オンライン読書会を開催しました
沖縄県が設けた「米軍基地問題に関する万国津梁会議」による「在沖米軍基地の整理・縮小についての提言」を読む会を、4月23日、30日の2回に分けてZoomによるオンラインで開催しました。
- 1章 辺野古新基地計画と普天間飛行場の危険性除去・運用停止について
- 2章 沖縄米軍基地の抜本的な整理縮小に向けて
- 3章 アジア太平洋地域の結節点(ハブ)としての沖縄へ
と通読し、社会運動の担い手である「本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会(FIRBO)」として、どのように向き合うことができるかについて議論しました。
結論として、第1章、第3章を踏まえつつ、特に第2章の提言である「近年の安全保障環境を踏まえて沖縄米軍基地の整理縮小に取り組むべきである」
のうちの③、
「沖縄県は、本土の都道府県、市町村と米軍基地や日米地位協定をめぐる問題について情報交換や連携をさらに強め、基地負担や日米地位協定が沖縄だけでなく、日本全体の問題であるという機運を高めていくべきである」
に会として全面的に賛同し、ここ福岡の地で機運を高めるべく活動を続けていくことを確かめ合いました。
【文献】
■在沖米軍基地の整理・縮小についての提言(沖縄県ホームページ PDF)
https://www.pref.okinawa.jp/site/chijiko/kichitai/documents/proposals2.pdf
(以下要約の抜粋)
■以下、門倉氏作成のはじめにと第一章のレジュメです。(2020/05/29追記)
『在沖米軍基地の整理・縮小についての提言』
【概要】、「はじめに」、第一章 辺野古新基地計画と普天間飛行場の危険性除去・運用停止についてのレジュメ
【概要】
・A4 2枚で的確に提言書の内容がまとめられている。(簡潔なまとめを付することは重要)
・提言内容の実施主体(日本政府、日米両政府、沖縄県)が、項目ごとに明示されている。
→ 当然のことながら、提言を日本政府や日米両政府に働きかけるのは沖縄県の役割と
なるだろう。
→ ケアレスミスだろうが、唯一3-1の実施主体が明記されていない(本文からは「日
本政府」と読み取れる。
・7名の委員は、それぞれの専門領域で信頼できる識見をもったメンバーだと思う。
はじめに
・あくまで「在沖米軍基地の整理・縮小」がテーマ
・それを考えるにあたっては、1)日米同盟のあり方、2)アジア太平洋の国際情勢、3)日本国内における民主主義や地方自治のあり方、4)軍事的合理性、5)アジア太平洋地域の将来ビジョンを考察する必要がある。
・上記5点のうち、とりわけ4)、5)に本提言の考察のユニークさが見られる。
・課題を短期的なものから長期的なものまで、時間幅にそって1章、2章、3章と配置している。すなわち、1章が「喫緊の課題:辺野古新基地、普天間基地問題」、2章「中期的な課題:基地の整理・縮小」、3章「長期的な展望:地域協力ネットワークのハブ」。
第一章 辺野古新基地計画と普天間飛行場の危険性除去・運用停止について
<現状と経緯>
・「世界一危険な」普天間基地が「返還合意」後、24年間も放置され続けてきていることが最大のポイント
・年譜
1995年9月 少女暴行事件、沖縄全土をゆるがる基地反対闘争が展開される
1996年4月 普天間基地全面返還合意
2006年5月 辺野古新基地建設合意
2013年12月 仲井真知事 埋め立て承認
2014年11月 翁長氏知事選当選
2018年9月 玉城氏知事選当選
2018年12月 辺野古 土砂投入開始
2019年2月 県民投票 71.7% 辺野古新基地反対
<論点>
沖縄県の主張 日本政府の主張
1.基地負担格差 1.普天間の機能分散(辺野古は全面的代替
ではない点が肝要)
2.辺野古海域の生物多様性の破壊 2.基地面積縮小
3.軟弱地盤のため、辺野古建設の 3.騒音・危険性の軽減
工期 13年、総工費 2兆5500億円 4.安全保障上、県内移設が必要
※ 辺野古建設工期・総工費については、
2019年12月25日にようやく公表
工期 9年3か月、総工費9300億円
※ 辺野古基地建設の工期、総工費についての両者の算定のずれについて、それぞれの積算根拠を突き合せる必要がある。
普天間の「機能分散」とは?
1)オスプレイなどの運用機能 → 辺野古新基地
2)空中給油機の運用機能 → 15機が岩国へ移駐(ただし、訓練は沖縄でなされている)
3)緊急時(有事)の航空機受け入れ機能 → 九州の築城基地と新田原基地に移転予定
→ 合わせて、自衛隊と米軍による日常的連携
※ FIRBOとしては、上記3)の要素をどうとらえるかが身に迫る課題として重要
<提言>
1.辺野古新基地の建設中止
普天間基地の危険性除去と運用停止を急げ
県外・国外移設を考慮せよ (以上、対日本政府)
2.日本、米国、沖縄の有識者からなる専門家会合の設立 (対日本政府、米国政府、沖縄県)
3.1の課題について、沖縄県は国民的関心を喚起せよ (対沖縄県)
以上