南の朱雀

南には澄んだ水をたたえる池があり、
そこで遊ぶは朱雀。

朱雀は様々な宗教や流派で見られる存在だ。
インド神話に登場するガルーダ。
中国神話に説かれている鳳凰。
ギリシア神話に現れるフェニックス。
どの神話においても、清浄の火炎をまとい
不老不死の象徴とされている。
だからこそもっとも太陽が高くなる南に
孤高の雄々しい姿でおかれたのであろう。

中国の星座は二十八宿に分類されていて、
朱雀の星宿の中央にあるのはウミヘビ座。
その星は当流派では「孤独な者」を現し、
その中央にある星は夜空にひときわ明るく輝く。
旅人を導く星であると同時に、
苛烈に罪を問うものこの朱雀なのだ。
池の北側に家を建てても意味はなく、
まして火の原料となる木を置く意味はない。