条例作りから行ったクラブハウス作り
5月某日、「ミツカン」のお酢で有名な愛知県半田市にお邪魔した。
目的は、特定非営利活動法人ソシオ成岩スポーツクラブの視察である。
最寄駅に到着し、電車を降りると、それは立派で大きなアーチ状の屋根が目に飛び込んできた。これが今回の目的であるクラブハウスであることはすぐにわかった。
視察で面白かったこと。
1、熱心な校長先生がいた
2、学校とクラブが共存する”社会体育施設”
3、総合型スポーツクラブハウス条例とは?
徒歩5分程度だっただろうか、すぐにクラブハウスに到着した。
でも到着して驚いたのが、そこが中学校になっていることだった。
事前に全く何も調べて行かなかったので、「あれ?間違えた?」とすら思った。
そう、ここのクラブは中学校の体育館が、スポーツクラブのクラブハウスになっているのである。
■体育館の管理をクラブがしているのかな?
■空き教室の利用程度で使用してるのかな?
なんて色々考えたが、実際はそうではなかった。
学校体育館と社会体育施設の両方の要素を取り入れたハイブリットな施設を新設したのである。
熱心な校長先生
当時成岩中学校の校長先生だった榊原先生は、学校運営において様々な問題と直面していたという。子供たちと地域住民との関係の希薄化、学校部活動のあり方など、その問題は多岐にわたっていた。
学校だけでその問題を抱えるのではなく、地域住民と一緒になって取り組むことで、学校だけではなくなく、街全体の活性化も図ろうとと考えた。
そこで校長先生は、当時文科省が推進していた、「地域総合型スポーツクラブ」を設立することを考えた。これなら、地域の子供達から高齢者の方々まで、幅広い年齢層の方が交流する機会が生まれ、その中で学校の様々な問題を地域の人と共に考える機会にもなると考えたのである。
最初は、学校の空いた教室をクラブの事務所として活用しながらのスタートだった。
なんで、そんな団体が学校を利用するのか?などクレームも多かったという。
そんな時に、成岩中学校の体育館を建て替えるという話がでてきた。
その話がでた時、すでに校長先生は学校から役所への転勤中だった。そこで、その間文科省で色んなヒントをもらいながら、体育館とクラブハウスの融合したものを作れないかと考えたのである。
学校とクラブが共存する社会体育施設
そこででたアイディアが、建て替える体育館をクラブハウスにできないか?ということである。これは、実に理にかなったアイディアである。
今後益々少子高齢化が進む日本において、新たに建て替え、今後数十年使用する体育館が中学生だけのものにしておくのは本当にもったいないのである。
しかし、言うのは簡単だが、それを実行するのはそう簡単ではない。
事例もないようなことなので、そう簡単にYesの返事はもちろん貰えなかった。
・学校の敷地に生徒以外を入れるのは危険じゃないか?
・他の学校と比べ、特別扱いはできない。
・利用の優先順位は?
など多くの問題もあった。
総合型スポーツクラブハウス条例
これは、体育館をつくるだけの話ではない、「行政のルール」自体を作り直さないとこの
問題は解決しない!と、市の職員や議員、文科省などとも話し合いながら、文科省のモデル事業として、この案件を取り組むことにしたのである。
そこで半田市は、半田市内4つすべての中学校区に総合型スポーツクラブをもつこと、そしてそれぞれ体育館など施設の建て替えの際は、クラブハウスと体育館のハイブリット施設を建てること、そしてその管理は、地域で活動する総合型スポーツクラブが行う事という条例も策定したのである!!!
こうして、中学校の体育館は、社会体育施設として、クラブハウス機能を持った形で誕生したのである。
これは、当時いや現在でもかなり画期的なことだと言える。ここまで、校長先生や地域の皆さんの努力で進んできた。しかし、やっと新たな歴史が動き出そうとした時、また次の問題が起きたのである。
明日の続きをお楽しに。。。