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ダンス評.com

プレルジョカージュ振付『ル・パルク』ローマ歌劇場(映像)

2020.04.22 15:22

アンジュラン・プレルジョカージュが1994年にパリ・オペラ座に振り付けた作品『ル・パルク』(意味はフランス語で「(その)公園」)を、ローマ歌劇場(ローマ・オペラ座)のダンサーたちが踊った舞台公演を、オンラインで無料配信されていた映像で鑑賞。

曲はモーツァルトで、上演時にはオーケストラの生演奏だったようだ。

約1時間40分。

カメラは固定で、たまに少しだけズームインするが、だいたいは舞台全体を収めた構図。そのへんは多少物足りないが、オーケストラピットの指揮者も下に少しだけ見えるので、ダンサーとタイミングを合わせる呼吸とかが感じられてよかった。

公園の朝から夜までの移り変わりを背景に、男女の愛の変遷が描かれている、と読み取れる。

背景のスクリーンに空の様子が映し出されているが、それ以外は、シーンによっては椅子なども使うが、比較的、簡素な舞台セット。

宇宙人のようなスパイのような黒ずくめの男たちが登場し、地球に偵察に来た宇宙人のように、秘密のコードを使って交信しているみたいな動きをする。

場面が変わって、18世紀ロココのヴァトーの絵画のような、古風な衣装を身に付けた男女の群舞。男性と女性がいるが、女性も男性の服装をしている。宮廷作法のようなカクカクした動きをするが、先ほどの異星人っぽい人たちと似ているようでもある。

集団が数人ずつまとまってバラバラに動いているように見えて、振りを覚えるのが大変そう?でも、反復の動きが多いようだが。

どことなくユーモラス。ささやくジェスチャーをしたり、女性が男性をたたいて追い払ったり。悪ふざけっぽい官能。

スパイのような黒ずくめの男たちは何度か登場する。

ロココ風(?)のドレスの女性たちが、笑い声を立て、一人ずつ、気絶する(または眠りに落ちる?)動きをするたびに、その周りをほかの女性たちが取り囲む。

先ほど男装していた女性たちと思われるダンサーたちが、今度はニンフのような薄手の衣装で、眠りから目覚めるかのような動きをする。男性たちと戯れる。

女性と男性の場面では、女性が男性に頭突きを繰り返しくらわせたりする。

夢遊病のように、目を閉じて、まどろみながら倒れそうになる女性を、黒ずくめの男たちが代わる代わる支え、抱きかかえる。

最後、ハイライトは男女のデュオ。女性はドレスを2枚剥ぎ取られ、寝間着のような姿に。男性も寝間着っぽい服。互いの体か顔に手を這わせる、かなり官能的な振付だ。

この男女の踊りで、キスをしたまま男性が女性の腰を抱きかかえて持ち上げ、女性をぶんぶん振り回す振付は、エールフランス航空のCM(プロモーション動画)にも使われている。空を飛ぶようなイメージで。

全体的に、ロボットのような動きもあるが、滑らかなところなバレエ的でもあり、美しいと言える。ただ、女性に対する扱い、描き方は、男性的な視点が濃厚で、見ていて心地よくはないかもしれない。意図的に見る者をざわざわさせる振付や演出をしているのだろう。


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Le Parc


Balletto in tre atti di Angelin Preljocaj

Musica di Wolfgang Amadeus Mozart


Teatro Costanzi

maggio 2016


Direttore David Garforth

Coreografia Angelin Preljocaj

ripresa da Noémie Perlov e Laurent Hilaire

Scene Thierry Leproust

Costumi Hervé Pierre

Luci Jacques Chatelet

Intepreti: Eleonora Abbagnato e Stéphane Bullion

Orchestra, Solisti e Corpo di Ballo del Teatro dell’Opera


Allestimento del Teatro alla Scala di Milano