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東京自由大学

2020.04.23 05:28

http://moon21.music.coocan.jp/shinsletter50.html 【東京自由大学】 より

一条真也ことShinさんへ

 「志~友愛、吾迎夢!」 Shinさん、次々を本を出して、次はついに「フリーメーソン」本ですかあ? しかも、みずからフリーメーソン思想の本質への共感も語る。

 いいじゃないですか、その心意気。フリーメーソンであろうが、なかろうが、世界平和と人類の幸福、万物の平安、生命多様の世界が到来するならば大歓迎です。何を隠そう、われらがNPO法人東京自由大学も「友愛大学」なのですよ。

 今から11年前の1998年11月25日に、わたしは次のような「東京自由大学設立趣旨」文を書きました。

 <21世紀の最大の課題は、いかにして一人一人の個人が深く豊かな知性と感性と愛をもつ心身を自己形成していくかにある。教育がその機能を果たすべきであるが、さまざまな縛りと問題と限界を抱えている既存の学校教育の中ではその課題達成はきわめて困難である。

 そこで私たちは、私たち自身を、みずから自由で豊かで深い知性と感性と愛をもつ心身に自己形成してゆくための機会を創りたいと思う。まったく任意の、自由な探求と創造の喜びに満ちた「自由大学」をその機会と場として提供したいと思う。

 私たちは、特定の宗教に立脚するものではないが、しかし、宗教本来の精神と役割は大変重要であると考えている。それは、それぞれの歴史的伝統と探求と経験から汲み上げてきた叡知にもとづいて、人間相互の友愛と幸福と世界平和の希求と現実に寄与するものと考えられるからである。私たちはそれぞれの宗教・宗派を超えた、「超宗教」の立場で宗教的伝統とその使命を大切にしたいと願う。そして、人格の根幹をなす霊性の探求と、どこまでも真なるものを究めずにはいない知性と、繊細さや微妙さを鋭く感知する想像力や感性とのより高次な総合とバランスを実現したいと願う。

 そのためにも、何よりも自由な探求と表現の場が必要である。自由な探求と表現にもとづく交流の場が必要である。

 そして、その探求と表現と交流を支えていくための友愛が必要である。探求する者同士の友愛の共同体が必要である。私たちが生活を営んでいるこの大都市・東京のただ中に、魂のオアシスとしての友愛の共同体が必要なのである。

 かくして私たちは、この時代を生きる自由な魂の純粋な欲求として「東京自由大学」の設立をここに発願するものである。

 「東京自由大学」では、「教育とは本質的に自己教育であり、自己教育は存在への畏怖・畏敬から始まる。教師とは、経験を積んだ自己教育者であり、それぞれを深い自己教育に導いてくれる先達である」という認識から出発する。そして、(1) ゼロから始まる、いつもゼロに立ち返る、(2) 創造の根源に立ち向かう、(3) 系統立った方法論に依拠しない、いつも臨機応変の方法論なき方法で立ち向かう、をモットーに、勇気をもって前進していきたい。組織形態、運動体としてはNPO(非営利組織)法下のボランタリー・スクール法人として運営および活動をしていきたいと準備している。また地震など、災害・事件時のボランティア的な互助組織として機能できるように行動したい。自由・友愛・信頼・連帯・互助を旗印に進んでいきたい。

 みなさんのご参加を心待ちにしています。 1998年11月25日  鎌田東二>

 というものです。どうですか? この「友愛」精神は。また、2008年12月31日に書いた「東京自由大学設立の経緯」には、次のような文章もあります。長い文章なので、「友愛」該当箇所だけを抜き出します。

 <こうして、東京自由大学は、それぞれが一隻の船に乗って、知と天然の大海に航海していくような、塾でもあり、大学でもあり、結社でもあるような、冒険的な移動漂流教室を共に創造していくこと をめざしている。そしてその探究がこの時代の志を同じくする人たちとの友愛の共同体を力強くかたちづくっていくことをこころから願っている。

 友愛を共同化していくためには、世代間の連携が必須になる。幸い、発起人十名のうち、70歳台が横尾龍彦学長を始め二人、60歳台が一人、50歳台が五人、40歳台が一人、30歳台が一人、と世代的ばらつきがあり、特に事務運営の中心をなす事務局長に30歳台の若く活動 的な平方成治氏に就任してもらい、さらに若い世代への橋渡しとなってもらった。まさしく老若男女の共同作業がこれから始まるのである。ぜひ多くの方々に会員となって、あるいはボランテイア・スタッフとして参加していただきたい。そして、自分自身と自分の属する社会を自分たちの手で成熟進化させていきたい。

