桁数にこだわる」より「答えが出せるかにこだわる」
プロフェッショナルにとって、バリューのある仕事とは何か?
「バリューのある仕事」=「イシュー度」×「解の質」
「イシュー度」= 自分の置かれた局面でこの問題に答えを出す重要性の高さ
「解の質」= そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い
踏み込んではならない「犬の道」
仕事の量を増やし、がむしゃらに働き続けることで「バリューのある仕事」に到達しようというアプローチ。
時間のムダ、高確率でダメな人になる
仮に「バリューのある仕事」に到達できたとしても、部下も同じようにしか育てられない...
第1章イシュードリブン - 「解く」前に「見極める」
▶︎イシューを見極める
問題はまず「解く」ものと考えがちだが、まずすべきは本当に解く問題、すなわちイシューを見極めること
▶︎仮説を立てる
「スタンスをとる」ことが肝要
- 答えを出し得るレベルのイシューにする
- 必要な情報、分析すべきことがわかる
- 分析結果の解釈が明確になる
▶︎イシューと仮説を言葉で表現するときの注意点
・「主語」と「動詞」を入れる
曖昧さが減り、シンプルになる
・「why」より「where」「what」「how」
「where」...どちらか?どこを目指すべきか?
「what」...何を行なうべきか?何を避けるべきか?
「how」...どう行なうべきか?どう進めるべきか?
・比較表現を入れる
何と何を対比し、何に答えを出そうとしているかが明確になる
▶︎よいイシューの3条件
①本質的な選択肢である
「カギとなる質問」であり、それに答えが出るとそこから先の検討方向性に大きく影響を与えるもの
②深い仮説がある
仮説を深いものにするための定石に、以下のようなものがある
☆常識を否定する
直感、肌感覚の常識が反証された時のインパクトは大きい
カウンター・イントゥイーティブ
☆「新しい構造」で説明する
関係していないと思ってた情報の間につながりがあるとなると、我々の脳は大きなインパクトを感じる
- 共通性の発見
- 関係性の発見
- グルーピングの発見
- ルールの発見
③答えを出せる
「インパクトのある問い」がそのまま「よいイシュー」になるわけではない
「答えを出せる見込みがほとんどない問題」があることを事実として認識し、そこに時間を割かないことが重要
「自分の手法ならば答えを出せる」と感じる「死角的なイシュー」を発見することが理想
▶︎イシュー特定のための情報収集
①一次情報に触れる
二次情報は断面でしかない
モノづくりの場合...
- 生産ライン、調達の現場に立つ
- 現場の人の話を聞く
- 可能であれば何かの作業を一緒にする
商品開発の場合...
- 商品が使われている現場に出向く
- 商品を使っている顧客と話をする
- なぜそれを使うのか、どう使い分けているのか、どんな場面でどう使っているのかなどを聞く
②基本情報をスキャンする
☆マイケル・ポーターの「ファイブ・フォース」+2
1.業界内部における競争関係
- 市場成長、動向
- エコノミクス
- 現在のKSF
- ポジショニング
2.新規参入者
- 参入障壁
- コスト優位性
- 想定される反応
3.代替品
- 相対価格
- スイッチコスト
- 顧客の感度
4.事業の下流(顧客・買い手)
- 顧客、ユーザー
- サービサー
- 流通、物流
- 価格感受性
- 寡占度
5.事業の上流(サプライヤー・供給企業)
- サプライヤー
- サプライチェーン
- 寡占状況
- コスト
6.技術・イノベーション
7.法制・規制
☆数字
「この数字を知らずして議論しても仕方ない」部分を大局的に抑える
- 事業全体なら...規模感、シェア、営業利益率、それらの変化率
- 小売なら...1日あたりの売上高、在庫回転率、客単価
☆問題意識
「これを知らないとその分野の人との会話が成り立たない」ということを一通りカバー
- 歴史的背景を踏まえた分野・業界・事業の常識
- 課題領域にまつわる一般的な通念
- これまでの検討の有無、内容とその結果
☆フレームワーク
検討している問題が既存の枠組み、つまりはフレームワークの中でどう位置付けられ、説明されているのかを理解する
以下のような全体感がつかみやすいものを活用
- 雑誌・専門誌の特集記事
- アナリストレポート/アニュアルレポート
- テーマに関する書籍
- 教科書的な書籍の該当ページ
③集めすぎない・知りすぎない
- 情報収集は意図的にざっくりやる
- 情報収集の効率は必ずどこかで頭打ちになり、情報がありすぎると知恵が出なくなる
▶︎イシュー特定のための5つのアプローチ
①変数を削る
問題の関連要素を固定したりグルーピングしたりして削ることで、本当のイシューがはっきりしてくることが多い
②視覚化する
問題の構造を視覚化・図式化し、答えを出すべきポイントを整理する
③最終形からたどる
全ての課題が解決したときを想定し、現在見えている姿からギャップを整理する
④「So what?」を繰り返す
「So what?=だから何?」という問いかけを繰り返し、仮説を深める
⑤極端な事例で考える
極端な事例をいくつか考えることで鍵となるイシューを探る
市場規模、市場シェアなど、基本的な要素を極端な数値にしたときに何が起こるか
第2章 仮説ドリブン① - イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
イシュー分析とは何か
「イシュー分析(イシューアナリシス)」= 解の質を高め、生産性を大きく向上させる作業
- 「ストーリーライン」づくり
- 「絵コンテ」づくり
↓
イシューの構造を明らかにし、その中に潜むサブイシューを洗い出すとともに、それに沿った分析のイメージづくりを行う過程
本章では「ストーリーライン」づくりについて述べている
ストーリーラインづくり
- イシューを分解する
- 分解したイシューに基づいてストーリーラインを組み立てる
STEP1 イシューを分解する
「MECE」= ダブりもモレもなく
分解の型
- WHERE...どのような領域を狙うべきか
- WHAT....具体的にどのような勝ちパターンを描くべきか
- HOW.....具体的な取り組みをどのように実現していくべきか
「最後に何が欲しいのか」から逆算してもOK
イシュー分解すると...
