6匹のカエルと独り
明日(4/26 日8:10〜)NHK FM「現代の音楽」にて山澤慧チェロリサイタルの後編です!
後半1曲目は茂木宏文くんの新作です。
彼と初めて会ったのは2017年の芥川作曲賞本選会、僕はその時新日本フィルのゲスト首席として演奏していました。
彼と最初にした会話(?)は「あのソロの場所、荒めに弾いても大丈夫?」だったと思います。(ちなみに荒めに弾いて大丈夫とのことでした)
この時の彼のオーケストラ作品「不思議な言葉でお話しましょ!」は軽めのタイトルに関わらず(演奏後の公開選考会でもツッコマれてましたが)、音の緊張感がずっと持続する、強い印象を持つ曲でした。
彼はこの作品で芥川作曲賞(現芥川也寸志サントリー作曲賞)を受賞しました。
その結果2年後、僕は彼のチェロ協奏曲をサントリーホールで弾く、という素晴らしい機会をいただきました。(URLは「雲の記憶」チェロとオーケストラのための より冒頭部分)
彼のyoutubeチャンネルはこちら
彼の作風は緊張感を伴ったシリアスな曲想が特徴だな、、という感じたことから、d mollで書かれたバッハの2番の前に置くことにしました。
・・のですが出来上がった作品は想像とは違ってリズミカル、ちょっとコミカルな楽しい感じの曲でした 笑
独奏チェロのための〈6匹のカエルと独り〉
この作品には明確な物語や詩情的なテーマはありませんが、以下の様な音楽的コンセプトで構成されています。
最初に考えたことは、ありとあらゆる作品を研究、実演されている演奏者の山澤さんに何を提示出来るのか。そこから、まずは多種多様な奏法と可能性をピッチカートと、“Frog Voice”と名付けた特異な音色に限定してみました。また、後に続く作品を少し匂わせた、スケルツォ的な風貌を持ったものにしたいと考えました。1人の奏者がどうのように、リズムとそのグルーブ感を見え隠れする“バッハ”の音形と共存出来るのか。ジャズやフュージョンのそれとは異なる形で色々と試行錯誤してみました。
昨年のコンチェルトに引き続き山澤さんに演奏して頂ける機会が重なり、氏の活動にとても刺激を受けてきました。是非今後も新作と、その再演に関わる活動が続き、その流れが広まることを願っています。
楽譜の下の段はFrog Voice、カエルの声のようなゲコゲコしたノイズ音で演奏します。
僕の方で色々試したのですが、洗濯バサミ(木製)をC線に挟み、左手やアゴでミュートしながら演奏する、ということでノイズ音を出しています。
音高も書かれているのですが、なかなかこれが思うように出せず、、今後の課題です
ちなみに上の画像のように人差し指を伸ばして強い圧力をかけます
上の段は基本的にはピッツィカート(弦をはじく)、ですがほとんどの場所では同時に弓で弾いているので左手ピッツィカート、左指で強く叩く、などの奏法で音程を出しています。
右手と左手で違うリズムを演奏することになるのですが、小さい頃から右手と左手が連動するように練習してきたので、これに逆らうというのは難しいのです
明日朝の放送までに平川作品、坂東作品についても書かなくては!!