コロナに導かれて
世界が止まった2020年、歴史に刻まれる出来事コロナ、私達はそんな時代を生きている。こんな日が来るなんて、誰が想像出来ただろう。地震や台風のように、どこか頭の片隅にある天災に対しての無意識な覚悟も通用しない。
全人類想定外の出来事。
世の中がコロナウイルスで騒ぎ始めた2月、あまりTVを見ないせいか、何だそれは?風邪か?くらいにしか思っていなかった。その頃は着々と5月に予定していた公演の準備を進めている真っ最中で、メンバー皆んなでキラキラと夢を見ていた。
3月に入り、雲行きが怪しくなってきた。日本はまだそれほどでもなかったが、ヨーロッパ、アメリカは大変なことになっていた。しかし、のんびりとした実感のない空気に包まれた日本では、いまいち危機感が持てないのが正直なところだったが、徐々に先が見えなくなってきた。自粛ムードも広がり、沢山のコンサートや催しが中止になっていく中で、自分も公演を中止すべきかどうか、頭を抱えていた。
今までの集大成となる作品を作っていたので、尚のこと公演は開催したかったが、感染確率を増やしてしまうような事は避けなければならない。
自粛ムードの広がりもあってか、チケットの動きも相当悪かった。だが、理想を叶えるなら、公演は全席招待にしたい気持ちが以前からあった。沢山の人に助けられて今がある自分だからそのお礼と、おもてなしの場として最高の舞台を用意して、楽しんで頂きたいという思いがずっとあったからだ。
通常の公演では継続していけるように利益を考えるのは当たり前で、お客様も自分のチケットを購入して観に来る。当たり前に行われていることだが、発信する側も、受信するお客様も互いにTakeをしている。
これを自分は好まなかった。
その頃、スーパーではトイレットペーパーやマスクが消え、人々の買占めが問題になっていた。不安からくる人間のTake衝動が目についた。
ますますGiveの重要性を感じ、舞台は全員招待、ギフトしよう。その舞台も機会も自分も与えてもらっている。互いにGive&Giveで継続も出来るようにどうすればいいのか???を考えるようになった。
考えているうちに何年か前にメモしておいたパーマカルチャーやギフトエコノミーを思い出した。
この閃きによって、悩んだ数ヶ月間の疲れが一気に抜け、足枷が外れた気がした。
そして、この数年間でパーマカルチャーやギフトエコノミーの先駆者であるサティッシュや海くんともイギリスで出会えていたことにも不思議な何かを感じて、点と点が線で繋がった気がした。この今までの付箋を回収出来るかどうかはこれから。ビジョンが見えたらピーク!そこからはひたすら形に変える為の作業が続くが、かなりワクワクする。僕はこれをForYou❤️projectと名付けて、studio ku~空~から実践することにした。
同時に公演は中止にすることを決断した。もっと深刻な状況になりうるだろうと思えたからだ。4月になり案の定、劇場は休業要請により閉館した。
コロナは社会を止めた、社会ベースで考える自然環境ではなく、自然環境をベースに社会を考えるのが本来の在り方だ。社会が止まったことでCo2の排出量は減り、川も綺麗になってきたようだ。イタリアベネチアではイルカが泳ぐ姿が発見されている。ほんの数ヶ月、人間が我慢を覚え社会を止めるだけで、自然は凄い勢いで回復して行く。
いずれコロナウイルスにより止まった世界も動き出すだろう。その時は自然と共生出来る謙虚な社会でありたい。新しい時代が始まる、その為に準備をしておこう。
『Giftivism』
ギフトエコノミー・ギフトエコロジー