【パンプアップ・成長ホルモンの作用】
パンプアップとは
パンプアップとは、トレーニング等によって筋肉が膨らんだ状態を指した言葉です。
トレーニング等で、筋肉に負荷を与え続けた場合に、その筋肉中の血液やリンパ液が周囲から集まり増加することによって膨らむ現象です。
一時的な現象のため時間が経てば元に戻りますが、パンプアップを起こすことで筋肥大(筋肉が恒常的に太くなること)につながる効果があるといわれています。
パンプアップの持続時間は、約10~15分
理由としては、流れ込んできた血液(血漿)によって、疲労物質が筋肉の外に排出される時間が10~15分だからです。排出された疲労物質(老廃物)は、エネルギーとして代謝されます。
パンプ・アップのメカニズム
パンプ・アップはどのようにして起こるのでしょうか。簡単にメカニズムについてお話します。
①筋肉トレーニングなどによって筋肉が活動するとエネルギーを使います。
②乳酸やアデノシンや二酸化炭素などの代謝産物が生成されます。同時に筋肉は酸素と栄養素を供給するために血液を必要とし、消費したエネルギーを血液から補給しようとします。そして消費した筋肉に血液を集めようと動きだします。
③疲労物質(老廃物:乳酸やアデノシンや二酸化炭素)を除去する必要があります。トレーニングによって産物された疲労物質は血液に溶け除去されます。大量に生成された疲労物質を除去するのには多量の血液(血漿)が必要になります。
④動脈を拡張させ、筋肉内部へ血液が通りやすくなり過大な血液が一時的に流れます。
⑤そのため筋肉が一時的に太くなります。
パンプアップのメリット
● 正しいフォームが確認できる
→パンプアップにより、本当に狙った筋肉がトレーニングされたか分かる。
● モチベーションがあがる
→一時的にパンプアップによって筋肉肥大をするため、鍛えることでこうなる!という理想が目に見えてわかる。
● 筋肥大を促進する
→成長ホルモン分泌を促進させるため骨、筋肉の成長や代謝を促進させる。
パンプアップと成長ホルモンの関係
成長ホルモンは、筋肉や骨などの成長を促進する働きがあるため筋肥大には欠かせない物質です。パンプアップをするとことで成長ホルモンが多く分泌されます。
筋肉内に「乳酸」が蓄積されるようなトレーニングは、筋肉を成長させる因子を持ち、脂肪を分解する作用がある「成長ホルモン」の分泌を促します。
成長ホルモンは、呼び名の通り成長を強く促すホルモンで、さらに「インスリン様成長因子」という成長ホルモンと結びつく因子の分泌を促します。
パンプ・アップ→「乳酸」→「成長ホルモン」→「インスリン様成長因子」
このような流れで筋肥大が引き起こされると考えられています。
よって、パンプ・アップを引き起こすようなトレーニングは筋肥大の効果を高めます。
その他成長ホルモンの分泌による効果
〇骨の成長を促す
〇筋肉の成長を促す
〇代謝を良くする
成長ホルモンの分泌が少ないと
●骨が弱くなる
●皮膚が弱くなる
●筋肉量が減ってしまう
●肥満になってしまう
●糖尿病になりやすくなってしまう
パンプアップに効果的なトレーニングとは
パンプ・アップするには、乳酸やアデノシンなどの疲労物質を筋肉内に溜め込まなければなりません。
そのためには筋内にできるだけ血液を流入させない状態を作るようなトレーニングが効果的です。
スロートレーニングやチューブトレーニングのような、その動きの中で筋肉が弛緩しにくく筋内圧が高まったまま力が抜けないトレーニングは最適です。
特に、ゴムチューブやチェーントレーニングのようなレップ(反復回数 1セット10レップ、20レップと使う)の後半になるにしたがって負荷が増加する「終動負荷」のトレーニングは「増張力性収縮(auxotonic contraction)」といい、パンプ・アップ引き起こすにはうっててつけです。
増張力性収縮では、筋肉が血液をしぼり出すようにはたらくため、強くパンプ・アップします。
パンプアップトレーニングの注意点
「動き作り」を目的としたトレーニングにはパンプ・アップは不向きですので注意が必要になります。
パンプアップトレーニングにより俊敏性を低下させてしまうことが研究報告でもわかっていて、アスリートにとっての「いい動き」という点で悪影響を及ぼしてしまいます。
見栄えのいい筋肉づくりには、パンプアップは大変有効ですので積極的に取り入れて行ってください。
ただし筋肥大させる為にはパンプアップをさせただけでは不十分です。
正直なところ
「パンプアップ=筋肥大」
とまでは言えません。
パンプアップは、筋肉を刺激すればするほど起きる現象で成長ホルモンの作用によって筋肥大が起きやすい状態を作ることです。
あくまで筋肥大は筋肉の損傷がきっかけに始まります。パンプアップした部位がトレーニングによって、効いていることは間違いないため、しっかりと筋肥大を実現したいのならば、筋肉へ高負荷の刺激を入れることが大切になります。
ここまで「パンプ・アップ」についてお話させていただきましたが、パンプ・アップという性質をしっかりと把握してみなさんのトレーニングに取り入れてみてください。
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