あれか!となる流体力学
皆さんこんにちは
新M1の伊理です。
時間とは早いもので、ついこの間までB3だった僕ももうM1です。
一応新入生と枠組みの中、このような事態になってしまい、戸惑いながらも自宅で勉強に励んでいます。
さて、ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、僕の研究テーマは「メタマテリアル」。モチベーションとしては自然界には存在しない性質を持つ人工構造体を作って、面白い現象を実現しようというものでしたが、大学院での二年間ではこれを津波に応用し、津波の持つエネルギーを減少させる可能性はないだろうかと思い、津波の流体力学などについて勉強を進めています。
決まった形のない「流体」の運動を考える流体力学ですが、中には僕らの日常生活でもよく見られる現象も出てきます。例えば
「トリチェリの定理」
側面に穴の開いたペットボトルに水を入れて、穴から噴き出す様子を見たことは誰にでもあると思いますが、あの噴出速度、いくらかご存じですか?
実はこれ、ベルヌーイの定理という流体のエネルギー保存則から求められる定理なのですが、流体が「圧縮できず」「粘性がない」場合、流体の持つエネルギーは「運動エネルギー」、「ポテンシャルエネルギー」、「圧力による仕事」で、以下の式で与えられます。
Pは圧力、ρは密度、vは速度、gは重力加速度、hは高さです。
側面に穴の開いた容器を簡易的に書くと、下の写真のようになります。
この時、それぞれでの水面を添え字A、噴出口を添え字Bで表すと、ベルヌーイの定理は
となります。
この時、PAは大気圧、vAは≒0とします。一方、噴出口では、内側からかかる圧力は外向きの速度になってしまうので、PBに入れる値としては大気圧です。またポテンシャルエネルギーは噴出口を基準として0です。
おわかりでしょうか?
そう、液体が噴出される速度は、水面の位置から物体を自由落下させ、噴出口を通過するときの速度に等しいんです!
これまで水面が下がると噴き出す勢いが弱まるのは単に押し出す力が弱まるからと考えていましたが、高校で習う力学とこんな対応関係があったんだなと感動しました。
こんな感じに、流体力学を勉強していると「あれってそういうことだったんだ」と思うことが度々あります。
今後も感動と楽しみを感じつつ、自分の研究に向け日々精進します!