 最後に、この東京自由大学は、かりに地震や災害やさまざまな事件など起こったときに、お互いに見も知らない者同士でも助け合い、 支えあっていくことのできるような互助組織でありたいと思う。ひとがあらゆる垣根を取り払って互いに助け合い、支えあっていけることを阪神淡路大震災はわたしたちに教えてくれた。わたし自身は、この時代にそれぞれ一人一人が内なる観音力を発揮することができた ならば、人間も社会もおおいなる成熟と進化をとげることができると信じている。共にわれらが心中に宿る観音力を行じようではないか。

 東京自由大学は、わたしたちの夢を現実に実現していく共同の作業場なのである。

1998年12月31日  鎌田東二>

と、ね。Shinさんとわたしは、やはり「義兄弟」になるだけあって、古くからの「友愛党」党員、というわけですねえ。

 それから、先月、わたしは『神と仏の出逢う国』(角川選書、角川学芸出版)という本を出しましたが、その最後の章に、11年前(1998年)に書いた自分の新聞記事を載せました。

  <沖縄の音楽家・喜納昌吉氏から「阪神大震災や酒鬼薔薇聖斗事件の起きた神戸で、祈りを中心に置いた祭りをしよう」という呼びかけがあった時、この祈りの催しに全身全霊を打ち込もうと思ったのは、世の乱れを根本的に鎮めるためには祈りと瞑想と芸術的創造が不可欠だと思っていたからでもあるが、私にとってこれは私たち全員の大掛かりな先祖供養になり、それがこの時代の真の平和を築いていく第一歩になると思ったからである。  1998年8月8日、神戸のメリケン・パークで「神戸からの祈り──満月祭コンサート」を行い、平成10(1998)年10月10日、鎌倉の大仏様の前で「神戸からの祈り──東京おひらき祭コンサート」を行う。神戸は平清盛が福原京を置いた港であり、鎌倉は源義朝やその子頼朝が住み、幕府を構えた港である。奇しくも二つの因縁の地で祈りと芸術的創造の集いを持つことは、現代において源平の大和合をはかる試みであるとも言えよう。  私たちは真の平和と新しい時代の友愛の共同体を必要としている。その世界平和と友愛の共同体を築くために大勢の方々の祈りと協力を必要としている。どうか未来の子供たちのためにも力をお貸しください。>(「神戸からの祈り──大中世の世直しを」世界救世教発行の新聞「光明」1998年8月号)

 <そのような、「友愛の共同体」づくりの呼びかけをし、またそれをもとに本を出したり、その後も「虹の祭り」「月山炎のまつり」「ワールドピース&プレイヤーデー(WPPD)」などいろいろな試みをやってきたが、世の中は願っている方向ではなく、その反対の方向へ大きく動いていると思わざるを得ない。  この政治経済的に動いている流れと、自分たちの精神世界の中で動いている流れとは、必ずしも一致しているわけではないが、希望を捨てているわけではない。自分たちの心や内面にある価値観や考え方にどのように響いていくことができるかという課題を今もまだまだ背負っている。>

などと、ね。まあ、どうですかねえ? 筋金入りの「友愛」党員でしょう? この「友愛主義者」のわたしを、「フリーメーソン」というなら、どうぞお好きに、という心境ですわ。わたしは、モーツアルトの「フリーメーソンのためのレクイエム」がとりわけ大好きで、これは現代音楽の先駆だと思っているくらいですからね。「フリーメーソン」、結構じゃないですか。どっぷり組んで、万類共存と平和を作り上げましょうよ。

 ともかく、問題は、その「友愛」ですが、わたしの「友愛」観は、ルドルフ・シュターナーに淵源します。シュタイナーは、法の下での平等、経済の下での友愛、精神の下での自由、これが人間生活・社会生活にはなくてはならない条件だと考えていたのです。そのシュタイナーの考えにわたしも根本的に賛成なのです。

