「ONE TWO BUCKLE MY SHOE」Frank Cox
古いという形容詞、皆さんどのくらいの感覚で使っているでしょうか?
時と場面によると思いますけれど、古本屋の「古い」は一般の感覚とは大分違う気がします。
買い取りに伺う時などに古い本ばかりなので〜、と伺っていても、古本屋は話半分で聞いているかもしれません…。
お店にもよると思いますが、当店の「古い」の基準は戦前です。戦後は全て「新しい」に分類される本です。
戦後から70年代頃までははっきりと、新しい、とは言わなくとも、古本として「普通」くらいの感覚で、新しくも古くもない、と言ったところでしょうか。80年代以降ははっきりと「新しい」本という感覚ですね。
ですがこちらはちゃんと「古い」本です。
「ONE TWO BUCKLE MY SHOE」Frank Cox
出版年の詳細は不明なのですが、恐らく1880〜90年頃と思われます。
絵柄もヴィクトリア朝の子どもの本の特徴がよく見て取れます。
内容は、知っている方はタイトルを見てすぐわかると思いますが、マザーグースの数え歌の絵本ですね。
絵を描いている著者については、調べたのですが全くの無名のようで、情報が出ずわかりませんでした。申し訳ないです。
そもそもこの本自体の情報が海外の古書店などでも全く出ないので、現存数も少なそうですね。
絵自体のクオリティは、同時代の著名な作家、例えばケイト・グリーナウェイやウォルター・クレインなどと比べるとかなり劣るのですが、小さなサイズのハードカバーの本、裏表紙には子供用の食品の会社の広告(イラスト入り)が入り、見返しページにも広告が載っているなど、本自体、物自体としてはとても面白いです。
一流ブランドの本、と言う訳ではないのですが、こうした時代の中で消えていった雑本にしかない古本の楽しみ、魅力もあると思います。
何より19世紀の絵本で3000円台というお買い得なのも良いですね。
(状態はやや悪いです)
こうした本にしかない魅力は確かにある本です。まだまだ、大切にしてあげたいですね。
オンラインストアの方でもぜひご覧ください。
「ONE TWO BUCKLE MY SHOE」Frank Cox