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Imagine。

2020.04.26 21:00

近ごろ家にいる時間が長くなり、時間に余裕ができたため、料理や掃除、洗濯がいつもよりも丁寧になった気がします。家事の合間のお茶の時間も楽しみになりました。朝は番茶、お昼はコーヒー、夜は紅茶など、色々変えて楽しんでいます。もちろん1日1回はくだものや焼き菓子などを添えます。時間にゆとりがあるのでお茶やコーヒーを丁寧に淹れられることも嬉しいです。日々どれだけ時間に追われて忙しくしていたかと今までの生活を振り返ってしまいます。

新潟市内でもテイクアウトを始めた飲食店が増え始めました。家庭料理も良いですが、まだ不要不急の外出を控えてから数週間しか経っていないのに、友人とたわいもない話をしなが美味しい料理やお酒をいただく飲食店での外食が恋しいです。私たちの楽しみというのは、安全な環境の上で成り立っているのだと痛感しています。

みなさん、BLUE BIRD(vol.01&02)に掲載の「わたしのSmile Food。」はもうご覧いただけましたでしょうか。

フリーペーパー”BLUE BIRD”の常設企画に「わたしのSmile Food。」があります。この企画は私の好きな、鈴木るみこさん編集の「Smile Food 」の新潟版がやりたいとの思いから企画しました。本家本元の「Smile Food」は”おいしくてニッコリの個人的ごちそうファイル”と題して、今なお現役で活躍されている著名な方々が登場し、各々のスマイルフードを紹介しています。2000年に発行された本なので、20年も経っていることに驚きです。「わたしのSmile Food。」は本家本元の「Smile Food」とは少し違い、新潟独自のものになったと思います。それはそれで面白いと思っています。本家本元の「Smile Food」が面白いと思うのは、各自が無難な言葉ではなく、本音で自分の言葉で語っている点です。現在は本音で自分の言葉で語っている本は少なくなったように感じます。本音で自分の言葉で語っている本が作れるというのは、ユーモアのある作り手とそれを受け入れる読者がいたからだと思います。新潟版もできるだけそうありたいと思っています。

先月、北書店へ行った時に先にあげた鈴木るみこさんの著書「山口さんの椅子 / 記憶」を買いました。オオヤコーヒ焙煎所出版局が発行の本。オオヤコーヒ焙煎所が本を発行しているとは知りませんでした。”記憶”はるみこさんの椅子にまつわるフランスの思い出について書かれています。冒頭に『フランスで暮らすようになったら、まずは古い椅子を一脚買おうと、ずっと思っていた。(中略)すぐにパリに向かわなかったのは、当時傾倒していたエリック・ロメールの映画に出てくるような海辺の空気に憧れてであった。』とあります。前回の今日のハニー(春のS&B)で私もエリック・ロメールの映画について触れました。ロメール作品は毎回悩み多き愛しい女性たちが登場します。”記憶”を読んでいて、るみこさんもまた何処と無くロメール作品に登場する悩み多き愛しい女性たちのようだと思ってしまいました。

ロメール作品を見る時、光に目がいってしまいます。柔らかな窓越しの日光や木漏れ日…。ロメール作品には「緑の光線」というタイトルの映画もあります。私がロメール作品を好きな理由は、光も関係しているかもしれません。BOOKS f3で買った、かくたみほさんの写真集「光の粒子」は、私たちが普段目に見えない光の色を捉えているように感じます。志村ふくみさんの著書「一色一生」より『本当のものは、みえるものの奥にあって、物や形にとどめておくことの出来ない領域のもの、海や空の青さもまたそういう聖域のものなのでしょう。』とあります。私たちは目に見えないものを通して色を認識している。だからでしょうか、写真を見ていると、柔らかな日の光に包まれた静かな風景写真から、風のそよぐ音や湖のさざなみの音、川のせせらぎの音や草木の擦れる音、干しているシーツが優しくはためく音など、聞こえるはずのない音が聞こえてくるような気がします。まるで、いるはずもないフィンランドにいるかのような気さえしてくるのです。

「世界のキッチンから」は、KIRINの清涼飲料水”ソルティライチ”でおなじみ「世界のKitchenから」の商品開発のために約12年間の取材で撮りためた記録の写真集です。世界各地の、家庭のキッチンで、家族のために作られるような、日々の生活から生まれる知恵を取り入れた商品開発のために、訪れた都市の数は約20、キッチンの数は約100にものぼったと言います。撮影を担ったのは写真家の高橋ヨーコさん。現在どこの国でもみんな同じようなシステムキッチンになっているグローバルスタンダードな時代に、その国らしいキッチンであり、暮らしている人が美味しいものが好きそうな口福顔であること、さらに、失われつつある伝統や知恵が残っていたり、残そうとしているところを見つける苦労もあったそうです。商品開発のための記録写真が、何年か後には民俗学の記録写真になっているかもしれないですね。それはそうと、この写真集は本当に美味しそうな風景、美味しそうなキッチン、美味しそうな料理やドリンク、美味しいものが好きそうな口福顔の人ばかりが登場します。いつの間にか口福顔で食の旅をしている気分になってしまいます。

ちなみに以前、今日のハニー(わたしの伯母さん by 伊丹十三子)で話に上がったスタイリストの岡尾美代子さんの著書「センスのABC」は萬松堂で買いました。岡尾美代子さんは本家本元の「Smile Food」にも登場しているんですよ。

小説や随筆を読んだり写真集を眺めたりしていると、想像力が増してきます。新型コロナウイルスは私たちに今の世の中、何が大切かもっとよく考えなさいと警告しているかのように思えてきます。今までの暮らしを振り返り、今後大切にしていきたいことが見えてきました。新型コロナウイルスが鎮静し、普通の日常に戻ったとしても、今後は更にネット社会が加速していくのだと思います。そうなった時に街の商店はどうなっていくのかなと考えてしまいます。今、フリーペーパーの情報収拾を休止しています。活動を再開する時には、少し違った意識を持ってのぞんでいることでしょう。

みなさんは、読書をしていますか?


※ 北書店・BOOKS f3・萬松堂はcontents「NO BOOKSTORE , NO NIIGATA LIFE」で紹介しています。