 さらに、本日、2009年10月5日付けの毎日新聞朝刊の「新聞時評」のコラム記事を書いたのですが、記事の前半は干上がったアラル海の環境破壊の問題、そして後半は次のような「友愛」論を書いたのです。

 < 翌16日の夕刊に、「鳩山首相誕生」の記事が載った。1週間後の23日には、国連気候変動サミットの開幕式で、鳩山首相が2020年までに1990年比25%の温室効果ガス削減の中期目標を「国際公約」として表明した記事が載った。首相は「鳩山イニシアチブ」として日本の主導的役割をアピールし、一定の国際的評価も得た。だが仮に、この「国際公約」が11年後に実現したとしても、アラル海が元に戻ることはないだろう。

 同日の「記者の目」に、「鳩山『理系』政権に期待」「科学思考 生かせ」「硬直した役割分担社会 変えよう」と、「東京大工学部で応用数学を学び、博士号も持つ初の『理系』首相」が登場したことと「政権の中枢を理系が占めた」ことに期待が寄せられている。

 確かに「科学思考」は重要だ。だがそれ以上に、鳩山首相の「科学思考」とは言いがたい「友愛志向」に興味と期待を抱く。「友愛精神にのっとった国際関係」や「東アジア共同体構想」の推進を大きな期待を持って見守りたい。そして鳩山首相が、一見政治の場に不釣合いに見える「アイスクリーム」(中曽根元首相の評言)のような、「詩」のような、脱科学的・超文系的政治言語を発信する能力に注目したい。政治空間に詩を、そして、詩の空間に科学を導入することによる相互乗り入れや越境こそが必要だ。

 「科学」と「友愛」を切り結んだ先達は宮沢賢治であろう。そして、賢治は科学と芸術と宗教(スピリチュアル)をも結びつけた。21世紀をしなやかにかつしたたかに生きぬくためには、明晰な論理と高い志と自由な想像力と表現力と行動力が必要なのである。>

 ここに書いたように、わたしにとって、もう一人の「友愛先達」は宮沢賢治なのですね。賢治こそ、「詩=志」と「科学」と「宗教(スピリチュアリティ)」と「友愛」とを結びつけた21世紀の先駆者でした。こうして、NPO法人東京自由大学は、わたしの中では、シュタイナーと宮沢賢治と出口王仁三郎が先達モデルでしたから、彼らの「友愛精神」はわたしの中にも脈々と脈打っているのですよ。

 そういうわけで、Shinさんのお父上の佐久間進氏もShinさんもわたしも、みな「友愛党員」でござります。それこそが、「こころの未来」と社会を切り開く心の力だと思っております。

 それはともかく、琵琶湖の100倍もあるアラル海が干上がっている写真の衝撃は物凄いものがありました。9月15日付け毎日新聞夕刊1面トップに、「20世紀最大の環境破壊 干上がるアラル海」という記事が3枚のカラー写真入りで大きく掲載されたのです。記事によると、9年間でアラル海は最大時の2割以下になったそうです。世界第4位の面積を持つアラル海が消滅寸前なのです。

 干上がっていった原因は、60年代にソ連が綿花栽培のために流入河川から大量取水したことと、大アラル海と小アラル海の間にダムを建設したことのようですが、実はわたしは、1990年の8月1日に、アラル海近くのバイコヌール宇宙基地でソユーズ10号の打ち上げを見ていたのです。そしてその日の昼食だったか、夕食だったかに、確かアラル海で獲れた魚を食べたと記憶しています。

 わたしは、21世に人類が滅びずに生き延びることができるとしたら、環境破壊がバネとなって、21世紀を生き抜く深い「生態智」と「友愛」を生み出し実行することができるかどうかにかかっていると思っています。21世紀に最も必要な知性は、「生態智」(生態系の仕組みを精密・繊細に捉えつつ、それに即応して生きていく科学や伝承文化を総合した知恵とワザ)でしょう。

 そんな「生態智」に少しでも近づくために、わたしは1週間に1度、比叡山に上り下りしているのです。そこで、イノシシやサルやシカに出会い、鳥の鳴き声を聞き、谷川のせせらぎや、梢の葉擦れの音を聴く中で、少しずつでも「生態智」が目覚めてくるはずだと確信しつつ、歩いています。比叡山の千日回峰行者は、「生態智」の体現者であるはずだとわたしは確信しています。

