「食事 PartⅡ ビタミン」
ビタミン
<潤滑油となる栄養素>
ビタミンは他の栄養素と違い、エネルギーや身体の構成成分にはなりません。
その代わり、様々な生理機能の維持に働いたり、エネルギーや体を作るための代謝に関わっています。
ビタミンには水溶性と脂溶性の2種類がありますが、脂溶性のビタミンは摂りすぎると肝臓などに蓄積し、過剰症に陥ることがあります。普段の食事では過剰症に陥ることは稀ですが、サプリメントを利用されている方は注意をしておきましょう。
必要な量はごくわずかですが、不足した場合は特有の欠乏症を起こします。
〇水溶性ビタミン
血液などの体液に溶け込み、余分なものは尿として排出されます。体内のさまざまな代謝に必要な酵素の働きを補っています。ビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)、ビタミンCが水溶性ビタミンです。
〇脂溶性ビタミン
脂溶性ビタミンは水に溶けない性質があり、主に脂肪組織や肝臓に貯蔵されます。 身体の機能を正常に保つ働きをしていますが、摂りすぎると過剰症を起こすことがあります。ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKがこの脂溶性ビタミンに当たります。
ビタミンの種類と食品
⚫️ビタミン A
油脂に溶ける脂溶性ビタミン
〇働き
・発育を促進
・肌の健康を維持
・暗いところでも目が慣れる機能
・喉・鼻の粘膜に働いて細菌から体を守る
〇どんな食品に含まれているか
緑黄色野菜や動物性食品である鶏卵、牛乳、レバーなどにも多く含まれます。
〇過剰
サプリメントやビタミン剤による過剰摂取は、肝臓に貯蔵されて肝障害などの副作用の出現などがあり、通常の食事を摂取している場合は問題はありません。
ビタミンB1
水に溶ける水溶性ビタミン
〇働き
・糖質からのエネルギー産生を助ける
・皮膚や粘膜の健康維持を助ける
・脳神経系の正常な働きにも関与している
〇どんな食品に含まれているか
穀類のはい芽(米ならヌカの部分)、豚肉、レバー、豆類などです。中でもとくに豚肉にはビタミンB1が豊富です。
〇不足
糖質がうまくエネルギーにならないため、食欲がなくなったり、疲れやすい、だるいなど夏バテのような症状が現れます。
〇過剰
通常の食生活なら問題はありません。
ただし、サプリメントによる長期大量摂取をすると頭痛、いらだち、かゆみなどの皮ふ症状が報告されています。
ビタミンB2
水に溶ける水溶性ビタミン
〇働き
・皮ふや粘膜の健康維持を助ける
・エネルギーを作り出すための手助け
〇どんな食品に含まれているか
レバー、うなぎ、卵、納豆、乳製品、葉菜類などに多く含まれています。
〇上手にとるコツ
水溶性のビタミンB2は、熱には強いが水には溶けてしまうため、洗いすぎない・煮汁を再利用することをオススメします。また光に弱いため保管の際は光が当たらないようにする工夫が必要です。
〇不足
・発育・成長が阻害
・口の端が切れる口角炎、口内炎、舌炎
→皮膚や粘膜に炎症が起こる
ビタミンC
水に溶ける水溶性ビタミン
〇働き
・皮ふや粘膜の健康維持する働き
・免疫やストレスへの抵抗力を強める
・鉄の吸収を良くする
・抗酸化作用
・動脈硬化予防
〇ビタミンCとストレス
ストレスの多い人ほどビタミンCを摂る必要があります。精神的物理的ストレス(寒暖、疲労、心身の苦痛、睡眠不足、働き過ぎなどと)。
〇食品
・果物(とくにかんきつ類やイチゴ)
・野菜、いもなど
注意点:ビタミンCは水に溶けやすく熱に弱いので、新鮮な生で食べるのがオススメです。また、洗いすぎたり、ゆですぎたり、水にさらしすぎたりしないことです。
〇不足
・抵抗力が低下して風邪など引きやすくなる
・骨の発育が不十分
・壊血病(かいけつびょう)
→歯ぐきなど体の各所で出血したり、関節が痛んだりする病気です。
ビタミンD
油脂に溶ける脂溶性ビタミン
〇働き
・カルシウムとリンの吸収を促進する働き
・血液中のカルシウム濃度を保つ働き
→丈夫な骨をつくる働きがあります。
〇食品
比較的限られており、魚介類、卵類、きのこ類などです。
〇不足
・骨や歯の形成不全
→赤ちゃん くる病
→大人 骨軟化症、骨粗鬆症
骨粗鬆症の予防
ビタミンD、カルシウム、マグネシウム、ビタミンK、たんぱく質、を十分に摂取して適度な日光浴と運動に心がけ丈夫な骨を作りましょう。
なぜ運動? 日光浴?
適度の運動は骨に刺激を与えて新陳代謝を活発にし、骨を丈夫にします。特に屋外での光を浴びた運動は体内でのビタミンDの合成を促進し骨の生成に役立ちます。
〇過剰
高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化などがあります。基本的には普通の食生活を送っている場合は問題はありません。
サプリメントや薬などから誤って大量摂取しないように注意が必要です。
ビタミンE
油脂に溶ける脂溶性ビタミン
〇働き
抗酸化作用があり、体内の脂質の酸化を防いで体を守る働きがあります。
・生活習慣病予防(動脈硬化など)
〇食品
アーモンドなどのナッツ類
うなぎ、たらこをはじめとした魚介類
西洋かぼちゃ、アボカドなど
〇上手に摂るコツ
ビタミンEは、ビタミンC、ビタミンAと一緒に「ビタミンACE(エース)」とも呼ばれ、抗酸化作用を持つ代表的な栄養成分です。
緑黄色野菜を植物油で炒めるなどして、それぞれを豊富に含む食品をいっしょにとると効果的です。
〇過剰
・出血傾向
→サプリメントによる過剰摂取に注意。
日常の食生活では問題はなく積極的にとりたい栄養素のひとつです。
ビタミンK
油脂に溶ける脂溶性ビタミン
〇働き
血液凝固(出血したとき、血液が固まって出血を止める働き)や感染症との戦いに関わっている成分の生成に欠かせません。骨が形成される際に必要なタンパク質を活性化する働きもある。
様々な食生活から得られます。
〇食品
緑の葉の野菜
しそ
豆類
昆布
海藻類
緑茶
〇上手に摂るコツ
納豆はビタミンKのみならず、栄養素の宝庫。朝の食卓に、ぜひ!
〇過剰
過剰症は特にないが、血栓症の人などは摂取量を制限されることもあります。また、ビタミンKは腸内でも作られており、不足することはまれ。ただ、新生児や肝臓に疾患ある方などは注意が必要となります。
まだまだここでは紹介できないビタミンがたくさんあります。1つ言えることは、サプリメントなどによる摂取には、注意が必要ということです。
手軽で誰でもがコンビニなどで入手できますが、用量を間違えると害にしかなりません。健康のために飲んでいるのに、過剰摂取することで様々な悪影響を及ぼします。
ビタミンだけではありませんが、栄養素はなるべく食物からの摂取をオススメします。
《7大栄養素》
●脂質(Fat matter)
●糖質(Glucide)
●たんぱく質(Protein)
●ミネラル(Mineral)
●ビタミン(Vitamin)
●食物繊維繊維(Dietary fiber)
●水(Water)