【1日限定ショップ】「NO.S PROJECTへの挑戦状」挑戦中!~装飾・仕上げ編~
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ドレスのベースを設計通りに縫い上げて頂きました。ここから仕上げに入ります。
フリルの具合、ボリューム、素材感は予定していた通りに進みました。
スカートはボリュームが大きすぎてパニエが足りないぐらいの生地量です。
パタンナー、裁断士、縫製士のベテラン3人の仕事を潰さないように仕上げていきます。
縫製中から仕上げに必要な処理指定は入っているので、この文章の時系列は前後しています。
≪ スカート下側編 ≫
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ドールはサイズが小さいため、処理に気を使います。
普通フリルの裾はメローロック(糸を巻き付ける機械処理)ですが、処理の幅に糸目が出るのでサイズが小さいドレスは繊細さを損なうのではないかと、当初はヒートカットを予定していました。
ただ、フリルの量が多かった事と、ヒートカットと生地の相性が悪く、ホツれを止めるまでヒートをかけると生地が焼けて固くなり、フリルがガクガクするという問題が出ます。
最終的にメローロックを最小でかけ、その上に極細のトーションレースをメローロックの上にかけレースの模様を裾から見える状態で取り付ける事にしました。
この裾のレース縫い付けの縫い幅の猶予は約1mm、すこしでもズレるとレースが落ちてしまいます。
≪ スカート上側編 ≫
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スカート上部の白い部分のフリルにはパールが付いています。
デザイン画では感覚を開けてフリルの裾にパールが縫い付けられていますが
実際にこのように縫い付けるとラインが均等に見えないので荒い仕上がりに見えてしまいます。
かといってパールブレードを付けると張り過ぎて生地の柔らかさが損なわれ、フリルになりません。
最終的に5個づつ連ねた状態で連続して縫い付ける方法をとっています。
生地の柔らかさは消えますが、パールの重さでフリル波が止まっているので波打ちが損なわれません。
≪ 装飾の花 ≫
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この花は260個を塗装しました。
白いバラをシアン系ブルー3色でグラデーションに塗り、パールアフレアーを水性のグルーでといてザクザクと乗せてアンティーク調にしています。
最初はブルーがきつくなりすぎてドレスの淡いカラーが損なわれましたので
ホワイト→ブルーグラデーション→パールアフレアアー→クリアの順番で4カラー(青、青白、淡緑と青、ほぼ白)の花を塗っています。
雨が続いたので、乾燥が上手く行かず、土台と染料が解け合ってしまい駄目になってしまう花もあったので、予備も合わせると300個は作っています。大きさも大、中、小があります。
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この花達をテープ(フリルレースを解いてギャザーを寄せ直した物の上にコットンレースを縫ったもの)の上に並べ、接着剤でバランスを見ながら留めて行きます。大きな花から始まり、10cm感覚で中の白い花を配置、その間に小のブルーの花を並べます。葉の形のレースを花の間に入れ、大きさの違うパールで間を埋めて行きます。
このテープをドレスのフリルに縫い付ける事で、予めバランスを見ながら作れますし、接着剤を使用する生地の抵抗感が少なくなります。
≪ 薔薇をどのようなカタチで作るか ≫
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設計する段階で、巻バラを300個作る案がありましたが、ボツになっています。
巻バラはその他の素材や要素と組み合わせる事で「バラ」として認識されますが、少しでも単調になると「イソギンチャク」「カタツムリの集団」というイメージになりバラ感が失われます。
デザイン画の繊細なイメージよりも巻き薔薇の主張が強くなってしまうと判断し、巻き薔薇案は却下になりました。
今回はたくさんの薔薇をシャンペトルブーケのように束ねたかったので花弁がある事は絶対でした。
巻バラに花弁を付けたミニコサージュも作りましたが、サイズが大きくなるのでこちらの案も却下になりました。塗装バラが一番デザインには適していましたが、この薔薇は針が通らない為必ずどこかを接着する事になります。
≪ 襟元とトレーンで仕上げ ≫
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デザイン画の胸元はレースの柄が入っているので、レーヨンレースを重ねてパーツを縫い留めました。
胸元の薔薇はエナメル塗装して、よりイラストに近くした物を一個だけ作りました。胸元リボンの裾はドレープが出ていますが、レースは透けているのでやや印象が異なるものとなっています。
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バックスタイルの決め手となるトレーンリボンはリボン担当が制作しました。
トレーンの裾がVなのか∧なのか∪なのかで意見が割れ、最終的にリボンである事を優先したカーブになっています。
飾りを入れて、ピンで留められるようにします。ネックレスはワイヤーで制作し、おまけでベールを作って仕上げが完了です。
≪ トルソーボディ作成 ≫
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ドレスを着用するボディも一から制作しました。
このトルソーは結局3体も制作する事になり、一番出来の良い、サイズがぴったりのものを展示用に仕上げています。
磨いて塗装を行いましたが、このトルソーの仕上げ作業はドレスの3倍時間がかかっています。
【アクセサリースタンド】
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特別賞受賞プレゼントはそれぞれのデザインをバッグにしたものを1点ずつお作りさせて頂きました。
大賞受賞者の方へのプレゼントは何を作ろうか・・・様々なアイデアが上がりましたが「ドール衣装のドレスを着たアクセサリースタンド」に決まりました。
「服を着たアクセサリースタンド」は店長が3年前から提案していたアイデアでしたが、量産は難しく、1点モノならということで、受賞者様のデザインをそのまま小さくカタチにしたものをプレゼントさせて頂くことになりました。
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パタンナーがアクセサリースタンドドレス用にパターンとトワルを作成しています。
バラもドレスに使ったものと資材も同じでサイズだけ小さくなっています。
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アクセサリースタンドベースはドレストルソー制作の少し前に塗装が完了していました。
台座も可愛いデザインになっています。
≪ まとめ ≫
とても楽しく制作を行わせて頂きました。
設計は完成してからも「こうした方が良かっただろうか」と考える事が多いので展示会でご好評頂いたのを間近に見る事が出来て、企画〜展示を通して良い経験をさせて頂きました。
ベビーブルーの薔薇とブルーグレーのストライプは爽やかで可愛らしく、デザイン画の通り、清楚なイメージに仕上げることが出来たのではないかと思います。
制作の流れを各担当者が執筆を行う、NO.S PROJECTにとっても初めての試みとなりましたが、
実際の作業はどれもとても淡々と、各セクションがかなりのスピードで進行するので、こうして書く事で気付く新しい発見もありました。
楽しい機会を頂き、ご応募頂きました皆様に重ねて御礼申し上げます。
また私たちも「挑戦」出来ると嬉しいです。
挑戦状:『NO.S PROJECTへの挑戦状』大賞・特別賞発表!
前工程:「NO.S PROJECTへの挑戦状」挑戦中!~裁断・縫製編~
総集編:「NO.S PROJECTへの挑戦状」大賞・特別賞 受賞者プレゼント
■1DAY SHOP 展示風景
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■ドレスギャラリー
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■アクセサリースタンドギャラリー
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