 そのような「生態智」を探る試みとして、Shinさんも加わってもらって、「ワザ学」の研究をしていますが、先日、10月1日に東邦大学医学部統合生理学教室の有田秀穂教授の研究室でわたしの「ワザ」の測定実験をしたのです。実験内容は、脳波・脳内血流・セロトニン測定実験・心理テスト、などでした。

実験日:2009年10月1日(木)15時30分~20時

実験場所:東邦大学医学部統合生理学教室・有田秀穂教授研究室(東京都大田区大森西5-21-16)

実験内容:①脳波測定、②脳内血流測定(10部位)、③セロトニン等血液検査(3回、実験直前、実験直後、実験終了30分後)、④心理テスト2回

実験中の被験者の行動:①祝詞奏上、②般若心経読経・各種真言、③楽器演奏(鈴、勾玉、石笛、龍笛、横笛、法螺貝、ハーモニカ)

 有田教授は、1948年生まれの研究医で、東京大学医学部を卒業後、東海大学病院にて呼吸の臨床にたずさわり、筑波大学基礎医学系にて呼吸関係の研究を行いました。その間に、ニューヨーク州立大学医学部に留学し、そうした経験から「呼吸法が心身に与える効能は、脳内セロトニン神経の働きで説明可能である」という着想を得、研究チームを作り検証作業を推進したといいます。座禅に伴う呼吸法を生理学的観点から研究して、座禅によって、セロトニンと呼ばれる脳内神経伝達物質のホルモン分泌が活性化され、強化されることを実証し、それを生活の中に活かすための実践活動として、セロトニン道場やNPO国際セロトニントレーニング協会の代表を務める方です。

 著作に、『セロトニン欠乏脳』(NHK生活人新書)、『禅と脳』(玄侑宗久氏との共著、大和書房)、『呼吸の事典』(朝倉書店)、『呼吸を変えれば「うつ」はよくなる!』(PHP研究所)、『ウォーキングセラピー』(かんき出版)、『脳からストレスを消す技術』(サンマーク出版)、『朝の5分間脳セロトニン・トレーニング』(かんき出版)、『脳内物質のシステム神経生理学:精神精気のニューロサイエンス』(中外医学社)、『瞑想脳をつくる』(井上ウィマラ氏との共著、佼成出版社)など多数あります。

 モノ学・感覚価値研究会やワザ学研究会のメンバーである井上ウィマラ高野山大学准教授(スピリチュアル・ケア学)も有田教授と『瞑想脳をつくる』という、とても面白い本を出しています。一度ぜひお読みください。

 有田氏のセロトニン研究と仮説とエビデンスは以下のようなものです。

①ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンが「心の三原色」である。

②ドーパミンは、快楽ややる気を引き起こす神経伝達物質である。

③ノルアドレナリンはストレスに反応する、いわば危険感知物質で、過剰分泌されるとパニック障害やうつを引き起こす。

④セロトニンは、快楽=ドーパミンでもなく、ストレス=ノルアドレナリンでもなく、むしろこの両者を抑制させる第三の神経伝達物質である。それは、精神安定剤のような脳内神経伝達物質で、心のバランスと安定には欠かせないはたらきをする。

⑤歩行と咀嚼と丹田呼吸(腹式呼吸)など、リズム性運動がセロトニン活性に有効。

 有田氏はこれらを脳内生理学メカニズムとして実証し、それを実践しています。

 その有田教授の実験協力を得て、「ワザ学」研究の一事例として、わたし自身の「ワザ」を実験測定することにしたのです。有田教授が客観的なデータを解析して、わたしが自分の「内感」(実施行為者の内的感覚)を付き合わせて、その「ワザ」の内実と力と効能を捉え、反省し直してみたいのです。

 わたしは、「エビデンス・ベイスド・メディソン」(科学的証拠に基づく医学)と、「ナラティブ・ベイスド・メディスン」や「エクルペリアンス・ベイスド・メディソン」(伝承や経験に基づく医療や知識)を橋渡ししたいのです。それが、わたしにできる「友愛」の実践の一つなのです。

 Shinさんは、経営や本の出版によって、ぜひその溢れ出るハートフル「友愛」を発揮して「世直し」を進めてください。わたしも負けずに「友愛神道ソングライター」として活動しますゆえ。それでは、次の満月まで。ごきげんよう。

2009年10月5日 鎌田東二拝