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小林研究室

ブラックホールまでの軌跡

2020.06.12 10:21

こんにちは。小林研究室M1須永です。

大学院生になってから初めてのブログ投稿ということで、今回は私の研究のテーマでもある「ブラックホール」について真面目にお話しようと思います。

ブラックホールという名前自体は聞いたことある方も多いのではないでしょうか?

ブラックホールとは、宇宙に実際に存在する非常に密度が大きく、重い天体のことです。そのため、重力も非常に強く、光ですら一度入ると抜け出すことのできなくなる領域(イベントホライゾン)を持ちます。また、ブラックホールの中心には特異点と呼ばれる、物質の密度や圧力などあらゆる物理量が発散している場所が存在します。

物質の密度や圧力が無限に大きくなる??…そんなことって本当にあるの??

結論から言うと、わかりません!!正確に言うと、現在の物理学者たちは、まだそのことを確かめるための方法を確立できていないと言えます。

この方法なら上手くいく!とすぐに見つかれば良いのですが、長年にわたって研究者たちの頭を悩ませていた問題がそんなにすぐに解決するわけはありません(笑)

しかし、少しずつ研究は進んできています。今まで特異点の存在を示唆していた一般相対性理論に、ミクロな世界を考える量子論を加えた量子重力理論の研究や、ブラックホール内部の物質分布に量子論の非可換性を取り入れたブラックホール解の構築など様々な研究が行われています。

学部時代に私は後者に関わる研究をしていました。

私は、(2+1)次元の非可換ブラックホール解(NCBH)を用いて、その時空で光はどのような軌道を描くのかということについて研究を行いました。NCBH解とは時空に非可換性を課すことで特異点を回避しているブラックホール解です。ブラックホール内部の物質分布に非可換性を課すと、量子力学の位置と運動量の不確定性関係と同様のことがブラックホール時空の座標同士にも成り立つと考えられます。つまり、物質の位置に最小の長さが存在し、物質がどこに存在しているのか一点に定められない、ぼやけた分布になります。私の研究では、実際に内部にそのぼやけた物質分布を仮定した(特異点を持たない)ブラックホールと、一点に物質分布が集中している(特異点を持つ)ブラックホールとでは、その周りの光の軌道(測地線)に違いが現れるのかということについて調べました。

結果としては、下の図のようになりました。光の軌道は物質の広がり具合を表すパラメーター(ξ/ l^2)によって異なるということがわかりました。

(※黒い円はイベントホライゾンを表します。)

じゃあ、この軌道を観測出来て、それを比較できればブラックホールの内部がどうなっているのかわかるじゃないか!!…って?

そう言えたらかっこよかったですね(笑)

今回の研究はあくまでも(2+1)次元に限った話であり、私たちが住む(3+1)次元ではどうなるのかということを確かめなければいけませんね。また他にも、今回は時空の非可換性をブラックホール内部の物質分布のみに課していましたが、実際にはブラックホール時空全体の非可換性というものも考えていかなければなりません。

まだまだ、ブラックホールの内部を解明するための道は険しそうですね…。

少しでも近づけるように2年間頑張って研究していきます!!

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに!!