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History of 山口県ロック

2019.01.29 11:36

中越和明の名を聞いてピンとくる者は皆無だろう。しかし山口県民の誰もが彼のことを知っている。誰もが彼の歌を聴いている。中越和明は山口県で最もポピュラーな歌手である。

 

「CMソングライター」として知られる。代表作を挙げてみる。

 

♪1「北長門/自然の恵/国近のしそ入りわかめ」国近商店

♪2「下松健康パークトロン湯センター」下松健康パーク

♪3「まるきまるきおおきなまるき/今日もまるきがまってます」ウェスタ丸喜

 

誰もが一度は口ずさんだことのあるジングルだろう。こころ沸き立ち思わず体が動き出す。まさしく山口県のメロディ。

 

筆者は中越氏の知り合いでもなんでない。パーソナリティについてもなにひとつ知らないが、発表されたレコードからその足取りを追うことができる。


73年「北原昭夫」の名で歌手デビュー。ポリドールから1枚シングルを出している。その5年後、78年に中越和明の本名で再デビュー。同じくポリドールからだが「依託制作」の扱い。言わばインディーズへの降格だった。


17歳から23歳まで。若くして経験した芸能界もスターへの道は遠かった。2枚のシングルからはそんな印象を受ける。しかし素質は磨かれていた。80年にKAZ & 4 ROCKERSを率いてバンド活動を展開。第19回ヤマハポプコンつま恋本選会に選出され、見事「優秀曲賞」を勝ち取るのだった。


ここに紹介するのは受賞曲「ピアノのおけいこ」である。捲土重来。ポリドールへの返り咲きだった(*レーベルはKitty)。パンクがメインストリームにどっかと居座り、めんたいビートが産声をあげた時代。混じり気のない「ニューウェイヴ」がここにある。


CMソングライターという異色の肩書。そして知られざるバンドキャリア。こうした人物を取り上げようともしない地元新聞、テレビ、ラジオ、その他大勢。彼らはこれから先一体なにを発信していくのだろうか。山口県に決定的に欠けている何かに思えてならない。


中越和明に今こそ花束を。偉大なる先達に拍手を。