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中学校体育館にビールサーバー設置

2016.05.20 23:45

施設の利便性についていけない利用者の意識


新たな社会体育施設をつくるにあたって、またいくつか問題点があったという。従来子供が運動する目的で存在する体育館。そこに、「観戦」を目的とした観覧席を設けたり、クラブ会員がスポーツ後リラックスする為のラウンジを設けることは、多くの学校関係者には到底理解ができなかった。


建設にあたり、中学生が授業や部活で使用する為の動線と、クラブ会員が施設の利用を行う際の動線は、明確に分けられた。1階にある体育館のフロアは、教室側からアプローチできるように設計され、クラブハウスの受付は、外から階段とスロープを登り出入りする2階に設けられた。


基本学校の授業は、この1階のフロアで行われる。2階から上のクラブハウスは、主にクラブ会員の利用スペースだ。そこで、中学生が通らない3階部分にラウンジを設け、地域住民の憩いのスペースを作ったのである。


憩いのスペースに置かれた「和みツール」が大問題に!!

そしてこの憩いのスペースに、海外のスポーツクラブのクラブハウスなら必ずあるあれを設置した。そうビールサーバーである。


海外のクラブハウスには、スポーツを「する」「見る」「支える」これらを思いっきり楽しめる、飲食スペースがある。プレーの打ち上げや、テレビでのスポーツ観戦、家族の待ち時間なんかに、食事やドリンクもちろんお酒なんかも提供してもらえるスペースがある。


成岩スポーツクラブもこれにならい、魅力的なクラブハウス作りとして、バーカウンターを設け、そこにビールサーバーを設置したのである。


でもこれが大問題(笑)


学校体育館でアルコールを販売するとは何事だ!とお叱りをうけたのであるのである。(笑)


民間の感覚と行政・教育機関との感覚にも違いがあるが、地域住民の総合型クラブというもの自体の理解にもまだまだ課題が残されていたのだろう。


部活動の利用時間。


学校は毎年多くの先生が入れ替わるところである。その度に、”普通”じゃない体育館への不満が多くの先生方からあったという。


例えば、通常学校の授業は、チャイムの音で始まりチャイムの音で終わる。遅れて来たものは、時間を守るよう指導される。


しかし、部活を見たくて教員を志した様な先生は、部活のおわりの時間、下校時間になっても熱心な指導が続く。そこで、7時からは一般のサークルが利用するということを伝えても、それは不満に変わる。なんで大会前なのに練習ができないのだ!なんで学校を使うのに、クラブの人間に確認を取らなければいけないのだ?というようなクレームが多く飛んできたという。



台無しの条例


せっかく今後施設の建て替えは、地域クラブの為の社会体育施設にするという約束まで、行政と取り付けたにもかかわらず(昨日の記事みてね!)、ある個人のために台無しになったことがあった。


この半田市内の別の中学校で、体育館建て替えの話がでた。行政側は、もちろん約束通り、多少お金はかかるが、成岩の事例の様に新しい体育館を社会体育施設にするつもりであった。しかし、その時の学校長の意向で、この話はなくなり、普通の体育館が作られたのだという。


もちろん一概にこの校長先生を悪であるとは言えない。やはり上であげた様なクレームも教師たちからあった事だろう。


しかし、その問題に対して向き合わず、問題が起きたら嫌だから行動を起こしたくないという話であるとこれは頂けない。


ましてやその校長先生は、数年でまた転勤が来るのである。自分はいなくなる、体育館は何十年も残る、そして議会でも話し合われて誕生した条例を、個人の見解でひっくり返すのはどうなのだろうと思う。


やはりこの様に、便利になっても、それを扱う人間がしっかりと目的を把握して、判断し行動することができなければ、どんな便利なものでも全く意味をなさないものになってしまうのである。


時間が解決するもの


という様に、この様な新たな施設を作った事で、多くの問題やクレームなどが起きた事は間違いない。しかし、月日が経った現在未だにクラブにこの様なクレームがあるか?という質問をぶつけてみたら、意外な答えが返ってきた。


もちろん全くないとは、言いきれないが、ほとんどその様な事は聞かなくなった。と言うのだ。


新任の先生達も、すでによその学校にいながら、成岩中学校のことは知っており、あとから入ってきた先生は、基本決められたルールをしっかりと守ってもらえる様だ。


また地域住民も、自分達が施設を利用したり、その使い勝手を体感して頂いた方は、むしろ喜んで帰っていくという。

時間がたつ事によって、理解が広がるというよりは、不便だと思っていたにしろ、そのものがある事にみんなが慣れてしまったら、とくに問題やクレームが起きることも少なくなってくるのだという。


実は、これが一番のクラブ経営のヒントだったりするなぁ〜と考えた。


全国的にも、クラブを設立すると動き出すと、新たな動きに対して邪魔が入ることがある。これらをずっと気にしながら行動するよりも、しっかりと自分の信念をもってクラブの活動を行っていけば、いずれみんなそれに慣れてくれるのだと思う。


なにか反対されたからと諦めるのではなく、どうしたら実現するのか?

そう言ったことを考えるいい機会になった。


それにしても、今回視察をさせて頂いたクラブハウスは、本当に素敵なものだった。

まだまだ多くの問題はあるにしろ、日本国内でこの様な事例はなかなかない。ビールサーバーにしろ、大きなお風呂にしろ、これまでの常識を覆すアイディアとパワーがあれば、不可能なことはないということがわかった。


どこの世界でも必ず足を引っ張るやつがいる。


でもそれで諦めてしまうならその程度。 まずは行動する。そして理解されるまでやり続ける。このパワーがあれば、国内のスポーツクラブももっと発展していくのだろう。