- 課題の全体像が見えやすくなる
- サブイシューのうち、取り組む優先順位の高いものが見えやすくなる
分解して見えてきたサブイシューについてもスタンスを取って仮説を立てる
見立て(仮説のベースとなる考え)があればそれに越したことはないが、なくても強引にスタンスを取る
曖昧さを排し、メッセージをスッキリさせるほど、必要な分析のイメージが明確になる
全体のイシューを見極める時と同様に「フタを開けてみないとわからない」とは決して言わない
STEP2 ストーリーラインを組み立てる
典型的な流れの例
- 必要な問題意識・前提となる知識の共有
- 鍵となるイシュー、サブイシューの明確化
- それぞれのサブイシューについての検討結果
- それらを総合した意味合いの整理
漠然としたアイディアしか浮かばない人には、主語と動詞を明確にし、いったい自分は何を言おうとしているのかを箇条書きで明確にする「イシューと仮説だし」を日々行わせる
ストーリーラインの2つの型
・WHYの並び立て
最終的に言いたいメッセージについて、理由や具体的なやり方を「並列的に立てる」ことでメッセージをサポートする
ちゃんとMECEでやる
・空・雨・傘
〇〇が問題だ→この問題を解くには、ここを見極めなければならない→そうだとすると、こうしよう
第3章 仮説ドリブン② - ストーリーを絵コンテにする
イシューが見え、ストーリーラインもできれば、次は分析イメージをデザインしていく
このサブイシューは、こんな感じに分析したいな みたいなのをまとめる
分析とは比較、すなわち比べること
定量分析の3つの型
- 比較
- 構成
- 変化
「ほしい結果から考える人」になろう!
人間の知覚は、不連続なものに働く
「理解の経験」をさせてあげられるようデザインすると、相手の記憶に残りやすい
理解することの本質は、既知の2つ以上の情報がつながること
つなぎを何度も使うとつながりが強くなる = ヘッブ則
第4章 アウトプットドリブン - 実際の分析を進める
絵コンテを本物の分析にしていく作業
ここでは「答えありき」ではなくフェアな調査を心がける
ほしい数字や照明が出ない時
- 構造化して推定する
- 足で稼ぐ
- 複数のアプローチから推定する
自分の知識や技では埒があかない時
- 他力を活用する(聞きまくれる相手がいる、というのはスキルの一部)
- 期限を切って、その手法に見切りをつける
完成度より回転数!
エレガントよりスピード!
第5章 メッセージドリブン - 「伝えるもの」をまとめる
プレゼン資料をまとめていく作業の解説
「本質的」「シンプル」を実現する
- 意味のある課題を扱っていることを理解してもらう
- 最終的なメッセージを理解してもらう
- メッセージに納得して、行動に移してもらう
- 聞き手は完全に無知だと思え
- 聞き手は高度の知性を持つと想定せよ
ストーリーラインを磨き込む
プロセス① 論理構造を確認する
- すっきりとした基本構造で整理されているか
- 前提が崩れていないか
プロセス② 流れを磨く
- まず紙芝居形式の荒磨き
- 次に人を相手にした細かい仕上げ
プロセス③ エレベーターテストに備える
仮にCEOとエレベーターに乗り合わせたとして、エレベーターを降りるまでの時間で自分のプロジェクトの概要を簡潔に説明できるか
ピラミッド構造に組み上げたストーリーラインには、トップレベルに結論が並んでいる!