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ff(フォルティッシモ)

ST017:春風

2019.09.29 13:00

生徒会長・ミヲに対し、綾はスクールアイドル部の正式な設立を直談判する。それを受けたミヲが提示した最低条件は「部員を五人集めること」。そこで綾はミヲを勧誘し、自分たちの活動の見学を勧めた。



 放課後。綾たち四人は、いつも通り練習のため屋上へと向かう。


「あら、ようやく来たのね」


 屋上の扉を開くのと同時に、そんな声が聞こえた。見ると、そこにはミヲとすずが立っている。


「生徒会長…!」

「あなたが見に来いって言うから、仕方なく来てあげたわ」

「ありがとうございます」

「でも、あんまりにも遅いから、帰ろうかと思ってたところよ」


 嫌味な人だ、と綾は心の中で毒づいた。そんな二人のやり取りに、すずは苦笑する。


「まぁまぁ、ミヲもそう怒らないで。せっかくなんだから、ちょっと見て帰ろうよ」

「…仕方ないわね」


 ミヲのすずに対する信頼は厚く、それに救われる形で綾たちはアプローチの許可を得た。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「ねえ、ミヲ」

「何?」


 通学路に、下校するミヲとすずの影が伸びる。


「どう思った?」

「…さあ」

「私、あの子たちと一緒にやってみようかなー」

「馬鹿なこと言わないでよ」


 ミヲはそう叱責したが、すずはそれに対してへらへらと笑うだけだった。

 春風が、二人の髪と制服のスカートを揺らしていた。